農作物を勝手に食うバッタを裁判にかけろ!
2年ほど前でしたか、
「アフリカ、中東、南アメリカでバッタが大量に同時発生し、農作物を食い尽くす」
そんな事件(?)がありました。
中東で発生したバッタの大群はインドにも飛来。
各国政府が、対応に追われました。
他国と陸続きでない日本は、おかげさまであまりこういう事件に巻き込まれることがなく、実感がわかないのですが…。
調べてみたところ、
農作物を食い尽くすバッタ
それを何とかしたい人類
両者の戦いは大昔から、世界中で繰り広げられていました。
だが、農薬を手にする以前は、この戦いは人類がつねに負けていました。
人間側ができたのは「神頼み」のみ。
そこで、中世のヨーロッパでは、しばしばバッタを宗教裁判にかけていたようです。
裁判にかけるといっても、バッタが裁判所に出頭してくることはないので、バッタが農作物を食べている現場、すなわち畑に聖職者が出向き、そこで裁判を開いたと思われます。
裁判でバッタが負けた場合は、「破門」という判決が下されました。
「バッタを破門してどうするんだ?」
現代人にとっては、ばかばかしい判決に聞こえるかもしれませんが、中世ヨーロッパの人々にとって破門とは「神に破門される」ということ。
習い事の師匠に破門される、といったレベルの話ではありません。
ほかでもない、神に破門されるのです。
これは、「もはや救いはなく、地獄に行く」ということを意味していました。
人間だけでなく生きとし生けるものすべてが神のもとにあるとされていたので、バッタも「破門」対象でした。
それほど恐ろしい判決が、バッタに対して下されたことになります。
当時の人間側はこれによって
「バッタに勝利した」
「バッタに罰を与えた」
とみなし、留飲を下げたのかもしれません。
この話には余談があります。
裁判で公平を期すため、被告であるバッタの側にもなんと人間の弁護士がついたといいます。
驚いたことに、
弁護士が有能な場合は、バッタが無罪を勝ち取る
ことが実際にあったようです。
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