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大工による大工のための大工育成プロジェクト事業計画

緊急事態宣言が解除されるとともに(なぜか)圧倒的にコロナの感染者数も減少し少しずつ以前の日常を取り戻しつつあります。(いつまで続くか分かりませんが)長い間オンラインですましていた会議や会合もリアルに足を運ぶようになり、その流れで夜の会食の機会もだんだんと増えてきました。そんな流れで今週は京都に出張、顧問先の全体会議と社員総出のイベントに参加、秋の京都を満喫してきました。(笑)

「作る」「回す」部門の担当顧問

私が同業の工務店さんに顧問として入り込んであれこれと活動を行うのは、経営戦略全体に携わるわけではなくて、あくまで現場改革、大工育成の担当として関わっています。実業を行う企業の経営とはシンプルにまとめると「作る」「売る」「回す」の3つに集約され、それを支える財務や総務などのコーポレート機能は必要ですが、それら3つの課題を解決することで持続可能なビジネスモデルの構築へと歩を進めることができると考えています。また、工務店等のモノづくり企業は作れなければ売ることができず、売ることができなければ回すことができません。3つが非常に複雑に絡み合っており、1つの課題を解決すれば連鎖的に他の部分にも影響を及ぼします。そんなこともあり、「作る」「回す」部分の担当顧問の私ではありますが、顧問先の全体会議にはできるだけリアルに足を運ぶようにしています。

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大工の大工による大工のための事業計画

実は私、この度の全体会議に参加するのはとても楽しみにしておりました。と言うのも、10月からの新たな期を迎えたことに伴って今年入社した3名の新卒大工の教育担当の社員大工さんが大工育成プロジェクトの事業計画を発表すると言われており、新人達が入社して半年経った今、改めて仕切り直して彼らが4年後に新築現場を任せられる大工になることを目標に、単年ごとの目標設定とそれを実現するためのロードマップを明確に示すと言っていたからです。まさに大工の大工による大工のための事業計画を大工が主体的に策定しそれを社内で共有すると言う、なんとも頼もしく、担当顧問としてはとても嬉しく楽しみな機会でした。

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計画よりも大事なのは運用

彼が発表した事業計画は非常にシンプルでわかりやすいものでした。まずはこの4月の入社からの半年を振り返り、これまで取り組んできたメンター制度、育成カリキュラムと月間工事スケジュールの進捗管理、評価制度等の取り組みについてうまく行ったこと、手応えがあった仕組みとうまく機能しなかった事について整理をされました、その上で、4年後の等級制度のランクをスペシャリスト層の最上級、もしくはリーダー層という分かりやすい指標と共に目標に向けてこの1年間取り組む内容について具体的なアクションを策定、PDCAを回せる様に目標達成シートを活用、運用を宣言するといった内容で、非常にリアリティーのある実現性の高い計画になっていると感じました。計画よりも大事なのは運用であり、その部分をしっかり理解されておられていたようでしたし、半年後、一年後の若手大工達の成長が今からとても楽しみです。

大工が育成計画を策定する意義

現在の建築業界では職人を正規雇用して育成に取り組まれる事業所はごく少数です。しかし、今活躍している職人の高齢化に伴って、今後、職人不足が加速することは誰しもが理解しており、従来の職人が職人を育てる徒弟制度が崩壊している現状を鑑みれば、ある程度体力がある事業所が職人育成を行わなければならないのは必然と言っても過言ではありません。新たに職人の採用、育成を始める事業所も徐々に増えている傾向にあると感じています。ただ、闇雲に若者を採用したからと言ってうまく行くとは限らず、せっかく一人前の職人を志して建築業界に飛び込んできた若者が離職してしまうことも少なくないのが現状です。そうならないためには(職人に限らずですが、)若者を育成する計画が必要で、その計画を先輩の大工が策定し、きっちり運用することで現場での日々の作業が未来へのロードマップと重なり、実効性を発揮すると思うのです。

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人材育成が状態を整える

一般社団法人職人起業塾では職人採用の前に、職人が将来に夢を希望を持って働けるキャリアプラン、等級制度、評価制度を策定することを強く勧めており、定期的にその人事制度整備と運用のワークショップを開催しています。全ての成果は状態に由来するとの原理原則に立って、職人の離職を止めるのも、早く成長して効果性を発揮するのも全て状態を整えることが出来ていてこそだと考えています。その上で、技術と考え方、人間力の両面の教育を施して職人の成長と共に現場が事業所が発展する原動力になることを目指します。冒頭に述べた「作る」「売る」「回す」の「作る」部分の基礎を整えることによって、着工、完工予定、工程の遵守などの「回す」、現場での高い評価を得ることを起点にしたクチコミ、紹介、リピートの受注を重ねて「売る」ことへの波及効果を狙うのが私たちが行っている現場改革です。この延長線上に私の創業の志である職人の地位向上が叶う答えがあると思っています。

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モノづくりは現場が命。現場から明るい未来を作る取り組みを応援、サポートしています。




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