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生きるに値すべき世界を実現する3つの階段② 〜社会をよくするムーブメントの起こし方〜

昨日のnoteでは若者の死因のNO1が自死であるこの国の圧倒的な絶望と閉塞感に包まれている現状をなんとかしたいと、建築の世界で私たちが取り組んでいる「良い会社」を増やす取り組みについて書きました。本業で社会課題を解決する、CSV経営や三方よしのビジネスフレームが全国の地域企業のスタンダードになれば、政治の力で社会を変えられなくても、民間から生きるに値する世界の実現に一歩踏み出すことが出来るのではないかと考えています。
しかし、世の中の企業が良い会社に変わったからと言って社会全体の制度が変わる訳ではありません。企業単体の活動はあくまで個別の経済活動であり、絶望に包まれている社会制度の矛盾や若者の蹉跌を解消する訳ではないのです。経営者の意識が変わり、企業の在り方が見直された後に必要なステップについて考えてみます。

ムーブメントを巻き起こせ!

孔子が言い残した言葉を弟子達が編纂した論語。そこから抽出された大学には、国を治むるには家を治め、家を治めるには自分自身を治むるべし。と繰り返し書かれています。この国を良くするには、まず地域を良くする。地域を良くするには地域経済を構成している企業が良くなり、企業が良くなるには経営者やそこに集う人達が在り方を正し、今だけ、金だけ、自分だけのパラダイムから脱出するしかありません。未来創造企業を代表とした第3者認証を受けた「良い会社」がスタンダードになるのが、生きるに値する社会を実現する入り口ではありますが、潤沢な資本を持つ訳でもない地域企業が1社で出来ることはたかが知れています。しかし、その地域企業は全体を俯瞰すると97%と言われる圧倒的大多数を占めており、力を合わせて地域や業界を良くしようと取り組めば、ムーブメントを起こせる可能性があると思っています。

1000のプロジェクト

生きるに値する世界の実現のために、絶望に包まれた現状を打破するには、社会課題を生み出し続けている現在の間違ったスタンダードをひっくり返す必要があります。そして、新たなスタンダードを確立するには普及したと認められる数の力が必要です。一社での奮闘ではどうにもならない厳しい事実をこれまで私は繰り返し経験してきました。
同じ志を持った地域企業が手を携えてプロジェクトを立ち上げて、微力ではあるが無力ではない力を合わすことで国の制度を変えることなく、世の中の環境を少し変えることができるのではないかと思うのです。これができれば、国や自治体も制度の見直しをせざるをえな状況になります。これが根本的な課題解決、社会の変革に繋がると思うのです。
生きるに値する世界実現の為の2つ目のステップは良き意図を持った志高い経営者、事業所が手を携えて日本中で同時多発的にプロジェクトを立ち上げて、相互に協力しあいながら同じ目的、理念に向かって進むことだと思っています。私が世話人を務めている経営実践研究会では「プロジェクト1000」とのタイトルを掲げて1000社の会員企業が活発に社会課題解決のプロジェクトを立ち上げています。

志×技能×キャリア=職人高校プロジェクト

そんな「プロジェクト1000」の一環で、私達は現在、関西を中心に同じ志を掲げた建築事業所の経営者と共に、通信制Wスクールで高校の卒業資格を取得できる職人育成の高等学校を全国に展開しています。現在はまだ、兵庫、大阪、京都、奈良で12校(12社)の事業者が学生の受け入れる環境を整備終えた状況で、その数はまだまだ少ないですが、既にその学校の運営を行う一般社団法人マイスター育成協会には全国で40社ほどの事業所が登録されており、確実に全国に広がっています。もちろん、全社が未来創造企業の認定取得企業を目指してキャリアパスや賃金テーブル、マネージメント層までの評価制度等も含めたガバナンス整備を進めています。
先日、東京ビッグサイトで行われたリフォーム産業フェアで、マイスター高等学院の事業参画の説明ブースを出展したところ、ひっきりなしに建築関係の経営者が訪れ、熱心に説明を聞かれていました。即、参画したいと決断を下された経営者も少なからずおり、しかも業界で有名な影響力の大きな事業所の経営者もおられました。今後、建築業界のスタンダードを変えていくのだとの私達の想いが現実味を帯びてきたのを感じた次第です。

ムーブメントは状態に由来する

私達が建築業界の職人不足問題と同時に圧倒的に増え続けている学歴社会の枠組みからこぼれ落ちた若者達に活躍の場を提供するプロジェクトは全国に本物のキャリア教育を普及させる取り組みであります。その実現のためにはそれぞれの地域社会との深い関わりも中学校の教員をはじめとした教育関係者や親御さんからの理解が必要です。建築業界だけのコミュニティーでは絶対に私達のプロジェクトは具現化することはありません。その意味で、業界を横断した良い会社同士の繋がり、インフラとしてのコミュニティーが必要です。
ムーブメントを起こすにはまずひとりの熱く固く高い志が必要です。しかし、その人を認め、支えるフォロワーが存在しなければ、その一人はリーダーにはなり得ません。真に重要なのはリーダーの想いや行動力ではなく、共感して共に目的に向かって走ってくれるフォロワーの存在であり、その前提として同じ課題感、大きな方向性、同じ言語を持ったヒューマンインフラと言われるコミュニティーの存在です。その状態が整ってこそ目標を達成し、目的に近づくことができると思うのです。
生きるに値する世界を実現したいとの共通の目的を持った共同体の再構築こそ、真の民主化、共感資本社会へと進む社会変革に欠かせないステップであり、それは諦めることができない未来です。
多くの志の高い方々と熱狂しながら進めていきたいと思います。

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日本にモノづくりのキャリア教育を根付かせるプロジェクト進めています。是非ごご参加ください!

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