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Q;若手職人が定着しないのですが・・・にお応えします。

株式会社四方継の新卒3年目の見習い大工和希が通っている伝統工法の技能を学ぶ大工志塾を運営している団体、住宅産業研修財団から偶然、講演依頼を受けて一般社団法人職人起業塾の塾長の立場で話す機会を頂きました。なんでも、大工志塾に社員大工を派遣している優良工務店の会の会社でもせっかく育てた若手大工の離職が止まらず、若手大工定着の何かヒントを貰えないか、とのことでした。

離職に繋がる2つの理由

私が代表を務める株式会社四方継では現在、社歴15年前後のメンバーに対して事業承継を行っている真っ最中です。全く離職がないかというとそんなことはありませんが、それでも15年の長きに渡って一緒に過ごして来たメンバーが5名もいるのは事実で、長年の経験の蓄積は確実に人的資産へと繋がっています。てか、15年も一緒に仕事をしているともう私が教える事など何もありませんし、事業を任せることになんら違和感を感じません。そんな私の経験則から社員が離職する原因は大まか2つに分かれていると思っています。ひとつは個人的な環境の変化、もう一つは構造の問題です。w

若手大工育成P 設計プレゼン

転職は絶望から

個人的な様々な環境の変化による離職は致し方ないし、夢を持って新天地でステップアップを目指される人もいるので、そこは引き止めてもしょうがないし、時には祝福して送り出すこともあるでしょう。ここは経営者の影響が及ぶ外だと割り切るしかないと思います。経営者が注力すべきは影響力の輪の内側であり、人事制度や職場の環境整備、人間関係などでストレスを感じない、もしくは感じたとしても絶望しない様な構造に整える事が重要です。私自身、若い頃に何度か転職を繰り返しましたが、辞職を決意するのはやっぱり未来をイメージ出来ない時でした。時代は変われども、希望の光があれば人は頑張れるし、無ければ絶望を感じて環境を変えようとすると思うのです。

若手大工育成P 京都リノベーション現場見学

目標設定と進捗確認

若手職人に未来を感じ続けてもらい、明確な目標設定とその達成を繰り返してカッコいい職人へと成長出来る道が見えればある程度、離職は止まると考えています。要するにキャリアプランの構築とその運用となるのですが、重要なのは仕組みを作る事よりも運用であり、それは近い未来と遠い将来の両方をはっきりとイメージしながら日々の業務に取り組める様なコミュニケーションを持てるか否かにかかっています。定期的な面談でキャリアごとに明確に所得を示した賃金テーブルと等級制度の役割と責任の定義を確認して、現在の自己評価と上長評価を擦り合わせて毎年の給与査定を行った上で短期、中期の目標を設定、その達成に向けて応援する体制が作れれば常に希望の光は見える様になります。

カリスマ清水社長の講義

仕組み2割、運用8割

とはいえ、新卒で大工見習いになったばかりの若者には将来のキャリアを示したところでピンと来ないもの、漠然としたキャリアプランは大した効果を発揮しません。そこで大事なのは毎日の現場作業以外の学びの場を設けること、狭い世界に閉じこもりがちな職人の世界ですが、社外の同年代の人や様々な先輩に会って学ぶ機会があれば将来に対するイメージがつきやすいと思うのです。そんなイベントごとを混ぜながら、経験を積み重ねて少しずつでも成長している実感が持てれば、未来に対して望みを絶つ事はないと思います。仕組み2割、運用8割くらいのイメージでコミュニケーションを取って伴走してあげれば、若者もそんなに簡単に離職しないとおもうのです。とにかく、手間暇と費用を注ぎ込む必要があるのは間違いありませんし、ほったらかしで育つ時代では無いと思います。

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