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『食虫植物』の魅力を、存分に。

(更新: この記事は 2023年12月14日に、パラワン島の動画を追加しました)

今回は、『食虫植物 ー多様性と進化ー』(長谷部光泰 著)を紹介します。収録された写真と図は、なんと2000枚以上! 著者渾身の一作となっています。

ボールペンとの比較。けっこう大きい本です。

著者である長谷部先生から、本が完成した記念に「ウツボカズラ」の標本をいただきました! 貴重な標本を、動画でどうぞ↓

記事の後半には、ウツボカズラにまつわる長谷部先生のエピソードがありますので、ぜひ最後までお読みください!
本書の目次はこちらから↓


1.本書の特長

特長①:豊富な写真

本書を開くと、まずは美しい写真の数々が目に飛び込んでくるのではないでしょうか。
これは、一年のほとんどを海外で過ごすという長谷部先生が、世界中を歩き廻って撮影したものです。沢山の写真から、食虫植物の魅力を存分に感じていただけると思います。

特長②:食虫植物を、体系的に理解できる

本書は食虫植物の多様性と進化について、体系的に学ぶことができるようまとめています。1章の冒頭を、以下に少しご紹介します。

食虫植物を定義するには、食虫植物全体を理解する必要がある。そこで、本章では食虫植物の伝統的な定義を説明し、2~6章で食虫植物の多様性を理解した後、7章でより妥当な新しい定義を考える。さらに本章では、食虫植物は被子植物の中で何回も独立に進化してきたことも紹介する。

『食虫植物 ー多様性と進化ー』p.1

まえがきには「食虫植物は植物学のフロンティアである。」という目を惹く言葉も。基礎から解説していますので、食虫植物に興味のある初学者にもお薦めです。

2.制作過程でのあれこれ

あまり苦労話はしたくないのですが・・・いや、でも大変だったんで少しお付き合いください(笑)。

印刷会社からの悲鳴

2000枚超の写真と図版は、データが重いだけでなく印刷にも影響が…。印刷会社から、「写真が多すぎてこのままだと印刷できません。インクの合計パーセントを下げてください!」というお願いが来てしまいました。
編集者が、膨大な画像のインクのパーセント調整に加え、解像度の調整やリサイズも行い、苦労の甲斐あって何とか完成しました・・・!

写真だけでなく、図もきれいに仕上がりました。
印刷会社のみなさま、ありがとうございました!

長谷部光泰 先生

著者の長谷部先生は、よくフィリピンやマレーシアに食虫植物の撮影に行かれるそう。出張中はほとんどテントで野宿しており、ヤマビルに噛まれることもしょっちゅうなんだとか。
本書に出てくる「ウツボカズラ」も、パラワン島の山奥で撮影したそうです。山奥は嫌ですが、パラワン島は行ってみたい!

© Vyacheslav Argenberg / http://www.vascoplanet.com/
フィリピンのパラワン島。「世界でも最も美しい島」No.1に選ばれたこともあるらしい。

追記: ウツボカズラの雨の日の自生地の動画を、長谷部先生よりご提供いただきました。パラワン島のイメージが全然違う…(苦笑)。

ちなみに、テント生活の長谷部先生とはなかなか連絡が取れないため、本づくりは事前にスケジュールを組んで行っています。

長谷部先生の力作、ぜひ書店で手に取ってみてくださいね!!



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