『おかえりモネ』から学んだこと~強いのではなく、しぶとい~
「強いんじゃねえんだよ。なんつうかなあ…しぶといんだな。」
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』の中で、牡蠣養殖の名人であるおじいちゃんが主人公の百音に言った言葉です。竜巻の影響で、手塩にかけたおじいちゃんの牡蠣は被害を受けます。しかし、おじいちゃんは「たいしたことねえ。」と言い、片づけや復旧に向けて、すぐ動きだすのです。
今、コロナ禍の影響で、心が折れそうになっている方もいるでしょう。私もくじけそうになる時があります。「自分は強くないなあ…」そう思うこともしょっちゅうです。でも、モネのおじいちゃんには敵わないにしても、それなりの「しぶとさ」は、柔道を通して身につけてきました。
「これは難しい」「もう無理だ」そんな状況を乗り越えた経験がいくつかあります。その1つが高校2年生の時の、全国大会予選(団体戦)です。
この大会の2ヶ月前、稽古中に左手の骨(舟状骨)を折ってしまいました。しかし、無知な私は骨折だと思わず、痛みに耐えながら、ずっと稽古を続けてしまったのです。1ヶ月が経ったものの、手の腫れは引かず、痛みも増し続けたので、さすがに病院に行きました。そして、お医者さんから「すぐに手術をし、骨をつけなくてはいけない」と告げられました。
「全国大会出場」という夢が、一瞬消えたように思えました。でも、私は諦めませんでした。お医者さんに「手術は全ての大会が終わってからにしてください。」とお願いし、テーピングとサポーターで手をがっちり固定したまま試合に臨むことに決めたのです。
※怪我の悪化は、私の無知が招いたものです。怪我をしたら我慢をせずに、すぐに医療機関に行って適切な治療をしましょう。無理に稽古をしたり、試合に出ることは、将来に悪影響を及ぼすことがありますので注意してください。私の決断が全て正しかったわけではありません。
高校3年のインターハイ予選後に手術しました。〇で囲んだ部分が手術痕です。
左手が自由に動かないので、当然戦い方も変わります。試合までの期間は限られていましたが、戦術を練り直し、仲間と共に今できる準備を全てやりきりました。その結果、決勝戦で一本勝ちができ、優勝をすることができたのです(この時一本をとった技については、いつかご紹介します)。この時の感動が、私の人生観を変えたといっても過言ではありません。相手との戦いよりも、「難しい」「無理」という状況との闘いに勝った経験が、一生の財産になっています。
今目の前にあるコロナ禍や様々な困難を、そのまま当時の状況と比べることはできません。でも、柔道を通じて養った「しぶとさ」は今も色々な場面で生きていると思います。長い人生、つまずくこともあります。転ぶこともあるでしょう。でも、しっかり受身をとり、また立ち上がって歩き出せば良いのです(…と自分に言い聞かせています)。
『おかえりモネ』のおじいちゃんの「しぶとさ」を見習い、文武一道塾 咲柔館をより良い道場へと育てていきます。お互いがんばりましょう!