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志は奇跡を起こすのか? 〜福島へ〜

福島に来ています。経営実践研究会の実践研修で福島の今とこれからを見て感じて、志に突き動かされて生きている人に触れる、そして自分に置き換えて考える貴重な機会を頂きました。自治体の首長や福島で復興事業に精力的に取り組まれているルナウエアの岩本社長をはじめ多くの方とご縁を頂き、盛り沢山で深い学びに溢れた2日間の研修でした。現地のメンバーにアテンド頂き、数多くの場所を訪れましたが、その中でも私の中で最も深く印象に残ったのは経営実践研究会のメンバーでもあり、トラックに子供が描いた絵をラッピングする交通事故撲滅の啓蒙活動でも有名な宮田運輸の宮田社長が遠い福島の地でスタートを切られた新たなチャレンジです。

除染土の山

荷物が届かない地域

東日本大震災から11年が経ち、徐々に避難区域の緩和が進み始め、様々な取り残された地域、福島の復興の取り組みが進む中、建設工事のダンプでの土砂の運搬が追いつかないと、本業では大阪で貨物運送をされている宮田運輸さんに少し畑違いのオファーがあった事から宮田社長の福島での事業が始まったと言います。困っている人からのオファーに応える宮田社長の漢気を感じるエピソードです。そして今回、未だに事業者向けの配送が行われておらず企業誘致の障害になっている双葉郡に物流センターを作り配送のインフラを整えるべく、何も無くなり、誰も居なくなった富岡町に事業所を出される決断をされました。今の日本に荷物が届かない、送れない場所があるとの事実には驚きましたが、その問題を解決すべく動いた自治体や国からの要請に対して大手運輸会社は全社、その採算性、事業性の難しさから首を縦に振らなかったとの事です。物流のインフラが整っていない場所に事業誘致はできません。しかし、工場や事業所がない地域には物流拠点を作れないのもまた然り、そんな卵と鶏の睨み合いになっているジレンマの解消に宮田社長が手を挙げられました。

富丘町の事業用地

枠を飛び越した志

そんな、潤沢な資本を持つ大企業の誰しもが嫌がる様な場所へのオファーを宮田社長は3秒かからずに即断即決し、福島への進出を決められたとの事でした。曰く、頭で判断したのではなく魂が反応したと。自分の出来る枠を飛び越えている事は分かっていたが、福島の復興に寄与する事に心が燃えた。との事で、それを社に持ち帰って一緒に福島に行くメンバーを募ったところ4名の社員がそれも即決で一緒に行く。と言ってくれたらしく志を理解してくれる社員さんが居てくれる事に深い感謝の言葉を口にされておられました。
実は上述の宮田社長の決断の話は以前に経営実践研究会の兵庫定例会に来られた際に私は聞いて知っていました。その時も凄い勇気と決断だと志の大きさに深い感銘を受けました。しかし、今回、実際に福島に足を運んで現地を訪れて正直、唖然としました。何もない、誰もいない土地、周りに物流のニーズを持った工場などの事業所が全くない富岡町の広大な土地は恐ろしささえ感じました。こんなところに配送、物流センターを作ったところで採算に乗るまでに一体どれくらいの年月が必要なのかイメージさえできなかったのです。

宮田社長による事業説明

志は奇跡を起こす

私が感じた不安は当然、宮田社長も感じておられると思います。もちろん、国や自治体に請われて事業所を出す訳なのでそれなりの補助を受けることになりますが、補助金や助成金は初期投資には適用されますが事業継続のためのランニングコストは一切出ることはありません。何もなくなった、誰もいなくなった土地に新しい事業所を作り雇用を産むことは素晴らしいことですが、それは完全に企業の責任においてのみ行われます。砂利敷きの更地になっている事業計画地で宮田社長が構想を話されている時に垣間見せた厳しい表情はこれから容易に想像できる茨の道に突き進む固い決意の表れのように感じました。この世には目に見えるものと見えないものがある。これまではわかりやすい目に見えるモノの価値(Ex.お金)が重要視されて来ましたが、世界のパラダイムが逆転した大転換の時代には目に見えない信頼、評判、知識、関係、共感等の太古の昔から綿々と人が大切にしてきた価値が中心になると言われていますし、そんなパラダイムシフトが起こることを私は信じています。一見無謀だと思えるような宮田社長の挑戦はその志の大きさに感化された人たちの協力と応援できっと早晩に成功すると思います。
志は奇跡を起こすと信じています。

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志を明確にする研修を行っています。


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