マガジンのカバー画像

薬剤師の南 [沖縄×薬局薬剤師 オリジナル小説]

72
幼少期に沖縄から来た女性薬剤師に影響された南依吹(みなみいぶき)は薬剤師免許を取得し、沖縄の田舎町の薬局に新人として赴任する。 沖縄から来た薬剤師が依吹に残したのは、生薬を擬人…
運営しているクリエイター

2020年8月の記事一覧

#50薬剤師の南 第8話 夏休み [小編] (小説)

「なーんかさ、前より全然売れてないっぽい?」  私達の目の前を次々と人の波が通り過ぎてい…

#49薬剤師の南 第7話-16 ヒーローの南(小説)

 誰もいない朝の小道に響く、キャリーケースを転がす音。  薫は早朝の飛行機で東京に帰る。…

#48薬剤師の南 第7話-15 ヒーローの南(小説)

 マイクを左手に持った薫は空いている右手を大きく使いながら、この手のショーに定番の注意事…

#47薬剤師の南 第7話-14 ヒーローの南(小説)

「お、出てきた。あの子でしょ?」  恵ちゃんの声につられてステージを見ると、上手側のテン…

#46薬剤師の南 第7話-13 ヒーローの南(小説)

 シロと別れた後、グループラインを使って恵ちゃんと摩耶ちゃんにも明日の薫のイベントを見に…

#45薬剤師の南 第7話-12 ヒーローの南(小説)

 ロキソプロフェン――NSAID(エヌセイド)と呼ばれる分類のこの鎮痛・解熱成分はテープ剤だ…

#44薬剤師の南 第7話-11 ヒーローの南(小説)

「……薫」 「何? 今集中したいからあまり話しかけないで――」 「その手首のテープ、どうしたの?」 「ここも痛めてるから貼ってる」  座席から投げ出された薫の足元に目をやる。昨日の処方箋どおり、右足首にも手首と同じテープが貼りつけられている。 「薫……服を脱いで」 「え!?」 「いや、言い方が良くなかった。今、『何枚』テープを貼ってる?」 「……手首と、足首の二枚だよ」  ――嘘だ。薫の真顔を見て直感した。 「中を見せろ!」  私はすぐさま薫の体を押し上げ

#43薬剤師の南 第7話-10 ヒーローの南(小説)

 シロは車の鍵を開けるとすぐさま冷房を最大の強さにした。後部座席に薫を座らせると、薫はす…

#42 薬剤師の南 第7話-9 ヒーローの南(小説)

 薫が電話を取る。 「はい……はい……お伝えしたとおり、沖縄の姉のところに来ていて、東京…

#41薬剤師の南 第7話-8 ヒーローの南(小説)

 昼食の間、シロが薫に興味津々といった感じで様々な質問をぶつける。 「妹ちゃんは大学入る…

#40薬剤師の南 第7話-7 ヒーローの南(小説)

 観光とはいうものの、社会人一年目の私は仕事で手一杯だったので、こちらの観光事情に明るい…

#39薬剤師の南 第7話-6 ヒーローの南(小説)

 薫が指をさした箇所に目を通す。 『――教師が期待をかけた生徒は学業の成績を伸ばす傾向が…

#38薬剤師の南 第7話-5 ヒーローの南(小説)

 「せっかく妹さんが来たんだから早く帰りなさい」と皆が口をそろえて言うので、仕事は残って…

#37薬剤師の南 第7話-4 ヒーローの南(小説)

 窓口での応対は終わったようで、薫が立ち上がる。 「お姉、仕事は六時までだっけ? それくらいの時間にお姉の家に行くね」  私は頷いて、 「それまでバスでノーズタウンにでも行ってきな。来た時に見えたでしょう? あと、残業があったらもっと遅くなるからね」 「わかってるって!」  ノーズタウンは全国で展開をしている大型ショッピングモールで、その一つが銘里市内にある。数時間程度の暇つぶしには十分な場所だ。  会計を終えた薫は、 「皆さん、今後もうちの姉をよろしくお願いし