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割烹は世界を変えた説

割烹は、日本オリジナルの料理店のスタイルです。
いわゆる「カウンター料理」。

カジュアルな屋台なら日本以外でもあちらこちらで見ることができます。
ですが、本格的な料理店で料理人が料理さばきの一部始終をカウンター越しに見せるスタイルは、他国にはあまり例がないようです。

日本ではふつうに見えていることが、海外ではそうでないものの1つでしょう。

カウンター料理は、

  • どんな食材を使っているのかがわかる

  • 板前の包丁さばきを見て楽しめる

  • 料理ができあがったら即その場で客の目の前に出される

というところが魅力ですね。

調べてみますと、日本には昔から
「料理の一部始終を人前で見せる」
という伝統がありました。
室町時代から戦国時代を経て安土桃山時代にいたるまでの250年のあいだ、
「人前で料理ができることが貴族や武士の教養である」
とされていたようです。

つまり、料理人を雇うのではなく、貴族や武士が料理をしました。
何十万石の大名も、客が来たときには客の前でみずから料理をしたとのこと。

人前で料理をするときは正装し、決められた儀式、すなわち「包丁式」にのっとって行います。
それが客へのもてなしとされていました。
「茶人」のイメージが定着している千利休も、料理の達人だったようです。

 「包丁式」

 ▽

フランス料理やイタリア料理などでも、キッチンの様子がガラス張りで丸見えの飲食店を最近はよく見かけますね。
一説によれば、あれはひとつには日本の割烹料理店の影響のようです。

もともとの欧米の飲食店は、懐石料理同様、客席からキッチンが見えないのが通常です。
「料理するところを見せる」という発想は欧米の料理の伝統にはありませんでした。

なので割烹スタイルの日本料理は、さぞ、欧米人の目に斬新に映ったことでしょう。
和食が世界で人気になった理由の1つ、なのかもしれません。

客の視線にさらされながら料理するのはやりにくい、と欧米人なら思うところ。
いっぽう、日本の料理人は、客の見ているところで包丁の腕をふるうほうが性に合うみたいです。




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