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星読み小説&翻訳【そんなとき綾瀬さんは】

星読み小説の5本目。

いつもは会ったことのない人で、生まれ時間がはっきりわかってる人を対象に
ホロスコープ読んで、小説化してたんですが
このときは一度お会いして鑑定したことのある方から「小説にして!」っていう勢いでついうっかり引き受けてしまって、後から「ああこの人は時間わかんないんだった・・・」ってプチ後悔したんですが、

最終的になんとかまとまってほんとにホッとしたのでした。

生まれ時間がわからないと突破口が見つからなくてウロウロしちゃうんだよね。

ま、いろんなパターンがあっていいじゃないの。

星読み小説『そんなとき綾瀬さんは』

2021年07月27日(火) 

で、でけた・・・!!!(Dr.スランプあられちゃんの博士より)

ようやく小説かけました〜〜
ようやった、私

まあまずはお読みください。楽しんでもらえたら嬉しい

★星読み小説★

『そんなとき綾瀬さんは』
  
職場の埃っぽい書庫に入ってドアを閉めると、事務所のせわしなさから隔離されて、時計がゆっくりと進むような感覚になる。

まあ、ここに時計はないんだけどね。無機質な空間に安心して、マスクを外して控えめに息をつく。

ここはかつて会議室で、入り口のドアの上にはいまだに「小会議室」のプレートが取り付けられている。

通称「蔵」と呼ばれていて、天井まで届くほどの高さの棚には段ボールやファイルが古いものから新しいものへと順に詰められている。

古びたキャビネットも、捨てるより安上がりだからと持ち込まれて、段ボールに詰めるにはまだ早すぎる割と最近の帳票類が収められている。

この部屋には他にも、もう辞めた人が残した制服や古い無料配布品の在庫、忘れ物の傘やなぜかゴルフバッグなどが、うっすらとチリを纏って置かれている。

それらはまるで笑顔のまま固まったピエロみたいで、笑顔の意味のわからない新入りの私なんかが触れることは許されない。
忘れられた物たちは窓からの光を受けて、曖昧な影を作っている。

入社したばかりの私を初めてここへ連れてきてくれたのは、綾瀬さんだった。

私とは親子以上に歳の離れた彼女は、ものごしが穏やかで常識的なのだが、発想が自由でどこか可笑しく、でも決して誰かのことを笑いものにしたりしない。

彼女がいるというだけで場が明るくなって、楽しい場所のように感じるのだ。大先輩なのにも関わらず、年上ぶってお説教をしたり、軽々しく扱うということも全くなかった。

だけどその綾瀬さんはこの春に早期退職してしまった。ご家族のお世話のためということだった。

彼女はここへ新入りの私を連れてきて、「書類整理」について教えてくれた。

「この仕事は、もう何もかも嫌になって誰にも気を遣いたくなくなったときに」と綾瀬さんはいった。
「ここにいる限りは誰の目もないし、電話も取らなくていい。しかもサボってるわけじゃない。仕事ってさ、そんなときがあるもんだからねえ」

そう、まさに今日がそんなとき。
取引先を交えての会議で「そのようなことはない」ことにしなければならない話し合いの時に「そのようなことは有る」と匂わせてしまったのだ。

はっきりとそう言わなかったのは事前に打ち合わせてあったから。なのに私の発言をたどっていくと「有る」話になってしまうのを、うっかり口にしてしまった。

私だって自分の口が信じられない。なんであんなアドリブかましたんだろう私のバカバカバカ。会議終わりのみんなの無言が突き刺さった。

人生で一番うんざりするのはこんな時の自分に対してだ。

つい口にするのは生まれつきなのだろう、産んだ親のせいにしたくなる、けれど仕事で責任を追っているのは親じゃなく私なのだ。

しっかりしなきゃ、なんて心では思っていても苦しくて眉間に縦線が入る。

さてと。仕事で気が滅入ったら書類整理、そんなときもあるさ、と引き出しをキイキイと開ける。

帳票類が整然と並べられて、そこにはやや丸みを帯びた見覚えのある文字が並ぶ。

少し傾いていて、所々跳ねていて、勢いのある文字。まあまあ、そんなときはここへおいでよ、って言ってるみたいな綾瀬さんの文字。

眺めているとちょっと涙が出てきて、仕事なんかがんばらなくてもいっか、まあせめて5分だけと思ったら気分が晴れてった。

文字の上で綾瀬さんがフッフと笑ってる。

私は5分がどれぐらいかわからないけど、こういうときは「袋麺を茹でてるのを忘れてるぐらいが5分」ってドヤ顔で言ってた綾瀬さんの声と横顔を思い出す。
それカップラーメンでもいいですか、綾瀬さん。



おわり

ファイリング

星読み翻訳

いかがでしたか?

今回の綾瀬さんになっていただいた依頼人は、私の友人の友人です。
会ったことがある人の小説化は初めてです。
なので既にあるイメージを払拭するのに手間取ってしまいました。

ニックネームをいただけなかったので、アナグラムと広島出身ということで、綾瀬さんにしました。
(綾瀬はるかさんは牡羊座❤️)

今回の依頼人は、アセンダント(本人を表す。)が高級志向でそつのない天秤座。

で、ルーラー金星が9ハウスで蟹座。

その金星に12ハウス天王星がスクエア。

12ハウスの天王星は私も持ってるからなんとなくわかるよ、突拍子もない発想について。。。あれってさ地球のどこかから流れ込んでくるんだよね。いや流れ込むというより衛星から電波を受信してるかのよう(もういい

それが天秤座にあるから、独特なバランスの取り方をするはず。

蟹座金星だからきっと優しくて女性的なことが好みで、
でも天王星がちょっかい出してくるから風変わりに優しい人になってくるんじゃないかな。
ユーモアもあるだろうな。
ネガティブに出ると変化球で邪魔されることもありそうだ。

事務職にしたのは、カリスマ性を表すリリス(トゥルーブラックムーンリリス)が乙女座で、それが12ハウスにあるから。
隠れたところでカリスマ性を発揮してるんじゃないかなと。


ひとつ提案があります。
一日一善ならぬ、一日一改善してみてください。
一日一句でもいいです。
毎日改善、毎日無駄を省くことを考えること。

そうして楽しい毎日を発明し続けてほしいです

綾瀬さん(仮)、データご提供ありがとうございました
っていうか生まれ時間あいまいなの結構大変だった!
やり切った私に乾杯


ありがとうございました!!!!


◯◯の母、しょこ

占い師だよ。


書くことで何かできるのか、それとも何にもならないのかわからないで続けてきたけど、きっとこれからも書き続けます。もしよかったらサポートよろしくお願いいたします。