近年の料理教室は面白いのが多い。料理教室のアイデアを特集してみたよ。
料理教室というと、かつて昭和のころはもっぱら花嫁修業の場でした。
しかし時が流れ、世の中が複雑になり、多様な価値観で構成されるようになると、料理教室の姿も変わってきましたね。
今回は、料理教室のアイデア事例を解説します。
ターゲットを絞った料理教室
たとえば
男性向けの料理教室
リタイア層向けの料理教室
ベジタリアン向けの料理教室
など、ターゲットを特定した料理教室が次々と出てきています。
「小学校高学年の男の子限定」
という、あえてターゲットを狭く特定した形の料理教室すら存在しています。
「日本にいる外国人向け」
の料理教室も増えてきています。
テーマを絞った料理教室
テーマを絞った料理教室というのもさまざまに出てきています。
イスラム(ハラル)料理専門の料理教室
韓国料理専門の料理教室
タイ料理専門の料理教室
デザート専門の料理教室
などは、そのほんの一例です。
もう少しテーマの複雑な料理教室もあります。
たとえば、
英語オンリーの料理教室(料理を通じて英語に親しむのが目的。料理教室と英会話教室のハイブリッドのようなもの)
作らない料理教室(講師は料理の実践のデモンストレーションをする。参加者はそれを見学し、講師が作った料理をみんなで試食して帰る)
海外の料理教室
海外のアイデア料理教室をいくつか紹介します。
「社用」料理教室
フランスのパリで誕生した、とある「社用」料理教室。
人気が高まったため、その後、イギリスのロンドンにも進出しています。
この料理教室の主なターゲットはビジネスパーソンです。
ランチタイムと、ディナータイムに利用されています。
<ランチタイムでの使い方>
ランチタイムが1時間しかない多忙なビジネスパーソンが、同僚と一緒にやってきて、「30分で作り、30分で食べます」。
料理教室の現場では30分で料理が仕上がるように準備ができており、ちゃんとインストラクターもついています。
インストラクターの指導を受けながら、同僚と協力して30分で作ります。
料理が出来上がったら、残り30分で料理を味わいます。
同僚との親睦を深める、いわゆる「チームビルディング」の場として利用されているわけです。
<ディナータイムでの使い方>
ランチタイムと内容はよく似ていますが、ディナータイムの場合、ビジネスパーソンが「取引先」と一緒にやってきて、一緒に作り、一緒に食べます。
ようするに接待に使われるわけです。
通常の接待では「食べるだけ」ですが、ここでは「一緒に料理を作ります」。
これにより取引先との心理的距離がさらに縮まることが期待されています。
「会食型」料理教室
前述した「社用」料理教室のアメリカ版です。
ニューヨークにある料理教室の協会が行っている料理教室は、おもに、職場の同僚が集まり、夜の会食を楽しむために利用されています。
プログラムはこんなふうになっています。
全員が同じタイミングで集合することはまれですので、最初はバータイムがあります。つまり、先に着いた人はキッチンで食前酒を飲みながら、全員がそろうのを待ちます。
全員がそろったら、料理開始です。同僚みんなでワイガヤで料理を作るわけですが、インストラクターが密着して細かくサポートするので、失敗するようなことはまずありません。
料理ができあがったら、みんなでゆっくりと食べます。ビールやワインも注文できます。
「組立て型」料理教室
仕事も頑張りたいし、子どもにも食事を作ってあげたい、でも時間が足りない、というワーキングマザーを対象にした料理教室です。
<「組立て型」料理教室のコンセプト>
「働くお母さんは忙しいのだから、料理はまったくしなくてよいように、惣菜を充実させよう」
ビジネスをする側はついついそう考えてしまいがちですが、ワーキングマザーはそんなことを望んでいません。
ワーキングマザーの気持ちとしては、惣菜を買ってそれをそのまま家族の食事として出すことには抵抗があります。
子どもに対し、「母親らしいことができていない」という罪悪感を持ってしまうのです。
そういう切ない気持ちを軽くしてあげることが「組立て型」料理教室のコンセプトになります。
<具体的なやり方>
ワーキングマザーの罪悪感を消してあげるために、以下のようなスタイルで料理教室が行われています。
料理の下ごしらえを料理教室のほうで済ませてしまい、ワーキングマザーが仕事を終えるのを待ちます。つまり、時間のないワーキングマザーを、手間のかかる下ごしらえから解放します。
仕事を終えたワーキングマザーが料理教室にやってきて、「最後の組立て」だけを自分で行い、完成した料理を持ち帰ります。このときも、インストラクターがついて、丁寧に指導します。
自宅に持ち帰った料理を、家族と一緒に食べます。
「最後の組立てを自分で行う」ところが、ポイントとなります。
この「組立て型」料理教室には、
Meal Assembly(ミールアセンブリー)
と呼ばれる業態名がついています。
「メンタル強化型」料理教室
<アメリカの事例>
かつて作家のバージニア・ウルフが、こんなことを言っています。
One cannot think well, love well, sleep well, if one has not dined well.
(ちゃんとした食事がなければ、考えることも、愛することも、眠ることも、じゅうぶんにはできない)
つまり食事はメンタルヘルスの基本だということですね。
アメリカの精神科医、心理学者、セラピストなどのあいだでは、「料理をするという一連の行動」、すなわち
レシピや献立を考える
健康的な食材を選ぶ
段取りを考えながら作業を進める
料理に集中し、手を動かす
味や香りを確認しながら、美味しいものに仕上げる
仕上がった料理を誰かと一緒に食べる
仕上がった料理を一緒に食べた人が、喜ぶ
といったことが、総合的に
「うつ病の予防、ひょっとしたら治療にも使えるのではないか?」
と考える専門家が増えています。
そうした考えにもとづいて行われている料理教室が、アメリカにはいくつかあります。
<日本>
「料理をするという一連の行動」が、頭や心に良いのではないかという考えは、日本にも当然、あります。
たとえば、料理をしている最中の脳は高いレベルで活性化している、という研究結果が発表されています。
「料理をするという一連の行動」を認知症予防に応用しよう、という介護サービスも誕生しています。
(参考)
「旅行型」料理教室
スペインのバスク地方は、グルメ文化で知られています。
「バスク料理」という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。
そのバスク地方にある「サンセバスチャン」は、人口20万人に満たない小さな都市。
その小さな都市に、ミシュランで星がついているなどの世界的に評価の高いレストランが、いくつも軒を連ねています。
都市全体が、美食を中心に回っています。
それを目当てに、たくさんの観光客が世界中から訪れています。
なかなか、とんでもないところです。
グルメ都市というよりも、美食(ガストロノミー)都市というほうがふさわしいかもしれません。
そのサンセバスチャンに、旅行者に特化した料理教室があります。
予約者限定、10名程度の定員で、およそ半日かけて行われます。
まずは朝10時に集合。皆で地元の市場に行き、食材やワインの買い出しをする。
その後、教室に戻り、ガストロノミー専門のシェフの指導を受けつつ、地元の伝統料理を皆で協力しながら作る。地元の食文化の話もたっぷり聞くことができる(言葉を聞き取れれば、ですが)。
料理は昼すぎに完成。皆で食べながら、参加者どうしの親睦を深める。
というもの。
「美食」「食文化」「仲間づくり」がそろった料理教室です。
その他
かつて、こんな料理教室がニューヨークにありました。
まとめ
料教室のアイデアは他にもいろいろあると思います。
今回はこのへんで終わりにしますが、あるていど時間をおいて、また特集してみたいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?