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SDGsって儲かるの?SDGsとCSRの違いとは?「本業で社会課題の解決」と「企業の社会的責任」は起点が異なる?

ここ最近、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・ネット・SNS・看板など、あらゆるメディアで「SDGs(持続可能な開発目標)」を見たり聞いたりする機会が増えています。

2021年1月に電通が発表した第4回「SDGsに関する生活者調査」(10~70代の男女計1,400人対象)によると、生活者のSDGs認知度率は54.2%で、昨年の2020年1月の第3回調査から、ほぼ倍増し、特に10代のSDGs認知度率は70%を超えるといった状況にあります。

その一方で、生活者ではなく中小企業に目線を転じると、各種経済団体や民間企業の主催セミナー(有料・無料に関わらず)において、SDGsに関連したものが増えてきてはいるものの、まだまだ、本業での実践には、ほど遠いといった印象です。

私の身近な中小企業の経営者からも、

“SDGsって儲かるの?あれってボランティアでしょう?”

“必要なことは分かるけど、うちはそこまで余裕がない”

といったお話をよく聞きます。

事実、2020年7月の帝国データバンク発表「SDGsに関する企業の意識調査」(全国2万3,681社のうち、1万1,275社の回答)によれば、SDGsに消極的な企業の声として、

「SDGs は大変意義のある重要なことだとは理解しているが、会社の売り上げや利益につながるのかがよく分からない」(金属工作機械製造―岡山県
「環境等を守るためには普通の設備よりも性能の高い機材の導入や材料のコストも高くなる。資金力のある大企業と同じようにはできない」(不動産代理・仲介、埼玉県)

といったコメントが掲載されています。

SDGsとCSRの違いとは?

SDGsに対して、このような「誤解や先入観」を中小企業が抱いてしまう理由のひとつとして、かつて、日本で流行ったCSR(企業の社会的責任)とSDGs(持続可能な開発目標)を混同しているので?と感じる時があります。

本来のCSR(Corporate Social Responsibility)は「企業が存続していくためには社会全体の持続的な発展が欠かせない」という考え方が根底にあります。

そして、企業は、従業員や顧客、株主や地域・地球などを含む「社会全体」への貢献責任を担い、常に適切な経営上の判断(意志決定)を行っていく。という意味合いが含まれています。

しかし、日本における「CSR」は、バブル期に流行った「メセナ活動(企業による文化・芸術活動の支援)」などの影響もあり、単に企業のイメージアップを図るための「慈善活動」や「社会貢献活動」のようなものと誤解されていることも多く、

そのまま「本業とはあまり関係ないもの」「儲かった時に寄付をするもの」といった形で定着してしまったように感じます。

SDGsとCSRの違い

従業員不在(従業員が取り残されている)のSDGs

この、企業に余裕がある時(利益が出た時)に、余力の範囲(本業以外で)で行うものという理解を、私は「断片的なCSR」と表現しています。

今、日本のSDGsについては「表面的なSDGs(断片的なCSR)」、あるいは、その延長線上のケースが多くなっており、一言でいうと「従業員不在」が目立ちます。

具体的には、会社のホームページでは、経営者・人事・広報など主導でつくられた「SDGs宣言」がなされ、胸には、総務・人事から支給された「SDGsバッチ」が着けられてはいる。

しかしながら、その多くの従業員が「自社のSDGsの目的や具体的な事例などについて、自分の言葉で話せない(本質的な理解や行動ではない)」といった状態です。

SDGsには「誰ひとり取り残さない(No one will be left behind)」という理念があるにも関わらず、日本の中小企業におけるSDGsの推進では、そもそも「従業員が取り残されている」といったケースが目立ってきています。これでは、本末転倒です。

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本業で社会課題を解決するのがSDGs

さて、冒頭の「SDGsって儲かるの?」と聞かれたら、どうするのか?については、私自身はこのように回答しています。

本業で社会課題を解決していくのが「SDGs」である。がポイントです。

社会課題を解決しつつ、儲かるような「ビジネスモデル」を考えることが、今まさに、中小企業に求められています。

つまり、SDGsはイノベーション(創造性)溢れる活動そのものです。

その中小企業が「本質的なSDGs」に取り組む際には、以下の3つの点を押さえておくことがオススメです。

◆SDGsは、これからの経営における「環境・約束・機能」であり、そして、近い将来、必須条件になってくる。

◆SDGsは、早く(変化対応型組織)、深く(全員参画型組織)、遠く(未来志向型組織)への3つを兼ね備えた「持続可能な組織」づくりに活用する。
 
◆SDGsを、通じ経営者の思いを「見える化」今後の事業展開を「言える化」期待する人材像を「魅せる化」することで「事業発展型組織」を目指す。



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