松下祥吉

松下祥吉

最近の記事

子供の絶望

私は四歳だった。遠方の親戚の家を初めて家族で訪れた。他に子供がいなかったので家の外をブラブラ歩き他愛のない遊びをして時間を過ごしていた。日が暮れ周りを見渡すと、いま自分がどこにいるか分からない。親戚の家までの方向も、帰り道も分からない。勇気を出して人に聞くと、ここは新興住宅地だから名前だけでは分からないと言う。人生終わったと思った。

    • 小旅行

       妻の丸山丸子と小旅行。途中涸沼自然公園の交通整理のおじさんが笑っていた。交通整理の仕事は笑うのが正解。街並みは風情があり興味がある。上から目線で申し訳ない。茨城町を抜け大洗へ出る。大洗では常磐線が海へ突っ込み銀河鉄道と繋がる。撮り鉄を掻き分け銀河鉄道に乗る。元ヤンのメーテルがいた。

      • オニヤンマと子供

         生まれ故郷の近くにある梨園へ行った。毎年行っている。空を仰ぐとオニヤンマが飛び、旋回している。側で遊ぶ子供はそれを見て眼を輝かせる。 「オニヤンマまた来るかなぁ?」と子供は言う。 「来る来る」私は答えた。  Our landscape is ours.  頭を巡るこの英文は非常に重要に思えた。帰り道、沿道は看板が多い。その風景は長年変わらない。人々は個々に思いを巡らす。

        • 銀河鉄道と黄金の海

           常磐線と相互乗り入れをしている銀河鉄道に乗り、黄金の海へ着いた。ひとときの小旅行。海岸が見えるベンチに座り君と話すのは楽しい。吹けば飛ぶような意識で実体を振り返り、二人で問題を吟味するのは有意義だ。僕達の「諸問題ファイル」は解決もし保留もし降り積もる。僕達の生活はきっと良くなる。  僕達夫婦の為に何か別の道を探さなければならないかもしれない。銀河鉄道で通ってきた星々を参考に、僕は星占いをしたい。あの星雲は何に見えるかと君に聞きたい。自信をもって君の未来を占いたい。すべての見

          例えば自分の事を少し優位に見せたいとか、僕私って結構凄いんだぜみたいな事を言いたい時ってあると思うんですけど、そういう時って大体出てくるのが、学歴とか就職先とか肩書的なものでアピールしようとしたり、過去の武勇伝とかまたは自分の頭の良さのエピソードを話したりってあると思うんですよ。

          例えば自分の事を少し優位に見せたいとか、僕私って結構凄いんだぜみたいな事を言いたい時ってあると思うんですけど、そういう時って大体出てくるのが、学歴とか就職先とか肩書的なものでアピールしようとしたり、過去の武勇伝とかまたは自分の頭の良さのエピソードを話したりってあると思うんですよ。

          孫の手を二本常備している。リビングに一本と寝床に一本。背中が痒くなったのに孫の手が見つからない時のあの焦燥感。孫の手とは一心同体。寝床ではYouTubeで音楽を聴きながら孫の手でリズムを打つ。リビングでは孫の手を略奪され妻の丸山丸子に孫の手で叩かれることが多い。孫の手が愛おしい。

          孫の手を二本常備している。リビングに一本と寝床に一本。背中が痒くなったのに孫の手が見つからない時のあの焦燥感。孫の手とは一心同体。寝床ではYouTubeで音楽を聴きながら孫の手でリズムを打つ。リビングでは孫の手を略奪され妻の丸山丸子に孫の手で叩かれることが多い。孫の手が愛おしい。

          そもそも高校受験にしろ大学受験にしろまったく受験勉強が向いていないただの馬鹿だった。ペーパーテストが怖い。調べる事はもっとたくさんあるんじゃないかと思い頭が真っ白になる、そんな馬鹿だ。現在のネット環境がその時あればと思う。今高校生ならスマホばかり見て調べ物をするべきなのだろう。

          そもそも高校受験にしろ大学受験にしろまったく受験勉強が向いていないただの馬鹿だった。ペーパーテストが怖い。調べる事はもっとたくさんあるんじゃないかと思い頭が真っ白になる、そんな馬鹿だ。現在のネット環境がその時あればと思う。今高校生ならスマホばかり見て調べ物をするべきなのだろう。

          引越しの当日まだ荷物は来ていない。窓を開け放ち何も置いていないフローリングに寝転ぶと窓からは空が大きく見え爽快だった。手伝いに来た母に空が綺麗だと自慢げに言った。隣の部屋で妻の丸山丸子は雑巾がけをしている。何か呼ぶ声がするので行ってみると押し入れの襖の裏にお札が貼ってあると言う。

          引越しの当日まだ荷物は来ていない。窓を開け放ち何も置いていないフローリングに寝転ぶと窓からは空が大きく見え爽快だった。手伝いに来た母に空が綺麗だと自慢げに言った。隣の部屋で妻の丸山丸子は雑巾がけをしている。何か呼ぶ声がするので行ってみると押し入れの襖の裏にお札が貼ってあると言う。

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          光の方へ

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          わたしたちへ

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          由比ヶ浜

           ありうべき私の生活とありうべき私の故郷。そんな事を考えながら海岸を歩いた。  春先の由比ヶ浜はまだ人出もなく閑散としていた。冬に神奈川に越して来たばかりだが、由比ヶ浜は意外とそばにあり、海岸まで足を伸ばした。  ありうべき私の生活とありうべき私の故郷。もう一度思った。そのイメージはあるが、そんな簡単に私は、そして私の環境は変わるのだろうか。ご時世は変わり、すんなりとハラスメントはあたかもなかったかのようになった。人間は変われるらしいが、彼等はきっと何かの「変身の薬」でも持っ

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          12月の雨の日

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          12月の雨の日

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          14番目の月

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          14番目の月

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          冬の日

           冬の日の夕暮れ、家の近くの小学校の校庭を飼っていた犬と一緒に歩いていた。もう薄暗いのだが、ちょうど人気もなく、落ち着いた散歩となる。すると、校庭の隅の、こちらから見えない方からパスンパスンと何か軽い音がする。少し歩いてその隅を覗くと、普通の身なりの少年が金網の鳥小屋にへばりつき空気銃を中に向けて打っている。もちろん鳥は逃げ出せないので、時々弾が当たると乾いた鳴き声を上げる。私は見兼ねたので、歩いて近づき「やめろよ」と言った。少年は私の方を見ることもなく空気銃を打ち続けている