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昇級試験を通した成長

 「やった~!オレンジ帯だあ~!」同日に昇級試験に合格したお子さんたちは、2人で喜びを分かち合っていました。ここまでの約3ヶ月間、できないことがあると稽古前や送迎待ちの時間も練習し続けてきた2人です。昇級試験を通し、体や技だけでなく心も成長しました。
 子どもクラスの昇級試験は、じっくりと2~3ヶ月かけて行っています。8月から開始した昇級試験もいよいよ終盤となりました。昇級の条件は、各級毎に設定した小試験全てに合格することです。お子さんの体力・技量に合わせ、1回の稽古につき3~5項目くらいの小試験を行います。お子さんたちが挑戦した小試験の一部をご紹介します。

【8級】 
〈心〉
・柔道を作った人を言える
・柔道精神を言える
・立礼、座礼ができる
・柔道衣を自分で着られる、たためる
・振り返りノートを毎回提出できる 

〈受身〉
・座った状態で受身ができる(後受身、横受身、前受身)
・動きながら受身ができる(後受身・横受身)
・支釣込足で投げられる

〈立技〉
・支釣込足で安全に投げることができる

〈寝技〉
・寝技の補強ができる(しぼり・エビ)
・寝技の移行ができる(袈裟固→後袈裟固)

〈実践〉
・乱取りで潔く受身をとることができる
・乱取りで安全に投げることができる

小試験の全てに合格すると昇級です

 10級から8級は、柔道の基本中の基本を習得することを目標としています。少し級が上がった5級は以下の通りです。

【5級】
〈心〉
・柔道を作った人を漢字で書ける
・柔道精神を漢字で書ける
・1分間スピーチ「私が柔道で成長したところ」

〈受身〉
・足技で投げられる(出足払、小内刈、大内刈 等)

〈立技〉
・足技・腰技で安全に投げることができる(出足払、小内刈、大内刈、大腰等)

〈寝技〉
・寝技の補強ができる(逆エビ)
・寝技の移行ができる(袈裟固→後袈裟固→横四方固)

〈実践〉
・乱取りで潔く受身をとることができる
・乱取りで安全に投げることができる


 何級を受験するかはお子さんとよく相談して決めます。その際に心がけているのは、難しすぎず、易しすぎず、頑張れば手が届きそうな難易度の級を選ぶことです。そうすることで、主体的に努力する姿勢が養われ、昇級試験を重ねながら自分の成長を感じることができます。

 昇級試験の目的は2つです。1つ目は、「怪我をしない、させない安全な柔道を身につけること」。小試験のほとんどが、「安全な柔道の体現」に関するものです。昇級試験を通し、正しい技術を身につけ、安全で楽しい柔道を行うための土台をしっかりと築きます。
 2つ目は、「自信をつけること」。合格に向けて根気強く努力できた、できなかったことができるようになった、合格して帯の色が変わった、といった経験は、お子さんたちの自信につながります。
 試験、試合というものは、どうしても結果を重視しがちです。しかし、そこに至るまでに準備(練習)や、試験で自分の実力を知った時の気づきの中にも、成長の鍵が沢山あると考えています。だからこそ、小試験に受からなかった時も「できた部分」や「これまでの努力」をしっかりと誉めることを心がけています。そのかいもあってか、苦手だと思っていたことにも前向きに挑戦できるお子さんが増えてきました。

 合格時に授与する「昇級証」の文章は、嘉納師範遺訓にある柔道の目的、「己の完成」「世の補益」を意識しています。内容は以下の通りです。

「あなたは日々の稽古と学習によく励み、○級の実力を得たことをここに証明します。自分の力を世のため人のために役立ててください。」



 「昇級で変わった帯の色は元には戻らないよ。だからこそ、帯の色にふさわしい行動をとろうね。」色帯授与式の時にこのように話しています。お子さんたちは、このことを良く理解しており、帯の色が変わると、稽古への姿勢が一段と良くなるものです。各級の自信と責任をしっかりと持ち、これからも「つよく、やさしく、かっこいい柔道家」を目指してほしいと思います。 
 まだ全ての小試験に合格できていないお子さんたちもいますが、あと一歩で昇級です。最後まで粘り強く頑張り抜き、やりきった時の達成感、感動を味わってもらいたいと思います。
 色とりどりの帯を締めたお子さんたちと一緒に稽古をするのが楽しみです。


「柔道をやることで、人生はより豊かになる」
「柔道家が増えることで、社会はより良くなる」
文武一道塾 咲柔館

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