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セッション

映画備忘録の第二弾としてセッションを書いていこう。

情熱と聞いて良い印象をもつだろう。私もそうだ。

だが、その情熱は度が過ぎると狂気へと変わる。もしかしたら、成功する要因は狂気なのかもしれない。この映画は凡人であった青年が狂気染みていく過程が緻密に描かれた作品だ。

もし、高みを目指し練習をした人間ならば、トラウマを思い出し、目を伏せたくなるだろう。

そして心の中で思うだろう。

このハゲー!!!!と

話のあらすじ

ジャズドラマーになるためアメリカ随一の音楽院に入った主人公ニーマンが学院最高位の指揮者であるフレッチャーに才能を見出され、彼が率いるジャズバンドチームで主演者ドラマーになる為に必死に食らいついてく。その道中で精神状態をおかしくならせるほどの厳しいフレッチャーの指導でニーマンは病的、狂気的とも捉えられるほどにドラムへ没頭していく。

良い点

この作品の良いところは、何と言っても最後9分50秒の演奏シーンだろう。私は素人で音楽センスを一ミリも持ち合わせていないため、演奏については口出しできない。なんでも、音楽を齧ったことのある人であればこの演奏が賞賛されるのはおかしいらしい。専門的なところは置いといて、私が好きな点を端的に説明すると、ニーマンが音楽家として足を踏み入れたことだ。


※ネタバレ注意


このシーンはニーマンが学校をやめたのち、彼の密告によって学校から追い出されたフレッチャーとバー出会い、もう一度フレッチャーに活躍の場所を与えられ、コンクールに出るところから始まる。

楽しんでいこうとフレッチャーらしからぬ発言も飛びながら、演奏が始まる。すると、ニーマンが異変に気づく。全くやっていない曲が演奏されるではないか。なんとか食らいつこうとするも、演奏を止めてしまうニーマン。このコンサートは大物の音楽プロデューサーが集うほどの大規模のもの。ここで悪印象が付けば、ほぼ音楽家として立ち振る舞うことは難しい。そう、これこそがフレッチャーがニーマンを誘った理由だったのだ。フレッチャーはニーマンが彼の指導法を密告されたことを知り、復讐のため彼を誘ったのだ。放心し、舞台袖に帰っていくニーマン。舞台袖には彼の父が温かく見守っていた。ニーマン父「帰ろう」と言われ、ニーマンはそれに従った。。。

ように見えたがニーマンは踵を返し、いつもの彼の居場所であるドラムに座り、リズムを叩き始めた。その姿を見て、止めようとするフレッチャー。だが、彼は一心不乱に打ち続ける。その熱量に押されたのか、周りの演奏家も演奏し始めていく。圧倒されたフレッチャーは指揮を取り始め、ニーマンの独りよがりの演奏からセッションに代わっていき会場中を飲み込んでいく。この良さについてはぜひ見てほしい!ニーマンとフレッチャーに対するカメラワークが躍動感をあげ、非常に良いものになっている。演奏が終わり、これにて閉幕と電気が消え始めた。

が、ニーマンはまだドラムを叩いている。暗くなった舞台は再び明かりを身に纏い、ニーマンのドラムに釘付けになっていく。最後に、フレッチャーの顔がドアップとなって、口元が動き、彼へ最大限の指揮を取る。

特に私が好きなところはこの最後のところなのだ。これまで紆余曲折があったが、ニーマンはあくまで数合わせのドラムに過ぎない。だが、このシーンによって、アンドリュー・ニーマンという音楽家として、少なからず少なからずフレッチャーに認められたのだ。最後のドアップのシーンは殴られながら指導されるシーンへの対比になっており、音楽家、愛弟子として昇華したのだ。この圧巻のカメラワークと音楽は一見、一聴するべきいやしなくてはいけない! 動画があったんで是非クリックしてほしい!!

最後の演奏シーン Part 1

https://www.youtube.com/watch?v=ZZY-Ytrw2co&t=1s

最後のシーン Part 2


では、最後に好きなフレーズを記し終わろう。

I’ll cue you in!

合図する(から俺について来い)!

ニーマンが指揮者のフレッチャーにかけた言葉

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