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COPD患者の呼吸リハには大掛かりな運動器具などが必要なのか?いやそうでもないか?

こんばんは。

今日もアクセスしてくださりありがとうございます。

今日は、あんまり出してこなかったけど、COPD(慢性閉塞性肺疾患)のリハビリテーションに関してです。
慢性閉塞性肺疾患〜よりもCOPDの方が一般的になってますよね。

そのCOPDに対する呼吸リハはどうするのがいいのかということを検討したレビューになります。

レビューだから、あんまりグラフとか、見た目いい図とか入れれず申し訳ありません。
字多めでご容赦ください😅


抄読論文


Cheng SWM, McKeough ZJ, et al.
Pulmonary Rehabilitation Using Minimal Equipment for People With Chronic Obstructive Pulmonary Disease: A Systematic Review and Meta-Analysis.
Phys Ther. 2023 May 4;103(5):pzad013.
PMID: 37140475; PubMed. DOI: 10.1093/ptj/pzad013.
慢性閉塞性肺疾患患者に対する最小限の器具を用いた肺リハビリテーション: 系統的レビューとメタ分析
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【背景】

呼吸リハはCOPD患者に対して、運動能力、健康関連QOL(生活の質)、筋力と呼吸困難を改善するといった効果をもつ有効な治療手段です。
これに関しては多くの報告、ガイドラインにて認められています。

その中でも呼吸リハの重要な要素として、有酸素運動とレジスタンストレーニングがあります。
それらを実施する環境として、多くは病院施設内にて、有酸素運動にはトレッドミルや、エルゴメーターが使用され、レジスタンストレーニングにはウェイトトレーニングのマシンが使用されることがあります。

世界的に呼吸リハへの需要が高まっている中、このような機器を用いることを必須とすると、実際に呼吸リハを実施することができない方も多く存在してくるでしょう。

そこで、最小限の器具を用いたトレーニングを行うことで、このような機器がなくても実施することができるのではないでしょうか。

これらのテーマに関してレビューしたものはなく、本研究では最小限の器具を使用したリハビリテーションプログラムがCOPD患者に対して、さまざまな運動器具を使用した従来のプログラムと同様の効果を達成できるかどうかをレビューすることを目的としています。

【方法】

RCTを用いて、有酸素トレーニング、レジスタンストレーニング、または両方のトレーニングを行った有効性を評価した論文を抽出。

トレーニングの分類は以下の機器の使用により判断


スクリーニングの結果、最終的に採用された論文は14論文でした。

【結果】

6分間歩行距離は、通常のケアに比べて最小の器具を用いたトレーニングプログラムでも有意に増加を認めた。


最小の器具と大掛かりな器具に関してのトレーニング区分けは明確なものはないが、似通った形式の論文をあげても、差は認められなかった。


健康関連QOLでは機器を用いるものも用いないものも同様に改善は得られた。
中でもエルゴメーターを用いたサイクル運動よりも、ウォーキングを中心とした器具を用いない方法が改善が高いことを示すものもあった。

筋力に関しては、最小限であるチューブエクササイズとマシントレーニングを比較した結果、差が見られなかった。

【考察】

このメタ解析により、COPD患者において、有酸素トレーニングとレジスタンスとレーニングにおいては、最小の器具を用いた方法であっても、運動能力や健康関連QOLの臨床的に意味のある改善につながることを示した。

また、運動機器を用いた方法に比べても、劣ることはなく、改善する効果が得られることを示した。

有酸素運動に関しては、トレッドミルやエルゴメーターの使用と比較して、通常のウォーキング等でも十分代用の効くものであると判断できる。
ただ、トレッドミルなどで、管理した状態で行えるというメリットはあり、全身状態によってそちらを優先すべきであるといったことは生じるかもしれない。

レジスタンストレーニングに関しても機器を用いたものよりも最小限の器具であるチューブを用いたエクササイズでも十分効果が得られており、特に負荷をあげることが困難なCOPD患者にとってはチューブエクササイズが負荷として適度なものである可能性もある。

研究限界として、本レビューで採用した論文であっても、最小限の器具と大掛かりな機器を直接比較したものはなく、総合的に判断しているという点が正確性に欠ける可能性があります。

どのように活用するか

この論文の一番のポイントは、COPDに対する呼吸リハとして、大きな機器を用いて管理した上で行うということではなくても、在宅や地域で行えるプログラムに合わしていくことを念頭においているということです。

実際、入院中はいいけど、退院後同じような運動ができない。といったことは少なからず生じるかと思います。

その時に、この論文を思い出してみると、機器を用いなくても、しっかり歩行する、チューブなどを使用してレジスタンストレーニングを行う、といった形で呼吸リハが十分展開できるということを知ることです。

そこに、本研究のエビデンスが加わり、裏付けとなって患者さんに提供できます。

もし、COPDの方も見ていらっしゃったら、このような意識を持った上で、担当者等に確認してみるのも良いのではないでしょうか。


今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

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