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錬金術師への扉 〜上場企業の職人育成プロジェクト〜

昨夜は大阪で「本業で社会課題を解決する。」と熱い志を掲げた経営者が集まる経営実践研究会の新しい会員向けのオリエンテーションと懇親会に参加したあと、そのまま東京に向かい本日は埼玉で東証1部上場企業の住宅設備、建材メーカーの社員職人を集めた集合研修に講師として登壇。20数名の若い職員たちを前にして、1日中職人が生み出す大きな価値と可能性について熱く語り続けました。

研修の意味と意義についてのグループディスカッション

職人マーケティングと原理原則で作るビジネスモデル

私は、大工として起業してから20数年、自社社員職人による施工にこだわり、職人と採用と育成、そして現場を担当する職人が経営者感覚を持って顧客満足を勝ちとり、強固な信頼関係を結ぶことを起点にして一切の宣伝広告やプロモーションのためのイベントなどを行わない紹介とリピートだけで受注を積み上げる職人マーケティングを実践し、その仕組みを構築してきました。その根本は自分だけが良ければ良いと言う考え方ではなく、お客様を始め関係する人たちと同じ目的を共有し、その目的に沿った判断を繰り返す、いわば原理原則に則った行動の積み重ねです。現場で最終的な評価を受ける職人が、今だけ金だけ自分だけ、の思考を排除して、世のため人のため、未来のためになることを優先する思考を持つことでビジネスにおける環境が大きく変わることに気づき、実践してきました。

ストロータワーチャレンジ

上場企業による職人育成プロジェクト

そんな自分自身の経験則に基づいて、自分の若い頃よりも明らかに優秀そうな若者に対して無限の可能性を感じていて、「君たちが今、このあたりまえのことに気づき、知ったことを行動に移し、そこで出てくる問題を解決し、できている状態を継続するようにできれば、未来は大きく変わるし、大きな価値を創出することができる。」といつも熱を込めて伝えています。特に今回は大手メーカーが職人の直接雇用、育成に取り組む一大プロジェクトと言うこともあり、彼らの意識が変わり、高品質の工事の提供と丁寧なコミュニケーション、明確な目的意識を持って日本全国各地で活躍する様にになると、日本の建築業界だけではなくアジア全域、世界から注目される職人集団になる可能性があります。「職人の社会的地位の向上」をミッションに掲げている私としては、非常に大きなチャンスだと考えていて、大きな責任と役割を担っていることをしつこい位に繰り返し伝えました。

作戦の遂行と役割分担

志と役割と習慣

今日の講座では、冒頭に目的と概観を説明するところから、「君達が成長することによって日本の職人業界を変え、アジア全域に影響力を及ぼすような圧倒的な職人チームのブランディングを築き上げれるし、是非ともそれを叶えて貰いたい」と伝えました。そして、君たちにはその資質があるし、時代の流れも確実に後押しをしてくれている。と時代背景や業界の動向を丁寧に説明した後で、.先日このnoteにも書いた3人の煉瓦職人の話を切り口に、大きな志を立て、良き意図と明確な目的を持って今現在の役割を全うし、次の役割を担えるようにほんの少しずつでも成長出来る様にと、30日間チャレンジに取り組むことを勧めました。1ヵ月後の来月の講座の際に、その結果報告を聞くのが今からとても楽しみです。

錬金術とムーアの法則

表題の錬金術師になると言うのは若干大げさですが、錬金術と言うのは何もないところから金を生み出すのではなく、様々な素材を化学反応させ大きな価値のあるものに作り変える、価値を創出すると言う意味で捉えれば、現在、指示された通りの施工を行うだけの職人が、自らの才能を開花させ行く先々の現場で圧倒的な信頼を勝ち取って、そこから次々と受注を生み出すと言う事はまさしく錬金術と言っても過言ではないと思います。しかも、それが時間とともに正比例するのではなく、複利曲線で大きな成長を遂げればまさしく錬金術と言えるレベルになるのではないかと思っています。

ストロータワーチャレンジ

2つ目の人類最大の発明

サピエンス全史の中でユヴァル・ノア・ハラリは人類最大の発明は「役割」であると書かれていました。もう一つ有名なのは、アインシュタインが人類最大級の発明だと定義した「複利」です。この利息がついたものにまた利息がかかり雪だるま式に金額が増えていく4組は良くも悪くも世界の金融を変え、社会の仕組み自体を大きく変えました。そしてその福利は金融だけではなくテクノロジーの世界にも当てはまり、昨今の加速度的なテクノロジーの進化を表すムーアの法則として有名です。そしてそれは人の成長にも当てはまり、微力計算式として知られます。毎日ほんの少しずつ、微力だが確実に力をつけることによって成長した自分がさらに成長しその繰り返しが複利の効果で圧倒的な成長に結びつくと言う考え方です。

微力計算式

微力の積み重ねが金を生み出す

今の自分を1に例えて、1000分の1だけ成長出来る様に毎日少しだけの習慣に取り組むことを続ければ、明日の自分は1.001に、その翌日は1.002001にとほんの少しずつですが成長を続けます。しかし、それを積み重ねると1年で1.4の自分に成長しており3年で3倍、6年で9倍もの能力なり、技術なり、知識があり影響力を持つようになります。10年経つとなんと38倍までその成長は加速して、大きな価値を生み出すことが出やすい状態を作り上げます。私自身、このnoteのほぼ日更新をはじめ、茶道や書道、筋トレやランニング、毎日の読書や山登りなど様々な習慣を持っていますが、10年前に比べると確かに上述の計算式に違わない位の勢いで影響力を広げてきていると感じます。軽トラック1台と大工道具、現場の知識しか持っていなかった単なる職人の時からの20年間の成長は錬金術を身に付けたと言っても過言でないと思うのです。

ワークシートはスマートフォンで記入

錬金術師の扉を開け

今日初めて出会った若い職人たちが私の話を聞いて、少しでも心にその話が引っかかり、30日チャレンジをきっかけに10年後の錬金術師になる扉を開けることができれば、その本人たちの輝かしい未来と、事業所の発展だけでなく、新しい時代に合った職人の働き方とそのキャリアプランの新しいスタンダードが広く世の中に認知されるようになるのではないかと大きな期待を持っています。次の研修では、彼らの心の中に灯った小さな種火に強く風を吹きかけて、なんとか大きな炎を起こしたいと思っています。それが、職人の職人による職人のための、技術ではなく意識変革の研修を行っている唯一無二の存在である私の役割であり、使命だと考えています。職人が若者に憧れられる職業に復権する時が近づいているように感じており、錬金術師候補になった若者たちの成長が本当に楽しみです。
ちなみに、3人の煉瓦職人の話を深堀りした記事はこちらから、

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錬金術師の候補生育成の研修を行っています。(笑)


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