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Jキッズフェスタふり返り③(親善試合編)~相手に勝つより己に克つ~

(※写真は、特別試合として石川裕紀先生がお子さんと対戦した時のものです)

 Jキッズフェスタでは、主に「試合に出たことがない」「試合出場経験が少ない」お子さんたちを対象とした親善試合を行いました。安全面に配慮した特別ルールを作り、習熟度・柔道経験年数で3つにカテゴリー分けをしたことが大きな特徴です。以下、特別ルールとカテゴリーの概要です。

【親善試合ルール】
・1人2試合程度とし、組み合わせについては申込時に記載された「学年」「身長」「体重」「経験年数」「練習頻度」を総合的に判断して決定する。
・いずれのカテゴリーにおいても選手の主体性を重んじるため、試合中に指導者・保護者はアドバイスをしない。
・ルールについては、国際柔道連盟試合審判規定及び少年大会特別規定で行うが、下記のように特別ルールを付け加えるものとする。

〈基本マッチ〉
主な対象:一般の大会への参加経験があり、投げられた際にきちんと受け身がとれる者
・試合時間…2分(ランニング)
・組み合った状態から開始する(組手を切った際には即座に組みなおし攻撃することとする)
・「待て」がかかった後は開始戦ではなく試合場中央でまた組み合った状態で再開する
・けんか四つの釣り手については赤の選手が内側から組んでスタートし、「待て」がかかり試合会場中央に戻ったら、白の選手が内側から組んで再開する(以降、交互に組み方を変える)
・勝敗はテクニカルスコアのみ(罰則は与えるが勝敗には影響しない)
・テクニカルスコアに差がない場合は「引き分け」

〈足技マッチ〉
主な対象
(1)一般の大会への参加経験はあるが、技の習熟が十分でない者
(2)経験年数が短く(1年未満)、基本マッチでは不安な者
・試合時間…2分(ランニング)
・「基本マッチ」と同ルールだが、かけてよい技は「足技」(大外刈・内股はのぞく)のみに限定する。

〈寝技マッチ〉
主な対象
(1)経験年数が短いが(半年未満)、寝技のルールを理解している者
(2)経験年数は長いが、基本マッチ、足技マッチでは不安な者
・試合時間…30 秒
・赤の選手が白の選手を安全に投げてから一旦静止し、「始め」の合図で抑え込みに移行する
・30秒経過時点で抑え込みが継続していたら赤の勝ち、抑え込みが解けていたら白の勝ちとする
・上記のルールで互いに2回ずつ(計2分)行う
・勝ち星の数に応じて、勝敗及び引き分けの判定をする



 今回が初めての試合である咲柔館のお子さんたちは、当日に向けてルールの確認や試合形式の練習を重ねてきました。私が試合において心がけてほしいと伝えたことは3つ。①今の自分の全力を尽くす、②投げられたらしっかりと受身をとる、③心を込めて礼をする、です。
 試合結果は、やはり初試合ということで引き分けや負けが多かったのですが、何度も話してきた3つの心がけについては全員がしっかりと行うことができました。この点について、お子さんたちを心から誉めたいです。
 勝ちに対する賞賛もさることながら、「勝ち以外の価値」にも重きを置くのがこの親善試合の特徴です。技能賞(理合い通りの美しい技で一本をとった者)、 礼法賞(礼法・服装・所作が美しい者)、 安全賞(潔くきれいな受け身をとった者)を設けました。賞のメダルはキーホルダー型のものなので、さっそく柔道バッグにつけているお子さんもいらっしゃいます。


 

 負けて悔しがる、勝って喜ぶ、賞をもらって感動する、他のお子さんの試合を見て驚く、などなど試合を通じて、お子さんたちは沢山心が動いたと思います。感情と一体になった学びは、一生の財産です。人が変わるきっかけになることもあります。実際にこの日を境に「もっとうまく技をかけられるようになりたい!」と打ち込み・乱取りをはりきっているお子さんもいらっしゃいます。
 試合は相手との戦いであると同時に、自分との闘いでもあります。弱気な気持ちをはねのけて技をかける、負けてもしっかりと礼をする、といった己との闘いを経験したお子さんたちは、前より少しだけたくましくなりました。大切なのは、相手に勝つより己に克つこと。このことを柔道を通して伝えていきたいです。そして、試合を通して学んだことを今後の稽古・学習に生かし、強く優しい柔道家をみんなで目指していきます。
※次回は「背負投講習会編」です。

「柔道をやることで、人生はより豊かになる」
「柔道家が増えることで、社会はより良くなる」
文武一道塾 咲柔館


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