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課題発見のための顧客ヒアリング〜土佐町大屋敷キャンプでの学び〜

電子部品メーカーで事業開発に取り組んでいる森川です。

私は2022年2月17日(木)〜19日(土)で開催された土佐町大屋敷キャンプに参加しました。企業・行政向けの新規事業人材の育成や高知県産業振興のための事業開発をされているAlphaDrive高知高知県土佐町が主催する超実践型新規事業開発プログラムです。

3日間の短期プログラムでありながら、準備期間を含めて計50名以上の方にヒアリングをさせて頂き、顧客の課題発見に至りました。

今回は新規事業開発に欠かせない顧客ヒアリングについて、私が本プログラムに参加して学んだことを踏まえてご紹介します。

なぜ顧客ヒアリングが重要か

新規事業の立ち上げ初期に顧客ヒアリングが欠かせない理由は、顧客の生々しい課題を発見し、それを自分ごと化して取り組むためのWillをもつためです。

私も入社して新規事業の担当者になった当初は、インターネットで市場調査や競合調査をしていましたが、そこに載っている課題らしき情報は当然既知で、基本的に代替手段が存在していました。

またヒアリングを通じて出会ったあなたが助けたいと思える顧客の存在が、今後の事業開発のモチベーションの源泉になり、またプロダクトの機能を決めるためのベースになります。

行動とその力学を解明する

プログラム初日に顧客ヒアリングについての研修があり、私にとって一番の学びが以下でした。

「顧客に意思や意見を直接聞いてはいけない。」
「顧客の行動とその力学を解明するためのヒアリングを行う。」

顧客に意思や意見を聞いてはいけない理由として、顧客は言葉では嘘がつけるからです。私も社内の事業開発における顧客ヒアリングで「〇〇があったら欲しいですか?使いたいですか?」のような聞き方をした際、「使ってみたい」や「面白そう」のような曖昧な返答を頂き、客観性が欠ける思いをしました。

顧客の課題を発見するためには、課題あるいはジョブ(作業)を解決するために顧客が既に取り組んでいる行動とその意思決定についてヒアリングします。具体的には例えば以下です。

「最近(最後に)、あなたが〇〇したのはいつですか?」
「いつ、決めたのですか?」
「誰と、相談したんですか?」
「どれぐらい使っていますか?」
「いくら使っていますか?」

ヒアリング後、顧客の現在の行動とその意思決定が、理想に対してどれだけのギャップがあるのか、課題の深さを考察します。例えば、顧客が現在実践している解決手段において負担している費用や時間が莫大な場合は、お金を払ってでも解決したい深い課題と言えるかもしれません。

そして、別の顧客でも同じ行動と意思決定プロセスをしているのか、再現性をヒアリングで確認していきます。

検証をいかに早く回すか

課題発見のためにはヒアリングの質のみならず数も重要です。

冒頭で述べた通り、私のチームでも計50名以上の方にヒアリングをさせて頂きましたが、最初の30名ほどの段階では未だ課題が曖昧で、チームとしてそれに取り組む合意ができていませんでした。

元リクルート(現リクルートホールディングス)の新規事業開発室長である麻生要一氏の著書「新規事業の実践論」では以下のように記載されています。

新規事業開発という仕事の立ち上げ(ENTRY期〜MVP期)に限っては、(中略)「確認・事例・調査・会議・資料・社内・上司・先輩・競合」は、その要素を1つたりとも出現させてはいけません。

新規事業の実践論

このようにチーム・会社内での新規事業開発に関連する情報共有やネットリサーチは最小限にとどめ、顧客へのヒアリングや仮説検証にリソースを割くことが課題発見の近道です。

ヒアリング結果をチームに共有する際は、Excelなどで①顧客が行っている行動、②顧客が思っていること、③ヒアリングした人が思ったこと、④ヒアリングをしていない人がメモを見て思ったこと、に整理してまとめておくとがお勧めです。ここでのポイントは顧客からヒアリングした情報と自分の思ったことが混同することを防ぐこととです。

また、顧客ヒアリングはある程度の数が必要であることを前提に、最初から良い成果が得られることを期待しすぎ、目の前の方へのヒアリング自体を楽しむ姿勢も個人的には大切にしています。

まずは1人目のヒアリングから

ここまで顧客ヒアリングのやり方や心構えについてお伝えしてきましたが、ヒアリング自体に抵抗感をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

そんな方は、ます家族、友人、社内メンバーなど身近に顧客になりそうな方がいないか探してみてはいかがでしょうか。そして、まずはいきなり事業開発のためのヒアリングと意気込まなくとも、相手のお悩みを聞くための雑談くらいのスタンスで臨まれても恐らく問題ないかと思います。

また、私も過去にヒアリングされる立場になってみて、自分の話を聞いてもらえることは案外楽しいことだと感じました。ぜひお気軽に顧客へのヒアリングに挑戦して頂ければと思います。

おわりに

無事に顧客と課題の検証が完了した場合は、次はソリューション検証へと進みます。課題に対してどんなソリューションがマッチするのかを同じく顧客ヒアリングやプロトタイプ(試作品)で確認していきます。

また、私自身も社内で事業開発や土佐町大屋敷キャンプなど外部の機会を活用しながら、現在進行形で新規事業に挑戦し続けている身ですので、至らない点も多いかと思います。
皆さんのご意見・ご感想をもとに、さらに内容をブラッシュアップしていきます。最後までお読み頂きありがとうございました!


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