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負けねえ!~受身でレジリエンスを高める~

 「負けねえ!」。これは私が中学2、3年時の学級通信の名前です。担任の先生は、2年生1学期の始業式から3年生3学期の卒業式までの2年間、1日も休むことなく学級通信を出し続けてくださいました。
 「君たちには『負けねえ』という気持ちを大切にしてほしい。だから、私も自分に負けずに毎日学級通信を書くよ。」先生は約束を守り、毎日毎日私たちへの想いやその日あったことを書き続けてくださったのです。私も教員時代に学級通信を書いていましたが、とても先生の真似はできませんでした。
 この「負けねえ」という言葉は、今でも私の支えとなっています。勝つことも大切ですが、人生を長い目で見た時には負けないことの方が大事なのかもしれません。「今、勝つことはできなくても、まずは負けないこと。転んだとしても、立ち上がってまた一歩前へ踏み出すこと。そうすれば、きっと次へとつながっていく。」先生は、言葉や文章だけでなく身をもってこのことを教えてくださいました。

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私が進路を決定した時も記事にしてくださいました。一生の宝物です。



 嘉納治五郎師範は、次のようにおっしゃっています。

終局の目的は勝つことにあってもそこに到達する順序としては、負ける練習もし また負ける恐れがあっても、進んで攻撃に出て種々の技を試みて、自分の体を鍛練しなければならぬ
(「道場における修行者に告ぐ」『柔道』第7巻第6号(昭和11年)より)

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 柔道の試合において投げられることは負けにつながります。しかし、稽古中に投げられて受身をとることは負けではありません。
 以前、フランス人の若者が日本へ柔道修行に来たテレビ番組を観たことがあります。その若者は、投げられた時にしっかりと受身をとり、投げた相手を見上げながら笑顔で「良い技ですね!」(フランス語)と言っていました。相手の技を認め、自分の糧とするこの姿勢は見習うべきだと思います。稽古であっても、投げられまいと無理な姿勢で受けたり、強引に返すことは私も多々ありました。「投げられることで学ぶことも沢山ある」ということをもっと理解しておくべきだったと反省しています。


 「受身をしっかりとろう」。10月に引き続き、11月の目標の中にも「受身」を入れました。言うまでもなく、受身は柔道の基本であり、最も大切な技術です。子どもも大人も塾生様たちは受身の練習を重ね、どんどん上手くなっています。まだ、乱取り(実戦練習)の中で受身をとる段階ではありませんが、これからも少しずつレベルを上げ、より安全な受身を身につけていただきたいです。

11月

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 投げられて「悔しい」と思うのは良いことだと思います。その想いはきっと次の努力へとつながるでしょう。ただ、「なにくそ!」(嘉納師範)、「負けねえ!」という気持ちを持って、何度でも立ち上がるためには「受身」が必要です。受身は体の技術ですが、同時に心の技術であるのかもしれません。柔道は「レジリエンス」(逆境や困難に対してしなやかに対応し、立ち直る回復力)を高めることができる武道です。「受身をとることも立派な技術」という認識をしっかりと持ち、今後も安心安全で楽しい柔道を心がけていきます。


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