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何度でも手に取りたくなる。芸人がかいたショートショートで小さな心の休憩を

本記事は女性のためのオンラインキャリアスクール『SHElikes(シーライクス)』のライティング入門コースの課題をnote用に一部書き換えたものです。

私はシーメイトの皆様にバイク川崎バイク著書の『電話をしてるふり』をおすすめしたいです。

この本は「BKB!」で有名なピン芸人のバイク川崎バイクの小説家としてのデビュー作である短編集です。彼が「note」に投稿した作品、書き下ろした作品を含む全50作品を収録。タイトルにもなっている「電話をしてるふり」はSNSに投稿し大反響を呼んだ作品です。

芸人が小説やエッセイ本を出版することはたまにありますが、「ショートショート」というのはあまり聞いたことがないかもしれません。

出会いは近くのショッピングモール

私は普段から読書するタイプではありません。たまには本を読まないと、と思うものの、一度読み始めると最後まで読みたくなってしまうので本を買うのには少し勇気と時間が必要でした。

そんな中、友人と立ち寄ったショッピングモールの「ヴィレッジヴァンガード」で「BKBが小説を書いた!」とPOPが付いた本著が目に留まりました。「芸人が小説?どんな作品なんだろう?」というミーハーな気持ちが手に取った理由でした。短編集で、総ページ数も250ページ程度、金額もそこまで高価ではなかったため、買ってみました。

その日のうちにページを開き、半分くらいまでは一気読みでした。1つ1つのストーリーの内容と長さのバランスがよく、「あと1話」と思ううちにどんどん読み進めていたのです。

そのあとは、平日仕事から帰ってきて1話だけ、休日の朝に2話だけなど、少しずつ読み、最後まで読むのにはおそらく1週間かからない程度だったかと思います。

気づけば読み終えた次の日から、パートナーや周りの友人に「読んでみて」とおすすめしていて、率直に「買ってよかった」と感じたことを覚えています。

ちょっと一息でちょっと1話だけ

この本を読むのに「さあ、読書するぞ!」という意気込みや覚悟はいりません。
通勤電車の中、お風呂上がり、ほんの15分ほど時間が余ったとき……少し文章を読みたいなと思ったら気軽に開いて読んでいました。『電話をしてるふり』は読む場所やタイミングを選ばない本です。

お気に入りの話が見つかると、「あれ、どんな話だったっけ」と何度も読んでいたりします。読んだ後には少しほっこりした気持ちにます。

きっとお気に入りの1ストーリーが見つかります

『電話をしてるふり』をシーメイトさんに読んでほしい理由は33つあります。

1.読みやすい文体

専門用語を含む内容や、難しい言い回しや熟語は一切ありません。なかには日常の話し言葉や若者言葉で書かれた作品もあり、読書や文章を読むのが苦手な人でも、苦にならず読むことができます。

読書好きの方の中には「そんなの小説って言えるの?」と感じた方もいるかもしれません。
ところが、この短編集にある作品はかんたんな文体ながらも正しい文章で文学的表現を要所要所にちりばめて書かれているので、文学を楽しむという感覚も味わえるのです。

2.ジャンルが豊富

時事内容を取り入れたブラックジョークからホロリ泣ける話、恋愛モノなどあらゆるジャンルのお話があります。人の好みは十人十色ですが、ここまでたくさんのジャンルがあれば、きっとお気に入りの1作品が見つかるのではないでしょうか。

私が特に気に入っている3つのお話をネタバレにならないレベルで一言紹介します。

「私の名前は笹原香織です」
恋愛物語かと思いきや…。
主人公のセリフと感情で怒涛のように繰り広げられていく楽しくも温かいストーリー。

「人生ゲーム」
かっこよくそれらしい言葉が並べられたお話。ラストにクスッとできる1話です。

「電話をしてるふり」
ナンパ避けで電話をしてるふりをする主人公のほっこりファンタジー。7分で泣けます。

まだまだ紹介したいお話はありますが、ぜひ一度手にとってほしいのでここからの紹介は控えておきますね。

3.同じ世界を違う視点で見られること

「どういう意味?」と首をかしげたかもしれません。

このショートショートに出てくるお話はどれも私たちが暮らす現実世界が舞台です。どこにでもある街、どこにでもいる人が「”どこにもないストーリー」”を繰り広げているのがこのショートショートの面白いところです。

小説家の吉本ばななさんも「彼はいつも少しだけ哀しい、別の世界を見ているんだね」とこの作品を評しています。

新しい気づきが、読んでいる人をちょっと嬉しい気持ちにさせてくれます。

日々の喧騒から少し離れたひとときを

お気に入りのカフェでコーヒーを飲みながら、家に帰ってビールとおつまみを片手に、寝る前にホットミルクでリラックスしつつ……。
『電話をしてるふり』はそんなまったり時間のお供におすすめな一冊です。

書店でもネットショップでも構いませんので、できれば紙の本で買ってみてほしいなと思います。

人生を変える一冊ではないけれど、日々の生活にあったら嬉しい。
そんな『電話をしてるふり』をぜひ一度読んでみてください。

巻末の各話の裏話も面白いのでぜひ最後まで読んでみてくださいね。








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