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“あなただけ”のために歌う「わらべうた」——写真で知ろう!小規模保育【遊び】

音や身体の触れ合いを通して、子どもの情緒と表現力を育んでいく「わらべうた」。屋内外の遊びのなかで、テンポやしぐさ、表情などを変えながら歌いかけ、0〜2歳の子どもたち一人ひとりと向き合う保育をしています。

<もんもの丘保育室/愛知県名古屋市>

【園児数】19人
【保育者】保育士7人(施設長を含む)
(2022年3月時点の人数)

■ ねらいと配慮

当園は、コダーイ・ゾルターン(ハンガリーの作曲家、教育者)の理念を汲み、「わらべうたから出発する保育」を目指して2019年に開園しました。子どもたちが「自分のやりたい遊びを、とことんやり続けられる」環境づくりの1つとして、生活のなかでいつも「わらべうた」が隣りにあるようにしています。

喜びがいっぱい溢れているときも、少し疲れて気持ちが乗らなかったり、遊びがうまく見つからずポツンとしてしまったときも、保育士が子ども一人ひとりと触れ合いながら語りかけるように「わらべうた」を歌います。

例えば『おすわりやす』『いっぽんばしこちょこちょ』などは、子どもと視線を合わせ、言葉や動作のあいだにある“間”や“余韻”を楽しむことができるうたです。「かいだんのぼって……こちょこちょこちょ」の「……」に、子どもからの期待感、それを一緒に共有できる喜びをたくさん詰めることができます

「わらべうた」は地域によって音階や言葉が異なる場合も多く、違いがあること自体が特徴の一つ。歌うにあたっては、季節や子どもの様子に合わせて「まず一緒に楽しく歌ってみる」ことを大事にしています。

子どもたちが不安を感じないよう、曲ごとに「園としてはこう歌おう」と一応決めながらも、子どもが口ずさむときは、その子が聞こえたものを「その子自身にとってのわらべうた」として捉えます。歌詞が違ったとしても、目の前の子どもから新しく生まれたうたとして、大切に見守るようにしています。

■ 振り返り

子どもたちは「わらべうた」が大好きで、何度も保育士に求めてきます。そのとき「1回だけね」「次で交代ね」と言わずに、その子が満足するまで10回でも20回でも歌ってあげる。すると、子どもがあるタイミングで満足して、次の子に「どうぞ」と譲るようになっていきます。

そうやって「満足することの心地よさ」を体感した子どもたちが増えていくと、横から無理やり入ろうとすることもなくなります。「今は◯◯ちゃんの時間なんだ」と理解しながら、自分のやりたい気持ちも大事に、どきどきしながら待てるようになっていきます。

さらに、こうした関わりを繰り返していくなかで、自然と保育士の行為を真似る子も現れるように。『さるのこしかけ』を大人が口ずさむのを聞いて、ぬいぐるみをおんぶしてみたり、2歳児同士が『おすわりやす』を歌い合ったりと、自分がしてもらったことを模倣していく姿が見られるようになりました。

また、「わらべうた」を取り入れることで、想像力や共感する力が育まれていると感じます。

下の写真は、お散歩で落ち葉がたくさんある場所を歩いたとき、『あめあめやんどくれ』を歌いながら葉っぱで雨を再現する様子を見せたときの様子。この後、一緒に落ち葉を自分も散らせてみたり、帰ってからも室内でシフォン布(薄く透けた布)を舞わせて普段の雨を再現したりする様子が見られました。

■ 「小規模保育」としての視点

小規模保育園は、「家庭的」な雰囲気がつくりやすいことが大きな特徴です。少人数の子どもに手厚く関われるからこそ、一人ひとりに向かう「わらべうた」のような、“あなたのためだけに”の環境が実現しやすいように感じています。

それはどんな保育集団であっても大切にしていきたいことです。「あなたのままでいいよ」「自分の時間を好きなように過ごしていいんだよ」と伝え、一人ひとりに共感していくことがどれだけ重要か、子どもたちの笑顔がいつも教えてくれます。

「♪おすわりやす いすどっせ あんまりのったら こけまっせ……」 楽しく歌いあう子どもたちの様子を、声で残してみました。

【園情報】
もんもの丘保育室
(特定非営利活動法人名古屋コダーイセンター)
https://nagoyakodalycenter.nagoya/
愛知県名古屋市名東区平和が丘2-231
定員19名
小規模保育事業A型・管理者設置あり



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