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小さな「欲」に気づくこと〜「魔入りました!入間くん」を読んで考えたこと

たまたま見たアニメが面白くて、マンガを全巻買ってしまいました。それが、現在週刊少年チャンピオンで連載中の「魔入りました!入間くん」(既刊15巻)です。

【あらすじ】
14歳の鈴木入間は鬼畜外道な両親に金銭目的で大悪魔・サリバンに売り渡される。しかしサリバンは入間に対し危害を加えることはなく、自分の養子になることを懇願する。承諾した入間はサリバンが理事長を務める悪魔学校に入学し、人間であることを隠して学園生活を送ることになる。望みである平穏な生活とは裏腹に様々なトラブルが入間に襲い掛かるが、それらを乗り越える度に注目を浴び、不本意ながら有名人になりつつ幸せを掴んでいく。(Wikipediaより)

主人公の入間くんは、一言で言うとめちゃくちゃ良い人で頼まれごとを断れないタイプの人間です。そのせいか自分のやりたいこととか欲しいものというのを意識せずに生きてきました。

その入間くんがある日、学園の生徒会長より将来の夢について問われます。そこで入間くんは「僕はみんなと楽しく過ごせればそれでいいかなぁ」と答えます。それについての会長の返しがこれです。

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(コミックス2巻 第12話「入間の”夢”」より)

私自身、「理想」と「野望」の違いがあやふやでしたので調べてみると、こんな意味でした。

・理想
1 人が心に描き求め続ける、それ以上望むところのない完全なもの。そうあってほしいと思う最高の状態。「理想を高く掲げる」⇔現実。
2 理性によって考えうる最も完全な状態。また、実現したいと願う最善の目標あるいは状態。
・野望
分不相応な望み。また、身の程を知らない大それた野心。
(goo辞書より)

入間くんが言ったのは、「そうなったらいいなぁ」という希望でちょっと消極的なものですよね。じゃあ、「そうなるためにお前はどうするんだ」っていう主体的な部分を会長は問うているわけです。

コマの最後に「欲」について触れられているのも重要で、本作の悪魔は自分の「欲」に素直な生き物として描かれています。「楽しい」とか「面白そう」という理由が彼らにとって上位の動機になっていて、「欲」=「自分の本質」みたいな考えが彼らにとって一般的のようです。つまり、会長は入間くんに「お前の欲(本質)はなんだ」と問うているんですね。

なんでこのシーンを取り上げたかというと、新年ということで先日「今年やりたいこと100」を作ったのですが、それがすごく大変だったんですよね。最初の20個くらいまでは順調だったのですがそのあとが全然出てこない。「やりたいこと」の「したいこと」は100個くらいあるだろうとか思ってたんですけど、そんなこと無かったですね。自分って意外と無欲な人間なんだなぁと思うと同時に、本当は自分が見過ごしてしまっている「欲」もあるんじゃないかなぁと思ったわけです。

「あれがしたいなぁ」とか「いつかこれをやってみたいなぁ」とか、そういうのを「お金が無い」とか「時間が無い」とか理由をつけてずっとやらずに、いつの間にか忘れてしまったことがたくさんあるんじゃないかなぁ。そういうことが積み重なって、自分の小さな「欲」に気づくこともそれを叶えようとする力も無くなっていったんじゃないかなぁと。そういう小さな欲も拾っていって、自分を幸せにしてあげられたらいいなぁとこのシーンを見て考えさせられました。

ちなみに、やりたいことの一つがこのマンガを全巻読むことだったので、早速達成して幸福感に包まれました。Kindleなら全巻買っても5千円くらいで、このマンガの面白さを知ったあとでは「なぜ5千円を出し惜しみしていたのか」と思いましたね。

「魔入りました!入間くん」では、このシーンの後に、自分の野望に気づきそれに向かって奮闘する姿が描かれていますので、興味のある方はぜひ読んでみてください。私も次巻の発売が楽しみです。