0〜2歳だけの園庭、ひとりの興味から広げる「運動遊びの会」——写真で知ろう!小規模保育【行事】【環境】
当園には、2歳児を中心にした低年齢の子どもたちが、ゆったりと芝生や土の上で遊べる園庭環境があります。2022年秋の1日、そのスペースを存分に活用して、ある子どもの興味からみんなが関心を持っていた「海」をテーマに、「運動遊びの会」を開催しました。
<こころね保育園/佐賀県佐賀市>
■ ねらいと配慮
2019年の開園以来、園では子どもたちの日々の様子を洞察しながら、その時々の姿からテーマを決め、行事につなげています。今回は、ひとりの2歳児の「海」への興味をきっかけに、みんなが水族館や海の生きものが好きになったところから、「運動遊びの会」につなげていきました。
行事ですが、練習を重ねた成果を披露する会にすることは目的にしておらず、飛ぶ、走る、くぐる……といった動作によって身体の発達を促す、活動の一つとして位置付けています。あくまで「そもそも子どもは体を動かすことが好き」という特性を踏まえたうえで、子どもたちにとって特別な1日にすることを意識しました。
また、園の特徴としては、芝生や砂場を含む広い園庭の存在があります。未満児が気兼ねなくゆったり遊べるこの環境を、どう生かして子どもたちに楽しんでもらうか、職員間でたくさんのアイデアを出しあって各コーナーを練りました。
■ 振り返り
当日は、保育室の中で子どもたちにお話をするところからスタート。玄関から入ってきたカメのぬいぐるみから手紙を受け取り、青いスズランテープを垂らした扉をくぐって、“海の世界”の園庭へ出かけました。
マットを重ねた上で、イルカショーに見立てたジャンプ遊びをしたり、プールの中から、ビニール袋でつくったクラゲの親子を助けたり、当時みんなが好きだった曲『ベイビーシャーク』にあわせて踊ったり。隠された“海の宝物”を砂場で探し、力を合わせて掘り出していくような遊びも行いました。
2歳児・1歳児が中心でありつつも、0歳児も芝生に座って応援したり、できる部分は一緒に参加したりと、結果的に全園児で楽しむことができました。昼食も「海」をテーマにしたお弁当を用意して、園庭にシートを広げてみんなで「いただきます」。お迎えのとき、どの子も口々に「楽しかったよ!」と保護者に伝える姿を見て、心に残る1日になったのかなと感じました。
一方、当日うまくできない活動があっても、次の日に似た環境でできるようになる子どもがいるなど、後になって「成長のきっかけの一つになったかな」と感じることも多くありました。子どもたちの発達のつながりを意識し、その瞬間に大きな変化が見られなくても、長い目で見守る大切さを改めて考えさせられました。
また、「海」の世界をみんなで楽しんだ経験は別の形にも広がっています。子どもたちが新たに興味を持った魚の図鑑をコピーして、ストローの先につけペープサートのように楽しむなど、その後も違う遊びに変化し続けてきました。
■ 「小規模保育」としての視点
今回のように、特定のテーマ設定が子どもたちの中で豊かな広がりを見せた背景には、「一人ひとりの興味・関心をしっかり押さえる」ことが欠かせません。小規模としての強みを生かしやすい、ひとつのポイントであるようにも思います。
加えて、活動を魅力にしてくれたのが園庭環境です。小規模保育園、というと「園庭がない」イメージを持たれることもあるなかで、当園はあえて広い園庭を持てる場所を借りて運営してきました。低年齢児たちだけで園庭を独占でき、気兼ねなく遊んだり寝転がったりできる環境は、子どもの育ちにも大きな影響を与えるように思います。
特に成長が著しいのは2歳児さんです。今回のように、0〜2歳児が同じ戸外体験を共有することも珍しくなく、異年齢の交流の中で、さまざまな関わり合いが生まれています。保育士が何かを言わなくても、0歳児さんが歩いている芝生の近くでは自然と気を配ったり、手助けしたりする。そんな姿に、自分より幼い存在へのいたわりの気持ちが育まれていることを日々感じています。
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