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ハンズオン(だけ)では kintoneカスタマイズはできるようにならない! 〜ドシキンカス的 kintoneカスタマイズの学び方(kintone hive 2022 tokyo連動記事)

はじめに

みなさん、こんにちは。プロジェクト・アスノートの松田です。
サイボウズ公認 kintoneエバンジェリストをしています。
サイトに認定証を載せているように、kintoneの認定資格である、カスタマイズスペシャリストを保有しています。

プロジェクト・アスノートWebより

今でこそ、cybozu developer networkのコミュニティでコメントを書いたり、kintone関連のツール開発(kToolsブックマークレット等)をしたりするようになりましたが、私も数年前まではJavaScriptもまったく触ったことがないど素人でした。

cybozu developer networkのプロフィールより

ど素人状態から、自分自身が kintoneカスタマイズをどのようにして学んできたか? それを体系的に発信して、これから学びたい人の学習効率をアップすることに貢献できるのではないか?と考えて、情報発信を行っています。

最初にカスタマイズについて発信を始めたのは、2018年の年末、kintoneのアドベントカレンダーへの記事投稿でした。

https://pj.asunote.jp/first_step_of_kintone_customise/

この記事では、主にkintoneのカスタマイズが動く仕組みのことや、カスタマイズのレベル分けと各レベルに必要な知識やスキルについて、私の考え方を紹介しました。

それから4年。YouTube動画でも同様の発信を続けていたところ、今回kintone hive 2022 tokyo のざつだんスペースLTで、カスタマイズについてお話をすることになりました。

LTなので5分という短い時間ですが、この記事ではプレゼンを通して、広くみなさんに持って帰ってもらいたいことを、まとめておく、副読本的な位置づけで書きました。

「学び方」に注目してみた

今回のお話は学ぶ内容ではなく、「学び方」に注目してみようと思います。

この数年間、devNetコミュニティや、kintone devCampのセミナー、そして業務改善支援の仕事を通じて、さまざまなカスタマイズ入門者を見てきました。その中でずっと気になっていたことがあります。

この人、ずっと同じところでつまずいてるな・・・

どうしてそうなるのでしょうか?
記憶力が悪いから? そうではないと思います。

2つのパターンがあると思いました。

  1. そもそも学びを求めていない(答えが得られればOK)

  2. 「学び方」を間違えている

1つめは論外ですね。世の中に一定数存在する、
「自分が今困っていることが解決すればOKあとは知らない~」
という人たち。
そもそも学ぼうなどと思っていない人に学ばせるのは難しいので、対象外です。

問題は2つめ。学びたいという意欲はキチンと持っている。しかし、そのやり方が間違っているため、なかなか身につかないし、同じことを繰り返してしまう。本人やその人が属する組織にとってもこれはなんとかしたい。

この記事では、私自身の経験をもとにして、kintoneカスタマイズの効果的な学び方について、考察してみました。

kintoneカスタマイズを勉強したいとき、あなたは何をしますか?

今、kintoneカスタマイズを学べる場がたくさん提供されています。
各種有料セミナーや、サイボウズが主催の kintone devCampセミナー、kintone Café等のコミュニティなどなど

その多くが「ハンズオン」の形式で行われています。

ハンズオンというのは、あらかじめ課題が設定されていて、当日作るものが決まっています。そしてその解説用の資料も提供されています。
セミナーでは、講師が解説をしながら、段階的に手を動かしながら、課題をこなしていきます。

kintoneカスタマイズの場合でも、実際に手を動かしてコーディングするのは、参加者です。

サイボウズの devCampのセミナーにも何度か参加していますが、ここでもある疑問を持つことがありました。
このセミナーでは、各回の内容に応用編も含めた内容を、復習用コンテンツとして提供されていて、自習が行えるような素材が提供されているんです!

ところが、2回め以降のセミナーで「復習用コンテンツやりましたか?」という講師の質問に対して、手を挙げる人が非常に少ない。

そう。復習していないんですね。

子供の頃を思い出してみよう

ここで、子供の頃、何か新しいことができるようになるまで、どんなふうに学んできたか、思い出してみてください。

  • 掛け算の九九

  • 漢字の書き取り

  • 逆上がり

  • 自転車

大人になってからもありましたね。

  • キーボードのブラインドタッチ

  • スマホのスワイプ入力

これらをできるようになる過程を思い出してみてください。

僕は小学校低学年のころ、お風呂の中で掛け算の練習をしていたことを覚えています。
「今日は7の段ができたら上がろうね」
自転車もそうでした。
最初は補助輪を付けていましたが、補助輪を外すときも結構練習を重ねた記憶があります。

そして、そんな場では必ず、親や先生が助言してくれたり、励ましてくれたりしました。

学びの要素3+1

そうなんです。新しいことができるようになるためには、必ず通っていた3つのプロセスがあったんです。

学びの要素3+1
  1. 知る
    これは授業や人から教わったり、本を読んで学んだりすることですね

  2. やってみる
    自分で手や体を動かしてやってみる。たいがい最初はうまくいかない

  3. 繰り返す
    うまくいくまで繰り返し練習する。漢字の書き取り、九九の暗唱(お風呂のあれ)

  4. 師匠のアドバイス(+1)
    学校なら教師、家なら家族から、アドバイスしてもらったり、モチベーションを上げてもらったりという経験があったはず。
    師匠なので、代わりにやってくれるのではなく、自分でできるためのサポート役です。

数学の応用問題がいきなり解ける人はいません。その基本的要素である、四則計算や問題文章の読み取り・解釈、ロジカルな思考、そのすべてが繰り返し練習と、小さな失敗を繰り返しながら、身につけてきたことだと思います。

