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生きるに値すべき世界を実現する3つの階段③

日本の若者の死因の1位は自死。圧倒的な絶望を抱え、この世界を生きるに値しないと判断する若者が後を絶ちません。主要先進国では1位と世界を見渡しても豊かだと思われている日本の現状は若者が希望を見出せない国になってしまっています。

40歳以下の死因の1位は自死

絶望のスパイラル

自ら死を選択するのは非常に大きなエネルギーを要するのは想像に難くありません。実は、私自身も若い時にどん詰まりでどうしようもない状況に陥り、人様に迷惑をかけるくらいなら死んでお詫びをしようと考えたことがあります。しかし、「これまで何とかなってきたし、何とかなるさー」と全く根拠のない慰めと言うかアドバイスを妻から貰って思い留まった経緯があります。死ぬ気で頑張る。と言いますが、実際、どうにもならないはずの状況だったのが必死に努力することで結果、何とかなりました。どん詰まりでは無かったのです。それから数十年経った今振り返るとその程度のことで死ぬほど悩んでいたのか、何て無知で馬鹿だったのかと思いますが、一人きりで思い悩み、精神的に追い詰められると前向きな思考回路は停止して悪いことしか考えなくなり、人は闇の中に落ちていくものです。

表出化と共同化で生まれる希望

50代も半ばを過ぎて様々な経験を積むと、若かりし頃に大変だと思っていた事も笑ってやり過ごせる様になります。経験値が増えたからであることは間違いないですが、その大きな変化の根源は問題処理と問題解決の能力が身に付いたからではないかと思います。先日、とあるイベントで人の悩みについて考える機会がありました。老若男女、様々な人が集う中、皆さんが自分が今抱えている悩みをシェアして悩み相談のプロフェッショナルと呼ばれる僧侶にそれをぶつけていました。それを聞いていて感じたのは、若い頃の私と同じ解決策を探すことから目を逸らす思考停止と負のスパイラルに陥る闇の感情の支配です。要は、解決する糸口とそれを引き込み活路を見出す行動力を失ってしまうのが悩みになっている方が少なからずいるとの印象でした。誰かと話し、一縷の望み、一条の光を見出すことができれば悩みでは無くなるし、悩みを深めた先にある絶望も回避できるのではないかと思うのです。

閉ざされた窓

圧倒的な絶望を抱える若者が確実に一定数存在するこの国を、生きるに値する世界に変えるには希望と言う光が必要です。また、心理学の大家、アドラー博士は「人が抱える悩みは全て人間関係に由来する」と断じられましたが、心理的安全性が担保されるコミュニティが存在し、悩みを打ち明けられて、例え何の根拠もエビデンスも無くても、慰められ、励まされるだけで絶望には至らないのではないかと思うのです。若者の自死問題をみると、今の日本の社会は効率化と金銭的な価値観が重視されるあまりそんな開かれた窓が存在せず、閉鎖と拒絶が連鎖して断絶してしまっていることの証左ではないかと思うのです。

社会は地域、地域は企業から変わる

生きるに値する世界とは、誰もが希望の光を見られること、社会がそれを提示することだと思います。そして社会は地域社会の集積であり地域社会は地域で生業を為す会社の集合体。事業所の一つひとつが我こそが社会を構成しているのだと認識すべきです。そんな地域企業が表面的に見える学歴や能力の条件で限定することなく、誰に対しても門戸を開いて人を人として見る、表面に現れていない潜在的な才能に着目して誰しもが持つ「良知」と呼ばれる可能性を信じて若者を迎え入れる体制を整えれば社会は必ず変わると思うのです。地域社会にとって良い会社が増えて、その会社同士が連携して社会を変えるプロジェクトを立ち上げ推進し、人が持つ個性が生かされる場を作り出す。条件や差別を排して人を受け入れる事業者がスタンダードになれば生きるに値する世界に近づくのではないかと思うのです。

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学歴以外の生きる力を育むキャリア教育の職人育成高等学校を運営しています。

未来創造企業の事例を集めた書籍に取り上げて頂きました。
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