食育活動につきものの「レシピ」。その不思議【1】
レシピに「有料」と「無料」がある謎
世の中には
「レシピを有料で売っている人」
もいれば、
「本当は売りたいけど、やり方がわからず無料公開している人」
もいます。
このあいだから、
「その違いはどこにあるのか?」
を考えています。
有料のレシピは無料のものより品質がよいから有料なのか?
いや、必ずしもそうでもないようです。
(プロのかた、ごめんなさい)
品質の違いを大きくは感じないにもかかわらず、かたや有料、かたや無料となっています。
似たようなケースとして、
家庭菜園や市民農園で収穫された野菜は、無料で配られていることが多い
プロの農家は有料で野菜を販売している
という事例があります。
野菜の場合、プロ農家はどこがプロかというと、
「安定した品質の野菜を低コストで大量に生産する」
というところがプロなのであって、
「家庭菜園や市民農園の野菜に比べてプロ農家の野菜ははるかにうまいのか?というと、味そのものには、それほど大差はない」
ように思います。
(プロ農家のかた、ごめんなさい)
味そのものにはそれほど大差がないにもかかわらず、
かたや家庭菜園や市民農園の野菜は無料で配られていることが多く
かたやプロ農家の野菜は有料販売
です。
レシピの販売と、野菜の販売…
扱うものは違いますが、「構造」には共通点があるようです。
このへんのところを、もう少し深く掘り下げてみたいと思っています。
レシピの権利問題
さて、その前に、ときどき話題になる
「レシピ作成者にはどこまで権利があるのか問題」
について、まず言及しておきます。
結論だけかんたんにいうと、まず、
「レシピのアイデア」
に著作権はありません。
たとえば、例が古くて恐縮ですが、
「フライドポテトを載せたうどん」
が流行っていた時期があります。
この「フライドポテト+うどん」という組合せはひとつのアイデアですが、このアイデア自体は権利になりません。
(特許申請して通れば別ですが、かりに申請したとしても、おそらく通らないでしょう)
実際「フライドポテト+うどん」を出す店は探せばいくらでもありそうです。
「フライドポテト+うどん」のレシピを作ってブログ掲載している人だって、世の中にいくらでもいます。
でも違反者や逮捕者がいないのは、
「アイデアそのものはだれの権利でもない」
からです。
つまりアイデアは独占できないので、悔しいけれど
「私の考えたアイデアを、○○さんがマネした」
となっても文句を言えません。
しかし「レシピの文章」には著作権が発生する場合があります。
シンプルで短い文章だと独自性がないため、著作権はなかなか認められません。
ですが、そこそこ独自性が感じられる文章であれば、小説などと同じで、
著作権が認められます。
レシピ代わりに料理を作るプロセスを動画にした場合、その動画にも著作権が発生します。
以上を整理すると、
「フライドポテト+うどん、というアイデアは私が考えたんだから、みんなはマネしないでね」
とは主張できませんが、
「フライドポテト+うどん、の作り方を丁寧に説明した私の文章は、盗作しないでね」
「フライドポテト+うどん、の作り方を撮影した私の動画は、勝手に使わないでね」
は、主張できます。
補足
消化不良感がありますが、今回はここまで。
ひきつづき
「有料のレシピと無料のレシピ、その違いはどこにあるのか問題」
についてガンバッテ考察し、近いうちにその結果を発表します。(※)
なお、自分のレシピが盗用されて悔しい思いを経験している料理家は、日本にかぎらず、世界のどの国でも多いようです。
昨年イギリスで起きたことですが、ある無名の若手料理家が、有名料理家の料理本のなかで自分のレシピが大量に使われていることを発見。
それがおおやけになり、有名料理家側はレシピ本の出版を中止しました。
また、レシピが模倣されて悔しい思いを経験している料理家は、現代にかぎらず、昔から多かったようです。
その証拠に、40年ちかく前のフランスで、「レシピ盗作被害」を防ぐために
「オリジナルのレシピを守る団体」
を作ろうという動きがありました。
しかし当時の有名シェフたちに反対され、この計画は実現しませんでした。
なぜ有名シェフたちが反対したのか…その理由はご想像にまかせます。
(※)追加(2022年7月8日)
続きを書きました。
こちらです。
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