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1回の稽古の大切さ

 「う~ん…、きょうは…、ぜんぶやる。やってみる!」最近5歳になったばかりのお子さんは、あるチャレンジをしました。今までは、古典の素読を小学生の半分位の量にしていたのですが、この日は自ら「全部やってみたい」と言ったのです。
 素読に慣れた小学生であれば、スラスラと5分位で終えられますが、幼児にとっては、その倍以上の時間がかかります。素読は正座で行うので、最後まで姿勢を保てるかも不安でした。しかし、本人の意志を尊重し、とにかくやってみることにしました。


 素読の教材『実語教』は全部で29ページ。今まで14ページまでしかやったことがありません。半分を越えたあたりから、足がもじもじ、手もそわそわ。しかし、一緒に読んでいる小学生と目が合うと、背筋をぴんと伸ばします。えらい!
 正直、最後までやり切れるか、はらはらしていました。「あと10ページ。あくびが出てきたから集中力が切れかけているなあ。」「あと5ページ。足がしびれてきたかな。」「あと3ページ。ここまできたら行くしかない。」10分以上かけ、なんとか全29ページをやりきりました。
 私が「おしまい!」と言って本を閉じた時、嬉しそうに、にこ~っと笑っていました。今までの倍の量を素読するのは、本当に大変だったと思います。この経験は、小さな自信になることでしょう。そして、幼児のペースにがまん強く合わせてくれた小学生も立派でした。2人の絆がより深くなったように感じます。


 今までできなかった動きができるようになった。挨拶の声が大きくなった。柔道衣を丁寧にたためるようになった。お子さんたちの小さな成長を見られるのは、本当に幸せなことです。ただ、その瞬間はいつ来るかわかりません。だからこそ、1回1回の稽古が本当に大切です。お子さんたちの伸びる力を信じ、10年後、20年後に生きる稽古を日々行っていきます。


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