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パーパスの重要性と世界平和との深い関係

世界を良くするアイディアをシェアする場として人気のプレゼンテーションイベントTED。その中でも特に有名で大きな話題になったのが2009年にサイモン・シネックが行ったstart with why(何のためにから始めよう)と言うプレゼンテーションです。そこでは、何のために?と言う問いを繰り返すことで目的を明確にしそこから何を、どのように行うかの順番で物事を考えることで圧倒的に支持されるビジネスになると提唱されました。乱暴にまとめると目的こそが何よりも重要だと言うことです。 

パーパスの有用性と重要性

少し前に日経新聞でビジネスマンに対するパーパスについての意識調査報告が記事になりちょっとした話題になりました。英語のパーパスを直訳すると一般的に「目的」を意味しますが、企業経営の現場では「社会での存在意義」や「志」と訳されます。世界的に、弱肉強食の強欲資本主義からの脱却、持続可能な循環型、共感資本社会へのシフトが声高に叫ばれるようになった事と歩調を合わせるように、自社の事業と社会との関係性を重視した経営手法として日本企業の間でも注目を集めるようになっています。言ってみれば10年以上前にサイモン・シネックが提唱していたゴールデンサークル理論通りの流れです。

イマカネジブン

私が主催する一般社団法人職人起業塾で行っている実務者向け研修でも最も重要なコンテンツとして、塾生が働く目的や志と、事業所の目的(パーパス)が整合しているかどうかを確認しています。ビジネスにおける原理原則論として、何よりも重要なのは信頼と信用である事に異議を唱える人はいないと思います。今だけ、金だけ、自分だけ良ければ良いと考えている人や事業所に仕事を依頼したい、そこで働きたいとも思わないのは誰しもで、そこからの脱却は目的がどこに設定してあるか、パーパスに起因します。逆の側面から見れば、世の為人の為、金銭的な損得だけに囚われず、未来が良くなる様に考えて働く人や企業は圧倒的な信頼と支持を集めます。この程度の事は社会に出ていない子供でも理解しているはずです。

アリンコ並みかよ、

そう考えれば、一般的な日本人なら全ての人が目的、パーパス、志の重要性を認識しているはず。にも拘らず、研修や勉強会で「あなたの働く目的は何ですか?」と問いかけると「安心して何不自由なく暮らせるようになる為です。」「家族を養う事です。」「悠々自適に好きなことをやって暮らしたいです。」「幸せになる為です。」と、非常に残念ですが、今、カネ、自分の価値観に陥って答えられる事が少なからずあります。おいおいおい、とツッコんでしまうのですが、福沢諭吉先生に言わすと、額に汗して一生懸命働いて家族を守り、生活を安定させるなど、蟻でも立派にやっとるわ、アリンコ並みかよ、と学問のススメに書かれておりました。

消えたパーパスの重要性

目的の重要性を頭の中ではわかっているのに何故、実際の行動が伴わないというか、自分事にして考えられていないのかと私はとても不思議でした。ちなみに、私の名前は“剛志“で英語に直すと“strong Pappas”となります。物心ついた頃から剛い志を持って生きる事に呪われており、繰り返しその事についての自問自答をし続けて来ました。志を掲げる事が当然の環境で生きてきたと言っても過言ではありません。しかし、私はたまたま生まれた時に呪いをかけられていたからそんな事を繰り返し考える環境にありましたが、今の学歴偏重の資本主義社会では学校でも社会に出てからも志について、その重要性を教えられる事も考えるタイミングも無いのだと気がつきました。経済最優先でうまく稼ぐやり方が溢れかえる世の中になり、パーパスはいつの間にか一般的な常識から消えてしまったのです。

個人主義の弊害

目的、存在意義、志の重要性は基本的には理解している、しかし深く考える機会も無ければ必要性を感じる事もなく生きていくのが一般化している世の中だからこそ、中心にWhyの問いを据えるゴールデン・サークル理論が大発見だともてはやされたり、最近になってパーパス経営が取り沙汰される様になっており、世界は成熟と共に本質、原理原則に立ち返り始めてのだと理解しています。また、弱肉強食の資本主義は自己責任を最重要にしてきた事も大きな影響を与えていると考えます。個人主義は他者への思い遣りを希薄にします。核家族化や都会での地域コミュニティの崩壊がそれに拍車をかけて古典的な共通概念であったはずの誰かの為に、世の為、人の為に働くべし。との意識が消えてしまったのでは無いかと思うのです。

人間が人間である所以

人間が人間である所以は社会生活を行うことです。特性を生かした役割分担をする事で生み出される豊かさを享受する事でホモサピエンスは繁栄し地球を制覇しました。そんな歴史を鑑みても現代の個人主義が行き過ぎた社会は大きな歪みを生み出しています。産業革命や大航海時代を経て際限の無い成長、発展、拡大を目指し続ける中で、格差の拡大、掠奪と紛争、民族間の分断等々、解決困難な幾多の社会課題を生み出し拡大しています。ロシアがウクライナに対して圧倒的な暴力での現状変更を強いて、世界に核の威力で恫喝をするという前時代への反動の所業が行われてようとしている今こそ、誰しもが薄々気づいている、何の為に?との問いに向き合い、イマカネジブンの価値観からの脱却を行う時だと思うし、それが出来なければ世界は破滅してしまいます。

世界平和への第一歩

そもそも目的や志の重要性をわかっている人にとってやるべき事は至って簡単です。まず身の回りにいる人や地域、環境に関心を持ち、その人を助ける、誰かへ貢献する事が出来無いか、誰に喜んで貰いたいか、未来を担う子供たちに少しでも良い地球を残すには何が必要か?仕事を通してそれらに寄与出来る事は無いか?そんな事を考える機会と時間を持つだけです。まずは考えてみる、そしてそれを咀嚼して本当に自分がやりたい事か、やるべき事かを明確にしていくと自ずと行動も変わって来るのは私の経験則で実証済です。初めのきっかけは福沢諭吉先生の本や論語を読むでも良いし、サイモン・シネックの動画を観るでも良いし、もしくは志を語る人達に出逢い、話して見るでもいいと思います。それが大きく裾野に広がった時、平和で持続可能な誰もが取り残されない良い世界への移行が進み出すと思うのです。全ての人や企業がパーパスを明らかにする事から世界平和への第一歩ではないでしょうか?

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