ハンズオンは家に帰ってからが本番〜自習のすゝめ

この「学びの要素3+1」を、kintoneカスタマイズのハンズオンセミナーに適用しながら、カスタマイズの学び方について考えてみましょう。

ハンズオンセミナーでは通常、動作することが確認された題材を、解説しながら段階的に作っていきます。資料に完成形のコードが書かれていて、基本的にはお手本を写していくという作業となります。

お手本を写すという作業においては、そこで起こる失敗はほとんどの場合がタイプミスとなります。
自分のコードが動かなくて講師やメンターに見てもらったとしても、
「あぁ、ここが間違っていますね」
というのがほとんど。

自習のすゝめ初級編

ハンズオンセミナーは、家に帰ってからの自習こそが本番です。
まずは、セミナーでやった内容をもう一度、自力で手を動かしながらやってみましょう
この段階で出てくる不明な点は、なるべくセミナー中に質問等で解決しておきたいところです。

次に、セミナーで習ったことをちょっとアレンジして、また手を動かしてみます。アレンジの仕方はいろいろありますが、以下のようにいろいろと考えることができます。

  1. フィールドを変更してみる

  2. フィールド種類を変えてみる

  3. 対象の数を変えてみる
    選択肢の数を増やしてみる
    対象のフィールドの数を増やしてみる

  4. 別のイベント(画面操作タイミング)で動かしてみる

失敗は学びの母

次に応用編です。
学習用のサンプルアプリではなく、自分が作っている別のアプリに同じような考え方でカスタマイズを適用してみたり、この考え方を応用すると、こんなこともできるかも?と考えて、実際にチャレンジしてみたりします。

ここで大切なのは、「失敗すること」です。

新しいことを学ぶプロセスでは、次の2点が非常に大切な過程となると思います。

  1. (アレンジしながら)繰り返す

  2. 小さな失敗&リカバー(再学習)の数

単純作業を繰り返すのと違い、アレンジを加えることで、毎回考えることが変わります。これが基本的なことを身につけるためにすごく大切なことです。アレンジを自分で考えることで、問題の本質が頭の中で構造化され、記憶に定着しやすくなることが知られています(参考)。

次に、小さな失敗を繰り返すこと。
これはチャレンジの山をなるべく小さく細分化するのがポイントです。
いきなり難しいものを一気に完成させるのではなく、シンプルな基本骨格をまず完成させ、そこから1つずつ積み上げるように組み立てていくことが大切です。

そして小さなチャレンジで起こる失敗を解決しながら乗り越えていく過程、これこそが、大きな学びにつながるプロセスです。
ここで大事なのは「師匠」の存在。

師匠の存在

小さいとはいえ、この失敗を自分の力だけで乗り越えていくのは、なかなか難しいことです。かなり初期のこのつまずきで行き詰まってしまい、学習をあきらめてしまう人も多いのではないでしょうか。

そこで、気軽に何でも聞ける「師匠」を持つことをオススメします。

ここでいう師匠は、あなたの代わりに何かをやってくれる人ではありません。あなたの失敗に気づきを与えてくれて、解決のヒントを気づかせてくれる。学びのモチベーションを高めてくれる、師匠だけど対等な関係性をイメージしています。

世の中師匠だらけ

「そんな事言われてもねぇ
 かんたんに師匠なんて見つけられないよ・・・」
という人が多いでしょう。

しかし、あなたの学びを助けてくれる場やコンテンツはたくさんあります。

cybozu developer network

代表的なのは、cybozu developer network のコミュニティ。
有志が質問者の課題に対して、解決のヒントになる情報やノウハウを共有する「学びの場」として運営されています。
(答えだけを求めて、学ぶ姿勢が感じられない書き込みは嫌われると思います。これはどこのコミュニティでも同じですね)

https://developer.cybozu.io/hc/ja

kintone devCamp

そしてサイボウズが主催の kintoneカスタマイズ勉強会
kintone devCamp 〜ステップで学ぶ kintoneカスタマイズ

kintone Tech Channel キンテク

他にも、サイボウズが提供しているYouTubeチャンネル
kintone Tech Channel キンテク
こちらではカスタマイズの基本的なことを、面白く分かりやすく学ぶことができるコンテンツが、日々作られています。

他にもネット上にも膨大な情報があります。
私達が悩むようなことは、他にも悩んだ先人がいます。そして先人達はそのノウハウや気づきを、残してくれています。

qiita(キータ)

qiita(キータ)には、kintone関連の記事が1200記事以上(2022/7/21現在)掲載されています(!)

わたしが関わっている活動の紹介

最後に、私がやっている活動を紹介します。
ドシキンカス道場(ど素人が始める kintoneカスタマイズ)として、WebサイトやYouTubeでの情報発信を行っています。
毎週日曜日夜22時から行っているライブ配信でも、カスタマイズの話題を取り上げることもありますし、チャットでの他の参加者とのコミュニケーションも活発に行われています。

https://pj.asunote.jp/category/doshikinkasu/

他にも、サイボウズのチーム応援ライセンスを、仲間で割り勘で利用した、kintoneの学びの場を作ったり、勉強会を開催したりしています。

このような場を使って、kintoneを学ぶ仲間を見つけて、その中で師匠としての関係性を築いていくことも可能です。

そうです。考え方一つで
世の中師匠だらけ
なんです。

あなたも一緒に、kintoneや業務改善、そしてkintoneカスタマイズを学ぶ仲間になりませんか?
興味のある人はぜひ連絡してください!本記事のコメントやTwitter等でお待ちしています。

今回のLTで使用したスライド


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