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痛い痛い痛い!となる食べもの

以前、「フグの卵巣の糠漬け」の話をしました。

10年ほど前ですがイギリスの「サン」という新聞が「世界8大危険料理」を発表。
日本のフグはその8大危険料理の一角を占めていました。
「なんであんなヤバイものを食うんだ?」
と世界中の人が不思議がっている証拠ともいえるでしょう。

世界8大危険料理には韓国の「サンナクチ」もチャート入りしています。
今回はその「サンナクチ」について。

筆者はサラリーマン時代、初めて韓国に出張したときに、ソウルから4時間ほど走った群山(クンサン)という街を訪問し、「サンナクチ」を馳走になりました。
取引先のイムさんという課長さんが、昼食に誘ってくれて、サンナクチを出す店に案内してくれたんです。

韓国側はイムさん1人、日本側は2名、合計3名で店に入ったんですが、予約されてたテーブルには料理のほか、韓国の有名な焼酎である眞露のボトルが12本、ずらりと並べられていました。

昼食なのに3人で12本です。
2回数えたけど。

この出張にはもう1人、上司も韓国に来ていましたが、上司はソウルで別件があり、群山(クンサン)には来ませんでした。
ソウルから群山(クンサン)行きのバスに乗る前、その上司から
「酒豪のイムさんは酒飲みとしか仕事をしない。もし酒を勧められたら断るな。おまえら死んでも全部飲めよ」
とパワハラまがいの指示を受けていたので、筆者ら日本人2名は覚悟して座りました。
(もともと韓国のビジネスマンはだいたい酒に強い)

そんなわけで昼間から勢いよく焼酎を飲む羽目になりましたが、料理は掛け値なくどれも美味しかったです。
料理の中に「サンナクチ」もありました。

「サンナクチ」というのは、生きているタコをぶつ切りにし、胡麻油や酢入りのコチュジャンをかけ、韓国海苔をまぶして食べる料理。
日本の活け造り同様、他国から批判を受けやすい食べ方ですが、あのあたりの人々の伝統的な郷土料理の1つでもあります。

ただ、「サンナクチ」の見た目はホラーです。
ぶつ切りにしたタコの足が、しぶとくくねくね動いているからです。

このくねくね動く状態のものを、勇気をふり絞ってそのまま口に放りこみます。
すると、めっちゃうまい。

ただし、油断はできません。
というのは、タコの足には吸盤があり、吸いつく力が強いんです。

口のなかであちこち吸いつきます。
「痛い痛い痛い!」となります。
下手をすると喉に吸盤が吸いつき、窒息しかねません。

そういう意味で「サンナクチ」は、日本でいえば餅のポジションにある料理ですね。

ところで。
昼間っから眞露ボトル12本を3人で空けた件は、どうなったかというと。

酒豪のイムさんは、おぞましいことに、何くわぬ感じで午後もふつうに仕事をしたらしいです。

若手日本人2名は途中から記憶をなくし、気がついたらソウルに戻る長距離バスに揺られていました。

バスは日暮れ後にソウルに到着し、さあホテルに帰って本格的に寝ようと思っていたら…。
おぞましいことにパワハラ上司が手ぐすね引いて待ちかまえていました。

「よし、飲みに行くぞ」
「えー、おれら昼間イムさんと12本…」
「知らん。つべこべ言うな!」





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