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ただ生きるだけなんて嫌なんだ(グッバイ・リチャード)

君のことを私が知らなければならない理由はなんだ?

と教授リチャードは問う。

それは簡単に発信者となった私に問いかけているようだ。

ほとんど誰も見ないっていうのに、発信する理由はなんだ?見てもらう理由は?

私は自分の感情を文章にして出す練習のためにこれを書いている。
人に見てもらう理由はない。
たまたま見てくれた人がなんとなくスキしてくれたら儲け物ぐらいに思っている。
世界に発信したいことなんてない。まだ。

誰もがゼロに向かって時を刻む時計を持って走っていて、それを呼び止めてまで伝えたいことは、何?

そして私の時間を留めてまで、書くのは何故?

もしも余命半年と言われたら今すぐに水着を持ってハワイに行くわ。
見たことのない世界を見ておきたい。
海が怖くてね。だからサーフィンやってみたいんだ。
誰とも喋らないで、一日中ただプカプカ浮いて太陽が沈むのを眺めるんだ。

リチャードは校長を脅して長期休暇を取る。
いつかいつかと先延ばしにしていた執筆をするために。

彼が生徒に向けて人生を説くのだけど、まるで私も生徒になったかのようだった。
こんな先生に出会いたかった!
人生を無駄にするな、自分を生かせ、そして世界を彩れ、と教授は言う。
だけど誰にでも言うわけじゃない。
リチャードだって自分を浪費するだけの相手にかける時間はない。

ただの真面目で熱い先生じゃない。金八みたいな。金八は秒で口説いてファックしないからな。
空虚に常識をなぞって生きてきた、彼自身への皮肉がたっぷりと含まれている。

リチャードが余命を宣告されてからの親友との親交が温かく、間も無く終わるのだと思うから切ない。
この親友がすごくいい。この人がそばにいてくれて本当によかった。

その一方で、家族って疑問。家族ってなんだろうね。

もういなくなると知ってから初めてアイラブユーを言うの。愛を確かめるの。

夫だとか妻だとか、親だとか子だとか、さ。
役割で演じるのは止めにして、色々な彩の親友みたいになれればいいのにね。

リチャードはそれを見せてくれた。

これから来る新しい時代は、きっとそうなっていくと信じてる。



書くことで何かできるのか、それとも何にもならないのかわからないで続けてきたけど、きっとこれからも書き続けます。もしよかったらサポートよろしくお願いいたします。