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コミュニケーションとは何か 〜チャンクダウンと実践〜

課題は何ですか?うまくいかなかった原因は?と質問すると「コミュニケーション不足でした。」という答えが非常に多い確率で返ってきます。何でもかんでもそこに原因を持っていくのを聞いて、
コミュって永遠のテーマかよ、」と思うこともしばしばですが、コミュニケーションという誰もが知っている、人間社会を成り立たすのに重要かつ不可欠な言葉は意外にぼんやりした概念になっており、その意味をチャンクダウン(コーチングの世界でよく使われる細分化の意)して実態を観る必要があると以前からずっと思っていました。最近、そのインサイトに触れる機会があったのでここに書き残しておこうと思います。

コミュニケーションは自然に悪循環する

ちなみに、人の持つ課題や問題は全て人間関係にある。と断言されたのは心理学の大家アドラー博士です。短絡的に考えれば人間関係を改善することで全ての悩みは解消することになりますが、人間社会で生きるというのは複雑に絡み合った多くの人間関係の上で成り立っていて、それは直接顔を合わせて向き合う人ばかりとは限りません。会うこともない、知っているだけの人とも潜在的な人間関係は存在していて、そこに改善の余地を見出すのは非常に困難です。また、沈黙は人を恐怖に陥れる効果を持っています。対面で会っていても話したり、触れ合ったりすることなく距離を保っていると、人は何を考えているのか分からず、疑心暗鬼に陥っていきます。すると、余計に距離をとってしまうようになり、コミュニケーションの悪循環が起こります。人間関係を改善するって一筋縄ではいかないし、だからこそ永遠のテーマになってしまっているのだと思うのです。

概念を実践に結びつける再定義

私が主宰している建築実務者向けのビジネススクール「職人起業塾」では、コミュニケーションのクラスを3日間設定しています。創生期のJALアカデミーの講師であり、関西接遇界の大御所と言われる横山桂子先生を講師に招き、コミュニケーションにおける形と心の両面から本質的な人芸関係改善についてレクチャーいただいてます。研修の中で横山先生が繰り返し伝えられるのは、コミュニケーションとは相手の立場に立って思考したり、行動することである。との定義づけです。この再定義を理解することによってコミュニケーションの本質を垣間見れると思うのですが、相手の立場に立って考えるには、ある一定の経験と、豊かな想像力が必要です。残念ながら、一生懸命に相手が思っていること、感じているであろうことをイメージしてそれに対応しようとしても、それが的外れな可能性もあります。少しのズレが逆効果になることもあり、この定義は実は経験豊かな上級者向けだと感じることもしばしばです。若年層を対象にした研修ではもう少し、エラーの可能性が少ない定義が必要かもと感じることがありました。

全国世話人会議

学び続けるのはコミュニケーションの本質

少し話は変わって、先の週末、琵琶湖の北部、彦根にて、私が世話人として参加している経営実践研究会の全国世話人会議が開催されました。もうすぐ1000社を達成し、本業で社会課題を解決すると志を掲げた経営者が集まる団体の運営で中心的な役割を担うリーダーが集い、地域企業からより良い社会へと変容させるためのヒューマンインフラの構築について話し合いました。
その会議の中で、藤岡会長が熱をこめて語られたのは、組織づくりにおけるコミュニケーションの重要さとその本質です。以前のnoteにも書いていますが、この研究会では非常に重要で奥が深い2つの概念について学び、実践を繰り返しています。それが社会の変革に繋がると私は強く感じており、運営側に回って熱心な活動を続けています。2つの概念とは「人の心はどこにあるのか」と「人の幸せは人にしか導けない」との上述のアドラー博士や横山先生が示している本質を実践に結びつける再定義でもあります。
2つの概念について詳しくはこちら、

謙虚さと素直さ

人の心の在処を感じられるようになるには間違いなく数多くの経験を重ねる必要があり、私のためには実践での裏打ちが必要です。見た目ではわかりにくい人の心を見抜いて、それに積極的に寄り添うことができれば圧倒的に人との関係性は良くなります。また、せっかく心の在処を見出すことが出来たのならそこにある悩みや苦しみ、悲しみを取り除いたり、喜びを大きくしたりしたいと思うのが人の常。しかし、万能の神でもなければ、圧倒的な力を持つ皇帝でもない「ただの人」が関係を持った全ての人に対してそんなことができる由もありません。自分の脆弱さ、影響力の小ささに謙虚に向き合えば、そこを補えるように自分で出来ないことができる人との関係を求めるべきで、それが経営実践研究会で行っている共同体の再構築であり、組織づくりであり、社会変容への布石です。ここにアドラー博士が言ったコミュニケーションによる社会課題解決の実践があります。

経営実践研究会、全国世話人会議

まず、与えること

全国世話人会議で藤岡会長が口にされた、コミュニケーションを概念から実践にチャンクダウンさせるシンプルな再定義は「コミュニケーションとは与えること」との言葉でした。この分かりやすい考え方は例え経験が少なくても、人の心の在処をイメージできなくても常に実践することができます。その延長線上に、やがて、話さなくても、対面で会わなくても人の心の在処が分かるコミュニケーションの上級者への道が開けると私は考えています。
もし、今の閉塞感が漂い、未来を標榜できなくなりつつある日本で上述のコミュニケーション理論を深く理解して実践する人たちの共同体の再構築が成されたら、アドラーが示した人が持つ課題を根本から解消できる人が各地域に存在し、お互いがお互いを補い合いながら、目の前の人を幸せに導ける社会へと変容を遂げる可能性があると思うのです。
まず、与えることからやってみよう。改めて強くコミットする素晴らしい機会を頂けました。ご縁に心から感謝するばかりです。
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人が中心となって誰もが幸せになる民主的な社会変革を目指して、様々な活動を行っています。繋がってください!


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