終わりかけているこの国の未来を創造する3つのタスク② 〜一縷の望みは共感で繋がる共同体〜
先日のnoteで総務省が発表している統計に真剣に向き合えば、この国は2050年に詰むことが明らかだ。との警鐘を鳴らしました。
人口が30%減、その内の40%が高齢者、年少者は10%に止まるとの衝撃の予測。というよりも既に事実は、その先の50年ではその10%の子供たちが生産者人口の全てになることを示唆しています。このままではギネスブックに世界最古の国と登録されている日本は消滅してしまいます。
詰んだ、とさえ思える日本を変えて、未来を創造するにはどうすればいいか?を引き続き考えてみます。
まず、ザルの目を詰めろ
前回のnoteでは「既に決まった未来を変えられる可能性」として、本来、生きて活躍するはずだった20万人もの人が自ら命を絶ったり、せっかく宿した命を中絶してしまうことに対して、生きるに値する社会だと感じてもらえるようにするところから考えてみるべきだと書きました。
出生数が80万人を切ってこれから加速度的に人口減少が進むと言われる中、20万人の命を救えたら、人口減少のグラフの角度が変わります。既に女性の平均年齢が50歳を超えて、晩婚化が進む中、出生数の大幅改善を望むよりもまず、こぼれ落ちる命を救えるようにザルの目を塞ぐ方が効果が大きいのは想像に難くありません。
そして、自殺や中絶の問題を各地域の課題だと捉え、絶望する人たちが実際に住んている場所に救いと希望、未来を創り出す取り組みを進めることで、日本滅亡を阻止できる可能性が生まれると思うのです。
それぞれの地域から、この国の未来は変えられる可能性があります。
主役は地域企業
その主役は誰か?との問いの答えはこの国の97%とも言われる圧倒的大多数を占める中小企業(地域企業)しかありません。
中小企業に社会を変えられるような大した力がないのも自明ですが、一社だけで社会を良くする、地域を変える取り組みを進めるのではなく、より良い社会を次世代に残したいと志す企業が連携をはかり、共同体を構築することで、大きな影響力を持つことができます。まずは地域企業の経営者が我こそがこの地域を、日本を救うのだと目覚めることです。そこは以前のnoteに書いてます。
その入り口として連携して共に未来を創るべき良い企業(=未来を創造する企業)の定義を明確にし、その基準をクリアする企業を認定する制度が広がりを見せています。
一般社団法人未来創造研究所がその認証機関として機能しており、既に200社にも及ぶ未来創造企業認定企業が全国で生まれています。この企業が連携して、社会にインパクトを与えるクリティカル・ビジネスを次々と生み出す土壌になりつつあり、私がCOL(コミュニティー・オーガナイジング・リーダー)を務めている一般社団法人経営実践研究会を母体として立ち上げたプロジェクトである「マイスター高等学院プロジェクト」も未来創造企業の連携事例の一つです。
未来を創る3つのタスク
現在、半年に一度募集される未来創造企業認定へのエントリーは毎回60社に限って受け付けられています。そこには既に社会課題解決を事業で取り組まれている素晴らしい企業も参画されていますし、この認定エントリーを機に企業の目的や存在意義、事業ドメインを見直し、生業を変える勢いで変革に取り組まれる会社もあります。
私は未来創造企業認定プロデューサーとして認定取得のサポートも行っています。ちなみに、これまでは一般社団法人経営実践研究会のメンバーを主体に活動の指針として認定取得を進めてきましたが、今期から一般の企業の受付を開始することになりました。広く多くの企業にチャンスが広がります。
以下に、私がサポートの際にお伝えしている未来創造企業に認定され、その後も事業内容をブラッシュアップしていくに当たって留意すべき点を3つに絞って記しておきます。
時代の大きな転換期に入って、これからはこれまでの延長線上にないと考えて、新たな時代に適応したビジネスモデルを模索されている方の参考になれば幸いです。
①現場からの新たな価値創造
企業が未来を創るとは即ち、未来の事業を生み出すことであり、現在から未来に絶え間なく繋がる先々の収益を確保することでもあります。
マーケティングの基礎理論を紐解くと、
「市場創造=生涯顧客創造+未来顧客創造」であり、それぞれ、
生涯顧客創造:圧倒的信頼関係構築(現場価値の集積)
未来顧客創造:イノベーション(社会を良くする問題解決。)
がそれを担います。どちらも、その根幹は顧客に評価される素晴らしい体験を提供できているかに尽きます。
もう一段、ラダーダウンすると以下の通り。
信頼構築:現場実務者の顧客接点強化による質の高い関係構築(品質、工期、利益率、コミュニケーション向上)
問題解決:社会課題に繋がる圧倒的な顧客満足体験の創造(本質的な価値創造とインパクトの創出)
要するに、現場の価値を刷新する取り組みこそが未来へと繋がります。答えは現場にあるのです。
②未来型組織への変容
ごく当たり前のことですが、企業が存続するということは、それを支える人がそこにいるということです。
経営とは経糸を営むと書きますが、「持続可能性は社会への約束と責任」です。これまではオーナー一族が世襲を続けて脈々と事業を継承するのが一般的な日本型の事業承継のスタンダードでしたが、上述した通り、社会課題を解決するのがその企業の存在意義となり、事業の目的が社会の課題を解決し、未来を創ることならば。主役は経営者やオーナーから現場実務者にとって代わります。
企業が社会の公器としての色を強くすればするほど、「組織は組織を構成する人のもの」との民主的な建て付けにならざるを得ません。
そして、その企業で働く誰もが生きがいを感じて働ける組織への変容が求められます。
「私たちは何のために存在するのか?」「そして、どこへ向かうのか?」
組織を構成する全員が参加して、企業の存在価値を明確に理解し、一人ひとりが良き意図を持ち、誰でも持っている良知を開き、隠れた才能を引き出して最大限の効果性を発揮すべく、もっと自由に、のびのびとやりがいを持って働ける環境を整備することが求められると思うのです。
③ビジネスモデルCSV変革
最後は、あたりまえに過ぎますが、ビジネスモデルの変革です。
社会からその存在を認められ、必要とされる存在意義中心のビジネスモデルへの変容を遂げるべく、新たな三方よしを実現する事業を企画立案、及び実装を勧めています。
まだ活用し尽くせていない埋もれたリソース(主に人)に光を当て、自分達こそが解決出来る課題に取り組むことで、これまでの延長線上ではない、社会に良いインパクトを与えられる根本課題解決型企業への変容を促しています。
先日、従業員1000人規模の医療系の企業グループにて未来創造企業のキックオフmtgに伺った際に、事例として紹介したのは現代のマザーテレサとも呼ばれるロビンリムが運営しているインドネシアのブミセハット助産院です。
貧困層の女性の出産が非常に危険で、多くの問題を抱えているのを無料の助産院を創ることで解決に取り組んでおられます。これまで経済合理性が無いと見捨てられていた分野に果敢に向き合い、世界から注目を浴びるインパクトビジネスを実装されています。
昨年、訪問した際に私も衝撃を受けましたが、このようなビジネスが日本でも生まれる土壌を創りたいと強く思いました。
人口統計だけを見て判断すると、日本安楽死計画は既に完成しつつあります。ただ、地域に根差す企業が連携し、未来を見据えてなんとかしたいと悪あがきすることで、終わりかけているこの国の未来を変えられる一縷の望みもあると思うのです。未来を創造する3つのタスク、ご参考になれば幸いです。
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この国の未来を憂いて行動しなければと考えている方、ぜひ繋がってください。
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