求道の朝


朝陽を浴び、風を受けています。
虫の声が聞こえます。鳥が遠くで鳴いています。
求道者たらんとする父は、日々歌を詠みます。
遠くに車の音があり、人々が日常を過ごしています。電車も動いています。
白鷺が一閃、川の上を飛んで行きます。あの白鷺と、私を隔てるものはなんぞや。なぜ、白鷺は私ではなく、私は白鷺でいられないのか。
太陽の熱を肩に感じ始めます。あの白鷺は何を見て、どこへ向かうのか。どんな風を受けているのか。
想像とは、人が得た特別な力ではなく、辛うじて残された原始の知性かもしれない。
仄かなオレンジに染まる街と、虫や鳥の声を聞き、今日を始めます。

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