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職人革命 〜マイ・エヴォリューション&レボリューション〜

「共感は、た がいに助けあい守りあっている動物すべてにとって、きわめて重要なものの一つなので、 この感情がどんなに複雑なかたちで起こったとしても、自然淘汰によって強められたであろう。というのは、きわめて共感に満ちた個体が多数集まっているような共同体は、よく 栄え、多数の子孫を育てるだろうからである」

ダーウィン 進化論より

職人進化論

このnoteのタイトル「職人進化論」は2007年に当時まだ半分大工、半分は工務店経営者だった私が、「職人の社会的地位の向上」を志に掲げ、未来を模索した挙句、情報発信の重要性に気づきスタートしました。それから17年、最近は少しペースを落としましたが、これまで毎週、ほぼ日更新を続けてきました。
まるで道具のように使われ、ポイ捨てされてきた自分自身の大工時代の経験則から、職人の地位を向上させるには、職人自身が自助の精神を持ち、変わらなければならない。進化しなければならないと考え、まず最も職人が不得意そうな文章を書き、情報を発信するインサイドアウトに取り組んだのでした。新しい年を迎え、職人として社会に飛び出してきた若者も多くいるこのタイミングで職人の進化について、起業してからこれまでの流れの大筋を以下にまとめてみたいと思います。若い職人達が未来に希望を持つ一助になれば幸いです。

学びへの扉

このブログを始めた当時、私はまだ現場に出て作業もするし、仕事を受注する営業を一手に引き受けるプレーイング・マネージャーの代表選手のような大工経営者でした。それが、情報発信を毎日続けることを始めてみて、中身がスカスカ(中卒の大工、)の自分に気がつき、これなヤバイとアウトプットのためのインプットを心がけるようになりました。それが経営者としての学びを本格的に始めるきっかけといっても過言ではないと思っています。当初、単なる写真付きの絵日記のようなブログだったのが、徐々に学びの表出に変わり、言霊に誘われるようにその実践と検証を繰り返すツールへと変化してきました。その頃からタイトルを「職人進化論」と改め、自助の精神を持った職人の進化の実践過程を記すものに変わっていきました。2016年にはそれまでアウトプット(発信と実践)した内容をまとめて書籍を出版し第3刷まで重版を重ねました。今でもその本を研修事業のテキスト本として活用していますが、廃版となった現在、Amazonで定価の倍以上の価格で販売されているのはちょっと嬉しく思っています。

職人から起こす革命

情報発信を始めてから17年。神戸の片田舎であくせく現場を駆けずり回っていた私は現在、全国で職人育成の研修事業を行い、そのコンテンツを元にした職人育成のキャリア教育の高校を立ち上げ、これも全国に展開を進めています。このマイスター高等学院は建築の世界だけに留まらず、飲食業や介護事業、製造業などありとあらゆる地域企業が教育機関になることで、学歴社会にアンチテーゼを突きつけた子供達を受け入れ、地域企業の働き手不足を解消するムーブメントになりつつあります。戦後78年間、大して変わっていない教育を変え、高い志を掲げる若者を数多く社会を排出するしか、この世の中を根本的に良くすることはできないと考えています。
企業は人なり。の大原則に立ち返って、若いうちから職業訓練を受けて、技術だけではなく人としての在り方、仕事や人生の目的を考える本学を身につけた若者たちが地域企業で活躍するようになると、これまでの大手企業による寡占が進む経済界に一石を投じられるのではないかと考えています。
今の私が目指しているのは職人から始める革命です。

進化の先は共感

冒頭にダーウィンの進化論の一節を引用したのは、職人の私が進化を繰り返した結果、行き着いた先が「共感」による共同体の構築だったからです。
17年前はとにかく、目先の支払いに追われて毎日駆けずり回って仕事を探していました。とにかく、安定した売り上げを保てるようにしたいと強く願い、まずは営業力を身につけなければなりませんでしたが、大工だった私がそれと同時に始めたのは現場でのモノづくりの強化でした。
社員の大工たちに現場を任せられるようにならなければ、いくら受注を重ねたところで、顧客満足は得られず、焼畑農場のように次々と次を探し続けなければならないと考えたのです。
その時、私が必死になって学んだのは経営理念の構築とその浸透でした。その当時のブログにはそんなことばかりを書いています。今振り返ってみると、ものすごい数の経営理念に関するブログを書いているのに我ながら驚きます。相当悩んでいたのでしょう。(笑)

原理原則の仕組化

部下を信頼して現場を任せられるようになり始めて、次に取り組んだのは自社独自のマーケットの構築です。それぞれの現場で担当した大工たちが顧客からの圧倒的な信頼を勝ち取れる真摯なモノづくりをしてくれることを信じて、一度お付き合いした先とは一生付き合って貰えるように施工精度の担保とアフターフォローの仕組みを整えました。今でも、全ての顧客に毎年、無料のメンテナンスを社員大工たちが積極的に行ってくれています。ドラッガー博士が事業の目的だと言い切った「顧客の創造」を「生涯顧客の創造」であると再定義して、リピートと紹介だけで必要な売り上げを作り、持続可能性の高いビジネスモデルの構築を目指したのです。この取り組みが進むにつれて、宣伝広告やリクルートなど、広告代理店に支払っていた莫大な費用が不要となり、社員として職人を育成する費用を賄えるようになりました。
経営理念と共に自助の精神、アントレプレナーシップを職人達に浸透することができた成果だと思っています。このロジックが全国で行っている職人育成の研修「職人起業塾」の元になりました。

エボリューション&レボリューション

そして今、私が代表を務めている株式会社四方継は「建築、暮らしだけじゃない、その先に」とのスローガンを掲げて地域コミュニティーの創生と地域の課題解決、そして職人から始まる革命を全国に広げる学校事業を行うようになりました。共感の創造、共感資本社会の実現をテーマに地域から業界に、業界から日本全体に私達が教育の革新とビジネスモデルの変革の両面から社会をより良くして次世代に継ごうとする取り組みです。
職人の進化(エボリューション)は職人による革命(レボリューション)へと大きな渦になっていくと最近になって思えるようになってきました。
世界で最古の事業所は大工ですし、世界を牛耳っていると言われるフリーメイソンは石工の組合から始まったといわれます。職人と呼ばれる感覚と技能と思想、そして信念が必要な職業は産業革命後、随分とその地位を落としてきましたが、これからはそれを大きく巻き返す時代になるのかも知れません。若者よ、大志を抱き、エボリューション・レボリューションを成し遂げろ!

「進化は、種の全体が一斉に進化するのではない。種の中の変わり者がいて、その変わり者の変異を見て、上手く行きそうなら後から種の全体がついていく」 

ダーウィン 進化論

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教育と地域事業を通して職人革命目指してます!


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