見出し画像

自己紹介と、社会への貢献

こんにちは!
「持続可能な食システムへ世界のシフトを加速する」をミッションに、プラントベースミルクの製造・販売事業に挑戦しています、㈱MISOLA FOODS代表の塚越です。

私は、味の素株式会社という大手食品メーカーに、新卒から15年間勤めた後、40歳を目前にして退職、起業するに至りました。
最近、初めてお会いする人や、昔からの友人にも、よく聞かれるのが、「なぜ大手企業を辞めて起業したの?」というもの。直接的なきっかけは、米国駐在時に年々ひどくなる山火事を目の当たりにし、地球温暖化が自分事化したことで、環境に優しい食がもっと世の中に必要だと思ったことです。

しかし、実は起業という決断に至る以前に、そもそもベースとなる価値観として「社会へ貢献したい想い」があったと、自分自身内省しています。それ自体が直接起業に繋がった要素ではないのですが、後押しはしているし、困難な時でも踏ん張って頑張ろうと思える理由になっています。
本noteでは「社会へ貢献したい想い」が芽生えた原体験について、自己紹介のひとつとしてお話させて頂き、人となりを知るきっかけや、起業のマインドの参考になればと思います、それではいってみましょう!

原体験① 東南アジア(ラオス)編

大学生の時、バックパッカーで東南アジアを旅した際、ラオス北部、ほぼ中国との国境に近い山中に暮らす少数民族アカ族を訪れた。
山頂に村を築く独特の文化を持つアカ族は、犬や牛らと一緒に暮らし、水道や電気がなく、山を20分下った川でシャワーを浴び、夜はロウソクの光でご飯を食べたりするが、基本的には日が暮れたらその日の活動は終わる。
空気がきれいで360度人工的な灯りの無い山頂から眺める夜空には、文字通り流れ星が降り注ぎ、なんて素晴らしい場所なんだと感銘を受けた。

山頂で、牛や犬と暮らす、アカ族の村

しかし、光があれば闇もある。
よくよく村人の話を聞くと、平均寿命はたった40歳前後
農業を生業としているが、昔ながらの自然に頼る農法で収穫が安定しなかったり、それによって栄養に偏りがあったり。

昔ながらの農作業の様子

また、精霊信仰で、病気や怪我を患っても祈りに頼る民族であったが、そもそも必要な薬が手に入らない、病院にかかるお金がない、ということで、ちょっとした病気・怪我が重症化してしまい、致命的な命取りになってしまう。
ガイドさんから「バンドエイドと消毒液を多めに買っておいて」と、アカ族の村へのトレッキング拠点となる麓の街ムアンシンで言われて、そんな険しい道中なのかと思っていたのだが、これが実はアカ族へのお土産としてめちゃくちゃ喜ばれた。後からそういう事情があったのかと、すごく納得。

老婆のすり傷を手当てする、トレッキング仲間

しかし何より衝撃だったのは、同じアジアに暮らす、同じアジア人なのに、命の長さがこうまで違うという事実。自分は生まれた国がたまたま日本で、たまたま恵まれている。であれば、その恵まれた環境を活かしてGIVEする人になりたい、と若造ながら心に誓った旅だった。

原体験② アフリカ(エチオピア)編

海外大学院留学中の夏休み、初めてアフリカの地を訪れた。行き先はエチオピア、首都アディスアベバから約8時間、舗装されていない悪路に揺られて辿り着くDillaという村。3週間ほど現地の修道院に滞在し、午前中は女学生に英語を教えるボランティア、午後はWater Projectという、大学院と米国企業のESGプロジェクトに携わっていた。

エチオピアを一緒に訪問した大学院の多国籍な仲間達

エチオピアの夏休みの女学生達にとって、修道院は最も安全な場。門に囲まれた場所で変な人が入ってこなく、家庭の労働から解放され、学びと祈りの機会があり、そして何よりきれいな水が飲める。「きれいな水」はとても重要で、エチオピアでは、多くの人がいまだに道に溜まった水、すなわち泥や細菌、動物の糞尿で汚染されている水を、飲料水とせざるを得ない状況なのだ。

汚泥水を汲む様子、水を背負う子供、水を運ぶドンキー

午前中の英語の授業では、毎回、学びへの意欲に驚かされた。私が担当したのは9〜10歳程度の子供達だったが、持っているペンもノートもボロボロなのに、ひとつ質問すると全員が我先にと手を挙げる。黒板に答えを書いて欲しくて、チョークを渡そうとすると、そのチョークをめぐって取り合いの喧嘩になるほどの、学びへのモチベーション。

担当クラスの子供達

もうひとつの気付きは、授業や課外活動をして過ごすうち、ひとりひとりがきらめく能力や素質を持っていること。中学生レベルの数学ができる子、超速で洋服を直せる器用な子、身体能力が高くバスケがものすごく上手な子、ラテンの歌姫シャキーラの音楽に合わせてプロ並みのダンスが踊れる子もいた。それぞれの分野で、輝ける素質と夢・希望を持った子供達にあふれていた。

歌とダンスの発表会

だけれども、現実は、女学生の教育へのアクセスは限られていた。貧困による教育機会の不平等、早期結婚、家庭労働の重荷、農村地域の農業労働など、、、教育を十分に受けられなかった子どもたちは待遇の良い仕事に就くことが難しく、大人になっても貧困から抜け出すことができない、といった負のループに陥ってしまう。実際に女学生達と過ごしたからこそ、本当にもったいないことだと痛感し、自分の意思で選択できる人生や生活を送って欲しい。自分の意志でやりたいことができる、という環境はとても贅沢なことだと認識し、そんな未来を描いて、自分の人生の時間を使っていきたいし、そのためにできる努力はしたいなと思った体験だった。

夢と希望と素質にあふれたエチオピアの子供達

人生で起こることは全て繋がっているとはよく言ったものですよね。
私自身はこのような体験がたまたまあり、また一般的に起業には原体験が必要だとよく言われてますが、必ずしもそうではないと思っています。原体験がなくても成功している人は山ほどおり、原体験が必須だとか、原体験がないからチャレンジできないと言うつもりはありません。
どんなルートでアイデアを見つけたにせよ、事業化に取り組む過程で、誰よりも詳しくなり、ユーザー目線で課題に向き合っていく必要がある。
一定期間徹底的に情報収集し、試行錯誤を繰り返せば、原体験を持っていなくても、その分野で働く人と渡り合える知識・経験を得ることはできる。
原体験をベースに考える起業家もいれば、技術トレンドを見て事業機会を探る起業家もいれば、海外の事例を国内へローカライズする起業家もいる。

起業には、それぞれストーリーがあって、みんな違ってみんな良い、です!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?