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地域企業のSX(ソーシャル・トランスフォーメーション)に社会的養護のフレームが最適な理由。

昨日、私が代表理事を務める一般社団法人マイスター育成協会の記念すべき第一回目の総会を行いました。当法人は中学校を卒業した若者が、志を明確にするビジネススクールでの学びを基本に、現場で働きながら技能を身につけ、給与を得ながら高校卒業資格が取得できる新しい形の高等学校、マイスター高等学院の運営と、そこで行われるリアルで未来に直結するキャリア教育の普及を目的としています。2023年3月の法人設立後、現在55社もの会員企業に取り組みに賛同頂き、全国で活発な活動を展開しています。

若者たちに選択肢を!

今回の総会では、前期の事業報告と新たに取り組む今期の事業計画について説明して議案の承認を得ました。15歳から18歳までの時期は子供と社会を繋ぐ中心的期間であり、また人生の選択を行うタイミングでもあります。この時期に社会で活躍出来る力を身につけ、働くことの目的を明確に持つことはIkigaiを持って生きる人生への第一歩を踏み出す事が出来ると考えています。戦後の高度経済成長を経て、日本は完全に学歴偏重の社会になり、高校、大学への進学は明確な目的を持たないまま、受験競争を勝ち抜いて、人を押しのけて少しでも知名度の高い、良いとされている学校へ進むのが良しとされるのが社会の価値観になってしまいました。日本の教育は社会との関係性を無視して形骸的なラベルを取得するだけになってしまっており、それに意味を感じない子供達が学校にNoを突きつけ、現在では30万人を超える児童が不登校となっており、10万人が高校からドロップアウトしています。私達はそんな若者達に学歴だけでは無い社会で活躍出来る選択肢を提供しています。

社会的養護の現実を知る

そんな本質的なキャリア教育の学校を立ち上げ、子供達を受け入れるサポート校として広く事業所を募る活動を展開する中で、様々な人や団体に、一緒に新しい教育の在り方を広めようとの声を頂いたり、協業、協働のお声を掛けてもらうことが増えて来ました。
広く様々な業界の方々と話す中、私達が提供する価値について再認識する機会を多く持つことが出来ました。その一つが社会的擁護を拡充させようとされている税理士法人エンパワージャパン代表の穂坂さんです。
大空の翼プロジェクトなる、養護施設で暮らす子供達を社会に馴染める様に学生時代からアルバイトとして雇用し、卒業後は正社員としての採用を広く事業所に呼びかけておられます。
近年、児童虐待の通報件数が爆発的に増えているとの報道を目にする様になりましたが、児童養護施設に入所する児童の数はあまり変わっていません。児童養護施設の運営は財政的にも厳しい所が多く、また新規での開所もあまり無いことから、キャパオーバーになってしまっているのが現状です。この乖離は今後、大きな問題になる可能性があります。

社会へのソフトランディングを提供できる学校

児童福祉法が改正され、施設で暮らす子供達は18歳を越えても施設で暮らし続けることが出来る様になりました。しかし、実質は高校卒業と共に働き始め、退所するケースが圧倒的多数を占めます。いきなり社会に投げ出され、慣れない仕事と一人暮らしをスタートさせるのは大きな負荷がかかるのは想像に難くありません。帰る場所も、相談する相手もおらず孤独感に包まれて社会に馴染めずに離職してしまう若者も多く、擁護施設出所者の1割が生活保護を受けているとの統計もあります。家庭に問題があり、社会的擁護を必要としている若者達に対するケアは十分に機能していないのが現実です。
私達が運営するマイスター高等学院では高校生の時点で将来就職する事業所で先輩に技術を習いながら社会で活躍できる力を身につけます。また、金銭的な面でも高校生時代から給与を稼げて、就職する時には見習いではなく、準即戦力として入社することが出来、一人暮らしを始めるにもかなりハードルを下げてのスタートを切れます。穂坂さんと彼からご縁を頂いた養護施設支援をされているフェアスタートさん達とmtgを重ねる中、私たちの取り組みは養護施設で暮らす子供達の社会へのソフトランディングが可能な形態であることに気付かされました。

DXからCXそしてSXへ

近年、時代の大転換期と言われるほどの大きな環境の変化を迎え、企業はその在り方を見直し、トランスフォーメーションと呼ばれる変化、変換、変形、変質を求められるようになっています。DX(デジタルトランス・フォーメーション)の単語はすっかり世の中に広まり、定着しましたが、その先にCX(コーポレート・トランスフォーメーション)と言われるガバナンス整備や組織の透明化、トップダウンからボトムアップ等の組織の転換も余儀なくされています。昭和、平成の時代に通用していた概念は令和では通用しなくなっています。そして、今、SX(ソーシャル・トランスフォーメーション)が求められるようになっています。溢れかえる社会課題の顕在化は行き過ぎた欧米式の強欲資本主義がもたらした結果であり、企業が収益だけを追い求める事業を続けていては、社会は格差と貧困。分断が進み成り立たなくなるとの懸念から、企業の在り方を見直すムーブメントが起こりつつあります。
企業がSXを進めるにあたってのフレームの中心にあるのが、ディンセントワークという1999年にILO(国際労働機関)が提唱した考え方です。
公正なグローバル化、貧困の克服、人間の尊厳、雇用における差別の撤廃といった労働における基本的な価値の実現を目指しており、日本では「働きがいのある人間らしい仕事」と訳されています。

ディンセントワークから始めよう

地域企業がこのディンセントワークを中心にしたSXを進めるにあたり、非常に取り組みやすく、社会的な価値も高いのが社会的養護への参入であり、今後、あらゆる業種、業態で人手不足が懸念されることを鑑みても、社会で活躍する若者を育てる、定着させる体制を整えることは大きな意味があります。これまで社会的養護と言うと経済合理性の外にある課題だと思われてきた節がありますが、今後、少子化の影響を受けて厳しい採用難の時代を迎えることを考えれば、採用費用の高騰も十分に予測できます。その費用を家庭で養護されない子供達に振り返ることで、SXを進めて社会的な存在意義を高めながら、事業の持続性も担保できる、そんなアクションになるのではないかと考えています。
時代の変化に取り残されず、利益偏重、株主利益中心の経営から存在価値中心の経営へとトランスフォーメーションするには、事業所が学校の機能を備え、地域の子供達を迎え入れ、育む機関になるのは非常に親和性が高く、参入障壁が低いアクションだと思うのです。

https://empower-japan.com/social-contribution/wings-project/

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事業所が学校にソーシャル・トランスフォーメーションする、新しい職業訓練の高校の開設、運営にご興味がある方はお気軽にご連絡ください。

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