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キャリア教育の入り口は・・・

北欧やオーストラリアではハイスクールを卒業した後の進路は職業訓練校などの専修学校に進学するのがスタンダードで、大学に進むのは研究者になりたいとか、医師などのステップが決まっている職業に就きたい場合のみとのこと。キャリア教育が随分と浸透している様です。当たり前ではありますが、学校での学習は社会に出て活躍するために行う。ならば、出来るだけ早い段階で職に関係する学びを得るに越したことはありません。せめて高校に進学する際には将来にしっかりと向き合って学生生活を過ごして貰いたいものです。

トキメキ体験授業

先週から始まった兵庫県で行われている中学生向けのキャリア教育「トキメキ体験授業」で今週も大工として講師を務めて来ました。中学2年生の子供たち30人を前にして、大工の仕事に触れる機会として(弊社の社名にもしている)四方継なる柱を継ぐ際の継ぎ手の仕口を差金を使って墨付けをし、ノコギリを使って加工してもらうという少し難易度高めの木工のワークショップです。今回も最後の完成形までは辿り着けませんでしたが、手仕事の難しさと、正しいやり方を真摯に聞いて、その通りに行えば絶対に出来ない!と思える様な難しいことも出来る様になる。との仕事に対する基本姿勢は伝えられたのではないかと思います。あとは、WS開始前に行う短い時間の講話で3人のレンガ職人の話を引き合いに出して、目的を持つ、良き意図を持つことと経済性の親和性を熱心に伝えました。私としてはWSの完成よりもこちらの方がずっと重要です。

職業の選択肢

キャリア教育の入り口として、最も重要なのは子供達が選択肢を知り、持つ事だと私は考えています。先日、毎年行われる将来なりたい職業アンケートで今年の第一位は「会社員」だったとの衝撃の報道がありました。コロナ禍で自宅にてテレワークするサラリーマンの大人が増えたからとか、先行き不透明な時代だけに子供達も安定を求めているとか、その理由は諸説ありますが、それにしても会社員ってあまりにも雑な回答に過ぎないか?と疑問に思いました。サラリーマンになりたいと言うにしても、商社マンとか、メーカー勤務とか、人材育成とか営業とか、もう少し書きようがあると思います。要は、若者たちは社会人としての仕事の実際を知らなすぎるのでは無いか?イメージがつかないまま、選択肢を持たずにアンケートに答えているのではないかと感じました。

想いを持てば経済性が伴う法則

今回の体験授業のワークショップの冒頭でも10分程度の働くということについての話をしました。いつもの通り、3人のレンガ職人の寓話を披露して、同じ作業をしていてもどの様な想いで仕事に向き合うか、その目的や志によって人から応援されたり、仕事を依頼されたりと、経済的にも豊かになれる経済の真実を伝えました。何のために?との問いを持ち、「今、金、自分」だけ良ければ良いと言った利己的な考えを捨てて、世のため人のため、未来の為にたった一回しかない、限りある命の時間を使わないか?と中学生達に問いかけました。そんな暑苦しい私の話を彼ら、彼女たちがどのように受け取ったかは定かではありませんが、具体的なWSのやり方の説明をしている際とは明らかに違う顔つきで、真面目に聴いてくれていました。

大工ってすげ〜

そんな、やり方ではなく在り方を中心に据えた職業体験の授業を他の先生方が行っているかどうかは分かりません。ただ、私たちが提供するのが住宅という身近なものなだけに、丁寧に工事をする人と手抜き工事をする人のイメージがついて、在り方が経済性に直結する話もリアリティーがあったのではないかと思っています。WSの際には大工ってすげ〜!との声も聞こえましたし、良き意図を持って熱心に知識や技術を習得すれば、単なる作業員ではなく、知的労働者として経営者や経営幹部としてのキャリアを積めるとの話も、自分の家を自分で設計して自分で建てることが出来るのだと実例を聴いて大工という職業に明るいイメージを持ってもらえたかも知れません。
何より、21歳の若手大工の和希が2台目の車(ボクシー)を買ったという話に食いついていた生徒もいたのでいい感じで大工という職業に触れて貰えたように感じています。キャリア教育の入口はまずは知ってもらう。地道に過ぎる活動ですが、引き続きアグレッシブに中学校への体験授業に通います。

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職人の採用、育成、キャリア構築のありとあらゆることにワンストップでお応えしてます。


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