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志が経済性を合理する理由

私が主宰する私塾、職人起業塾では自律循環するビジネスモデルを現場から構築する人材の輩出を目的にしています。半年間、15回にも及ぶカリキュラムの中で最も重要視しているコンテンツは「目的と手段の明確化」であり、志を持つことをその基本としています。要するに、高い志を掲げることが経済性を合理して、自分も周りの人も幸せにすると塾生達に伝えています。

志が長期的価値を生み出す合理

志とは「目的を定め、その実現に向けて努力する気持ち」だと辞書を引くと書かれています。同時に 「高潔で、むやみに変わることのない気持」とも。職人起業塾という経営者感覚を養う言わばビジネススクールでなぜ、志を立てることを重要視するのか?その答えは、経営とは「たていとを営む」ことであり、経営の最重要と言っても過言でない大きな目的が持続性のある事業を作り上げることであるからです。一時の売り上げ利益を手にするには集客やクロージングのやり方を学べばことはすみます。しかし、大きな時代の転換期の荒波の中、外部環境に左右される事なく事業を持続させるには、顧客を含め関係を持った人たちと長く良好な関係を維持する必要があり、それは事業の存在意義そのものを認められる、双方向で信頼と尊敬の絆を固く結ぶことが出来る「在り方」が不可欠です。その方向性を一言で表すと、今だけ、金だけ、自分だけの思考と真逆の未来を見据え、世のため人のために働く志となります。志が存在意義を担保して事業の継続を叶えるのが私の提唱するビジネス理論です。

計画が重要なのに立てられない

地域社会にとって必要だと思われる存在意義が認められる事業は長きに渡って多くの人から支持される様になります。志が持続性の高い事業に直結する所以ですが、実はその関係性を構築するプロセスにおいても志を掲げることが大きな影響を与えます。
顧客からの信頼を得るなど、あらゆる成果は行動、実践が伴い、状態を整えなければ手にすることはできないのは自明です。そして、行動は計画無くして実行されません。もしくは、計画が杜撰なら実行しても効果が伴いません。
あらゆる事業やプロジェクトにおいて計画立案の重要性は今更述べるまでもありませんが、実はその大切な計画を立てる時点で既にエラーを内包してしまう事が圧倒的に多くみられます。それは何故か?
実は殆どの人は綿密で確度の高い計画を立てるのが苦手、もっと言うと嫌いだからです。残念ながら人の本能的な指向性が計画の重要性を打ち消してしまっています。

目先の不自由を厭い、真の自由を失う

人に限らず動物は全て縛られるのを嫌います。これは本能であり、首輪をつけられたく無いのは全ての人に共通します。そして、それは他人に拘束されることだけに留まらず、自分自身に対しても同じです。
だから皆、余白だらけの、変更することを前提とした曖昧な計画を立てようとするのです。精密な計画は息苦しく、無意識下で拒否反応を示してしまうもの。要するに誰しもが計画嫌いの計画下手なのです。
しかし、成果を強烈に、そしてリアルにイメージして綿密で詳細な計画を立てれば事業やプロジェクトが思い通りに進み易くなる事は誰しもが知っています。計画の大切さは認知しているのですが、目先の不自由さを受け入れるのが難しいのが、多くの人の理想の実現を妨げている非常に大きな原因になっています。
それを打ち破るのが志です。志を明確にする事で絶対にやり遂げるとのモチベーションをセットして、縛られるのを厭う本能を乗り越える理性を発現させることが出来るのです。

計画を実行するモチベーションの根源が志

志を立てることで、モチベーションを固め、自縛と言っても過言でない綿密な計画を立てるハードルを乗り越えたら次の障壁が待ち構えています。それは、計画通りの実行です。
目指す成果を手にするには、成果を生み出す状態を整えるプロセスを経なければなりません。計画に基づいた行動は一度きりではなく、何度も定期的に繰り返し、習慣化と定着化を行う事で仕組みとして機能し始めます。計画の達成、成果を生み出す状態を整えるには行動し続ける事が不可欠なのですが、習慣化の力を活用できる人は多くないのが現実です。
人は他人との約束は簡単に破ることはしませんが、自分で決めた自分との約束はいとも簡単に反故にします。習慣化の壁は非常に高く、おいそれとは乗り終えられないもの。それを突破するには志に根差した固い意志の力が必要です。

志の具現

綿密な計画を立てて、その通りに実行する。大体のことはこれで上手く行きそうですが、最後に最大の問題が残っています。それは、一人で出来ることは高が知れている。との圧倒的な事実です。
掲げる志のサイズにもよりますが、世のため人のために働きたいとの強い意図は少なくとも今よりも良い世の中にしたい、との想いが内包されているはずです。次の世代に少しでもより良い社会を残したい。との社会を構成する大人としての責任と目的があるはずです。
社会を変える、組織を変えずして、志を果たしたとは言えないと考えると、同じ志や方向性、価値観を持った人たちとの協業、協働は欠かすことができません。
多くの人に共感を得ることができなければ志は全く意味をなしませんし、そもそも志と言っても良いのかも怪しくなります。人生の目的を掲げて、その実現を本気で目指すなら、共感してくれる仲間の存在が不可欠です。多くの人を苦しみから救いたい。世の中の悲しみを消し去りたい、人を幸せにしたいとの志こそが共感を呼び、一人で成し得ない事業を具現化する可能性を生み出します。

志が世界を変える

以上の様に、誰もが持つ良心を解き放ち、世のため人のために人生を使いたいと、志を立てるのは、計画を遂行し、成果を手にすることで、人生を充実した意味や価値のあるものにするだけで無く、私達が生きる実際の社会においても経済的な合理性を兼ね備えます。しかも一人では到底叶える事が出来ない大きな事業を実現する可能性を秘めています。
結局、人生はやるかやらんか。何があってもやり通す!との強い想いの根源として志を明確に掲げることを強く推奨しています。
一人ひとりの志が実現する社会になればきっと世界は平和になるし、現在山積している社会課題も解決の方向に進むと思うのです。
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社会課題を解決するインパクトビジネスの研究と実践を行っています。繋がってください。

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