マイナスをプラスに変える「言葉の力」~最悪状況から救ってくれた仲間の言葉~
私は高校2年生の時、生まれて初めて「夢」が叶いました。ただ、夢が叶ったその日のスタートは「最悪」で、夢が叶う直前にも「最悪」の状況に陥りました。
全国高校選手権の栃木県予選(団体戦)の朝、私は試合会場を目前にして車に轢かれたのです。自転車で停まっていたら、急に車がぶつかってきたので、一瞬何が起きたか分かりませんでした。自転車の前輪が車に巻き込まれ、私は道路に倒れました。幸いにも大きな怪我はなく、何とか開会式には間に合ったのですが、メンタル的には最悪です。
「何て縁起が悪いんだ…」落ち込む私の所に、後輩が笑顔で近寄ってきました。そして、こう言ったのです。「先輩、ラッキーじゃないですか!」私は、何て不謹慎な後輩なんだと思いました。しかし、後輩は続けてこう言いました。「これ以上最悪なことは起きないですよ。今日は絶対優勝しますね!」この言葉のお陰で、心が一気に明るくなったのを覚えています。
チームは順調に勝ち進み、準決勝に駒を進めました。私は副将(4番目)として出場し、相手の大将(5番目・最後の選手)と対戦することになりました。抜き勝負(勝ち残り戦)の団体戦なので、私が引き分ければそこでチームは勝ちです。私は決勝戦に体力を温存するためにも、引き分けを狙いました。しかし、消極的な気持ちで試合をすると良いことがありません。私は試合終盤に相手の内股できれいに宙を舞ったのでした。「一本、それまで」。私は呆然としました。その後、自分のチームの大将が勝ってくれたので、決勝戦に進むことができましたが、心の状態は最悪です。そんな私を心配し、先輩が声を掛けてくれました。「落ち込んでいる時じゃないぞ。準決勝で一本を取られてチームに迷惑をかけたと思うなら、決勝戦で一本をとってチームに貢献すればいいじゃないか。」この言葉で私の闘志に再び火がつきました。そして、決勝戦では一本をとり、チームは悲願の優勝をすることができたのです。
車に轢かれた時、準決勝で一本負けをした時、落ち込む私を救ってくれたのは仲間たちの言葉でした。あの時、後輩や先輩がタイミング良く、最高の言葉をかけてくれたことで、私は夢を叶えることができたのです。2人には心から感謝しています。
言葉にはマイナスをプラスに変えられるすごい力があります。たった一言が人生を救ってくれることさえあります。試験に落ちてしまった、試合で負けてしまった、怪我をしてしまった。起きた事実は変わりません。しかし、マイナスの状況をプラスに捉え直すことはできます。
自分に対しても、周りの人に対しても、プラスの言葉を自然に使える人は本当に素敵です。私も高校生時代の仲間たちのように、言葉でマイナスをプラスに変えられるような人になりたいと思います。