夢について3
子どもは物を集める。
たとえば、玩具を集める。
玩具を与えてもらえなければ、石を集める。
どうしてだろうか?
物が、夢の入口になっているからだ。物を眺め、夢を見るためだ。子どもは、物を眺め、物の向こうへ行くことができる。子どもは、夢の入口を集めている。
集めた物のほかにも、ある種の風景がある。ある種の人がいる。夢の入口はそこかしこにある。
学校の教室で、前に座った人の髪飾りを眺めていた。眺めていると、どこかへ連れていかれるようだった。どこへ?それは僕の幼少期だった。用水路。母と乗ったバス。デパートの匂い。レストランの高い天井。
レストランの高い天井もまた、夢の入口だった。天井には幾何学的な模様が彫られていた。僕はその模様を見上げていた。
夢の入口の向こうにも、夢の入口があり、夢はどこまでもつづいていた。
つづく
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