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電鍋料理/キャベツご飯と里芋そぼろ

台湾ではおなじみの電鍋。日本でもかつてはほぼ同じものが使われていたようですが、ごく初期の電気炊飯器といえるものです。
今の炊飯器とは違って、内鍋の外(…変な表現ですね…)に水を入れて電熱を加え、やがて水分がすっかり蒸発=外鍋の温度が一定基準を超えることを利用して自動的にスイッチが切れる、という仕組みになっています。

とても単純な仕組みの調理器具ですが、単純であるがゆえに応用範囲が広い。また、調理中は直火ではなくお湯と水蒸気が内鍋を包みますので、熱の加わり方が穏やかなところも特徴の一つ。煮込み料理に威力を発揮します。
自動的にスイッチが切れるので、料理にエネルギーを使うのがしんどいなあなんて時にも助かります。外鍋に加える水の量と煮込み時間の関係さえ把握しておけば、なんとでも微調整できるということです。

さて、ということで、若干お疲れの今夜は電鍋料理にしました。
台湾の料理本に時々出てくる「キャベツご飯」と「里芋の肉そぼろ蒸し」。
これら二品を同時に「二段調理」で仕上げようと思いました。肉そぼろは、以前に作ったものの残りが冷凍してあります。
キャベツご飯は、日本の炊き込みご飯にはあまりないなあというところに、興味を持ちました。元のレシピでは、キャベツ、ベーコンに、塩胡椒、大蒜、油でご飯を炊きますが、今回はひとひねり、「あたりめ」を使います。おつまみでおなじみのあたりめ。

おつまみ用に販売されているとはいえ、要するにスルメですから、戻して使うことができますし、そうすると出汁もたっぷり出ます。乾物として常備しておくと何かと便利ですよ。(もちろんそのままかじっても良いわけですし。)今回は分量の水でふやかしてからみじん切り。出汁はこの戻し汁のみで、酒等も一切加えませんでした。
それ以外の材料は基本的にはレシピどおり。胡椒をたっぷり使いますが、これは白胡椒にします。白胡椒は、敢えて多めに使うと、独特のジャンクさが加わって、これが台湾らしさを引き出してくれます。
その他、人参、大蒜、フライドエシャロット、塩、もちろんキャベツもみじん切り。

少し頭をひねったのは、内鍋に何を使うかについて。電鍋には、付属の内鍋がありますが、それ以外の何でも、熱にさえ耐えれば、お皿でもお椀でも使えます。ご飯を炊くと、どうしてもご飯粒がくっつく問題が発生するので、できたらテフロン加工の容器を使いたかったのですが、炊飯器用の内鍋だと、大きすぎて今回のテーマである二段調理ができない。
しばし頭を巡らし、思いついたのがテフロン加工のケーキの型!これは1合分のお米を炊き、かつ二段調理するのにぴったりのサイズでした。おお。

外鍋の中に、お米をセットしたケーキ型、その上に竹串二本を噛ませて、ネギ、適当に切った里芋、肉そぼろの順で重ねたお皿。外鍋にはカップ一杯分の水を入れてスイッチオンです。
その間に、もう一品くらいほしいなあと、多少元気が回復してきたのも手伝って、くわいチップスを揚げてみました。スライスしたくわいを、油でカリカリに揚げて塩を振るだけ、ビールのつまみ。

果たして出来上がったおかずたち。火の通り具合もばっちりで、大成功でした。
このところ、先祖返りといいますか、炊飯器で調理しよう!という提案をちょこちょこ見かけますが、なんの変哲もない単純な電鍋(単純すぎて素人の私でも多少の修理ができるくらいです。そもそも殆ど故障しないんだけど単純すぎて)がこんなに使えること、最先端の高級な家電なんて使わずとも昭和な技術で充分応用できること、こういったことが忘れられているのはなんとも勿体無いなぁという気分になります。
ともあれ、目の前のご飯が美味しいのは何より。電鍋ばんざい。



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