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「霜月の精進料理」 2014年11月

暦の上ではすでに「立冬」もすぎ、いよいよ冬へと季節変わりの霜月。日の暮れるのの早いことといったらないですね!朝晩の冷え込みになかなか布団からも抜け出せなくもなってきました。
現代では勤労感謝の日になっていますが、「新嘗祭」も大切な11月の行事です。収穫を神様に感謝する行事なんてすごく日本人らしいですよね。実りの秋に感謝して、今月も献立を考えました。

1.茸の炊きおこわ 2.江戸茶碗蒸し 3.大徳寺麩の白酢かけ 4.高野豆腐のオランダ煮 5.山芋と青海苔の梅和え


1.茸の炊きおこわ
色々な茸が出盛りで、楽しいですね。茸が一杯入った炊くおこわをご紹介します。少しもち米を加えるだけでも冷めてもつやつやしたままで、固くなるのも防ぎます。もち米は前日から水をたっぷり吸わせてから炊いてください。茸類はお好きなもので結構ですが、ぬめりのあるものやアクが多いものはむきません。炒めてコクを出すのがポイントです!

材料:米2C、もち米1/2C,まいたけ1/2パック、エリンギ1本、シメジ1/2パック、油揚げ1枚、
水加減:煮汁の残り+昆布出汁で500cc
サラダ油大1、出汁1C、醤油・酒各大2、塩少々

1)もち米は前夜から水に漬けておき、米は研いでザルにあげておく。
2)まいたけはさき、エリンギは千切り、シメジは石つきをとって1本1本にさばいておく。
3)フライパンに油をしき、2を炒め出汁と調味料でさっと煮ておく。
4)3を具と煮汁にわけて煮汁に出汁を足して500ccになるよう水加減し、20分程度は浸水させる。

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5)油抜きして千切りにした油揚げを入れて炊く。
6)沸騰してきたら、4で煮た茸も入れて炊き上げる。

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2.江戸茶碗蒸し
茶碗蒸しは卵汁を使ったものだけでなく、かつては茶碗に入れて蒸したものの総称でした。これも懐石を習い始めに師匠に教えていただき、美味しくて何度も作った料理です。お芋はかなり弾力が出ますので、このレシピを基本にもう少しやわらかいほうがよろしければ、昆布出汁を多めにいれてください。色々と食感の違う具材を入れると楽しいですよ。

材料:大和芋300g、葛粉15g(水同量)、昆布出汁300cc、塩少々、醤油大1
しめじ1/2パック、木耳1枚、むき甘栗1個、小巻き湯葉各1個、丘ひじき適宜
餡:出汁1C、醤油・味醂各小2、片栗粉小2(水大1でといておく)


1)大和芋をすりおろし、水溶き葛粉を溶いて加え、出汁で伸ばして醤油で調味する。
2)しめじはさっとゆがいて、醤油洗いをしておく。

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3)木耳は水で戻してさっとゆがき、刻んでおく。
4)小巻き湯葉はお湯で戻しておく。
5)丘ひじきもさっとゆがいて、水にとり、3cmに切りそろえておく。
6)1を茶碗に7分目ほどそそぎ、2~4をのせ、さらに栗も乗せ最初1分強火、あと15分は弱火で蒸しあげる。

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7)餡をつくる。出汁を温め調味し、水溶き片栗粉でとろみをつけ、6にかける。最後に丘ひじきを飾る。


3.大徳寺麩の白酢かけ
大徳寺麩は別名利休麩などとも呼ばれる麩で、揚げてから煮てある珍しい麩です。料理に使うときは一度茹でてすでについている味や油を少し抜いてから使います。細く刻んで和え物にしたり、今回のように白酢をかけて向付けなどにも致します。追善の茶事などでよく見かける料理ですが、もちろん普段でも作っていただいて大丈夫です。独特の食感が面白いですよ。

材料:大徳寺麩各1/3個、
木綿豆腐1/2丁、木綿豆腐丁1/2、ねりごま大1、砂糖大1/2、淡口小1/2、塩小1/4、酢大1

1)大徳寺麩は熱湯で10分ゆがき、スライスする。

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2)豆腐はゆがいて、ザルにあけて冷ましてから、ほかの調味料とともにフードプロセッサーにかけるか裏ごしする。

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3)器に1を盛り付け、2をかける。


4.高野豆腐のオランダ煮
オランダ煮とは、食材を油で揚げた後、煮た料理のこと。高野豆腐も普通に煮るよりさらにボリュームがでて、食感も面白くなります。揚げる油はたくさんはいりません。イタリアのカツレツのように、焼揚げる感じでどうぞ。はねますので、ふやかしたあと、しっかり水分を切ってから使ってくださいね。

材料:高野豆腐各1/2枚、人参各2mm、揚げ油適宜、七味唐辛子
煮汁:出汁2C、味醂大1、砂糖大1、淡口大2、塩小1/2

1)高野豆腐は熱湯を掛けてふやかしては搾り水を替え、を繰り返してしっかり戻す。白い水が出なくなったらさらにしっかりしぼり、1枚を4等分にして、揚げておく。

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2)人参は千切りして、水からさっと茹でておく。
3)煮汁を作り、1を5分程度煮て最後に2を加え、火を止める。器に盛り付け、好みで七味をふって食べる。

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5.山芋と青海苔の梅和え
ちゃっちゃとできて、酒のアテにもご飯のおかずにもなる1品です。梅干が入っているので、さっぱりとできますね。塩分の調整は味醂でしてください。手がかゆくなってしまう方は、包丁を使わずビニール袋に入れてかるく叩いていただいても結構です。

材料:山芋9cm、梅干1~2個、味醂大1~2、青海苔適宜

1)山芋は皮をむいて、3cmの長さ、5mm四方程度に切る。
2)梅を裏ごして味醂で辛さを調整する。

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3)1を2で和え、上に青海苔をふる。

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レシピ&原稿:温石会 入江亮子
(北鎌倉たからの庭<旬を楽しむ精進料理> 11月の献立より)

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