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俺たちがサスティナブルじゃないといけないわけ。

元大工の私が下請けの職人から脱却して元請け工務店の経営を目指した理由の1つに、起業当初に問い合わせを受けた、地域に住まわれている方が「リフォームやメンテナンスをする際に新築をした会社に頼めなくて、どこに頼んだらいいか分からない。」と立て続けに言われる状況だったことがあります。
当時リフォームのお声掛けをいただいたお客様先で1番よく耳にしたのは「新築の時に建ててくれた工務店さんはもういなくなっちゃった。大工さんの工務店ってすぐなくなるよね、」との声でした。そんな同じ業界の先輩方のことを聞いていて、一生に1度の買い物と言われる高額な住宅と言う商材を扱っているからには売りっぱなし、建てっぱなしで後は知らんと言うのはなんとも無責任極まりない、それじゃあかんやろ。と若かりし頃に思っていました。
その受け皿として自分たちがまともな工事を行って地域の方に安心と安全を提供したいとの想いが強くあり、元請け工務店を目指そうと思ったのでした。
それから約20年、月日が流れるのは早いもので、私も50代半ばになり初老と呼ばれる年代です。そろそろ真剣に、先輩の大工工務店と同じ轍を踏まない様に事業承継を考えなければならない歳になりました。

ライフコストシミュレーションと30年後の未来

少し前に、築50年のご自宅をリノベーションするか、新築で建て替えるかで悩まれている方をご紹介いただき相談に伺いました。古くなった家に住み続けるにも安心して快適に住めるようにと考えて耐震補強や断熱化を含めたリノベーションのプランと、坪数を絞った小さな新築に建て替えるプランを提示して、イニシャルコストだけではなく光熱費や住宅ローン金利、減税措置なども含めたランニングコストの30年間のシミュレーションを行いました。その両方のプランのライフタイムコストの比較の結果は100万円程度、新築に建て替える方がコストがかさむ結果になりました。私としてはその程度しか差がないのなら、より安全で快適に住める新築への建て替えの方が良いのではとお勧めした次第です。
そのお客さんは私に「30年先まで見通して提案してくれるのはありがたいが、あなたは今いくつですか?」と暗に私たちの事業が30年先まで続いているのか?との厳しい質問を投げかけられました。その方曰く「これまで新築や増築を繰り返してきたが、それらの工事をしてもらった工務店は全ていなくなっており、これまでずいぶん困ってきた経験がある。」とのことで、また同じ轍を踏むのではないかと危惧されているようでした。冒頭にも私が起業した際のエピソードを書きましたが、小さな工務店が創業者の加齢とともに事業継承を行えずに廃業してしまうのが如何に住まい手に取って大きなストレスになるのかを改めてまざまざと見せつけられたような気がしました。

事業運営グループへの事業継承

時代の大きな転換期に生きている私たちは、圧倒的なテクノロジーの進化やICT、情報革命が急速に進み、30年後はおろか5年後の事さえ予想がつきにくくなってしまっています。VUCAと言われる非常に先行き不透明な時代ではありますが、わからないからと言って未来のことを考えるのを諦めて、今だけ良ければいいと刹那主義に走ってしまうのは事業所にとっても人としてもあまりにも無責任です。そのお客さんの厳しい質問についての私の返答は「未来のことについて決して確実な事は言えませんが、いつ私がいなくなっても大丈夫なように在籍10年以上の社員たちに対して現在、事業承継の取り組みを行っている真っ最中で、あと5年半で次の20年に向けて株式を全て譲って事業を承継する手はずを整えているところです。」と申し上げました。3人集まれば文殊の知恵と言いますが、私達は誰か1人に社長を託してしまうのでは無く、長く共に働き、建築のキャリアを積んだプロフェッショナル達がグループを組んで事業を運営する会社を目指しており、事業承継のリスクはそんなに高くないと説明した次第です。

俺たちがサスティナブルじゃないとならん訳

私たちのような地域に根を張り、ライフインフラを支える事業を行っているものは、その仕事の性格上、持続可能なビジネスモデルを作り上げることが欠かすことが出来ない使命だと思っています。しっかりとメンテナンスをして長期優良住宅と名付けられた100年間もの長きに渡り資産価値が保てる住宅を提供する以上、私たちも100年企業になる責任を負っており、自らがサスティナブルにならなければなりません。
そのための根本的な取り組みが人材育成であり、特に注力すべきは建築の本質である実際のものづくりを担う職人の育成です。また同時に外部環境に左右されずに収益を上げ続けれる自社独自のマーケット(=コミュニティー)の構築、それを叶えるために顧客から共感を得られるような事業の実装が必要だと考えています。その部分については昨日のnoteに詳しく書きました。こちら↓

とにかく、俺たちは目の前の課題と同時に事業を100年先まで継続させるための未来の課題に取り組み、解決していく必要があり、サスティナブルなのは存在意義を保つのに不可欠な要素なのです。事業承継に正面から取り組み、進めて行く所存です。

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