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連載小説|ウロボロスの種

 大蛇が自分の尾をくわえている。
 ウロボロスである。
 ウロボロスは自らの尾を飲み込み、次に胴を飲み込み、ついには頭をも飲み込み、無限小の種となった。
 「答えなさい」
 無限小の種となったウロボロスはそう言った。 
 種。これは種だ。ここから根と幹が発し、枝が広がり、書物になっていく。これは書物を宿す種だ。
 それにしても、何に答えればよいのだろうか。
 何に答えればよいのだろうか。まさにそれに対して答えねばならないのである。何に答えればよいのだろうかということに対して、答えねばならないのだ。


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