私のアジャイルジャーニー、そしてこれから
この記事はシン・アジャイルコミュニティが主催するシン・アジャイルAdvent Calendar 2022の19日目の記事です。
3つ用意されたお題の内「私のアジャイルジャーニー(アジャイルとの出会いからこれまで)」について書くことにしました。
アジャイルと出会うまで
自分は今の会社に入る4年前まで、所属するエンジニアが4名の零細 WEB 受託開発会社で EC サイトなどを開発する仕事を約16年間続けていました。そこでの仕事はアジャイルとは無縁で、日々納期に追われながら開発を続ける日々を送っていました。
約4年前に、ひょんなことから訪問介護を全国に展開する企業の IT 部門に参画することとなり、流れで15名ほど所属するエンジニア部門全体のマネジメントをしながら、とあるプロダクトの開発をリードしていくこととなります。
詳しい経緯は省きますが、その後1年あまりで、そのプロジェクトはウォーターフォールでもアジャイルでもない、所謂「なんちゃってアジャイル」「アジャイルもどき」の状態に陥ってしまうのです。
はじまりはふりかえりから
2021年6月下旬。開発が少し落ち着いたタイミングで、プロジェクトに参加するエンジニア全員で「ふりかえり」をする機会を得ました。そこで挙がった問題点はチームの惨状を物語っていました。
開発リーダーはいるけど PO・PdM・PjM がいない。
タスクやプロダクトのゴールが不明瞭。
今作っている機能が何のために必要なのかわからない。
十分に見積もりをしないまま着手し、個人の判断でズルズルと期限が延びていく。
ふりかえりの結果、「ちゃんとアジャイルについて学び、それに従って実践していくべきなのでは」という方針が生まれました。
スクラムについて学んで旗を振ったことと、プロダクトに必要な機能を一番理解している・把握しているという理由から、自分は開発者としての帽子を脇に置き、(禁断の)プロダクトオーナー兼スクラムマスターとしてアジャイルジャーニーの1歩目を踏み出すこととなったのです。
いくつかの幸運
2021年8月。スクラムガイド2020を片手に開発者4名 + PO 兼 ScM(自分)の5人でよちよち歩きを始めました。当初チームにアジャイル開発の経験者はおらず、手探りでの道のりです。
しかし、振り返ってみると我々にはいくつかの幸運がありました。特に「チャレンジと自主性を重んじる社風」と「アジャイルコーチとの出会い」の2つが大きかったように思います。
チャレンジと自主性を重んじる社風
冒頭に書いたとおり、今所属する会社は訪問介護をメイン事業とする企業です。介護、と聞くと保守的・閉鎖的な社風をイメージする方も少なくないかも知れませんが、ありがたいことに弊社は明確に「チャレンジ」を好む社風があり、スピード感を持って各々が自主的に判断することを是とする会社です。
そのため「スクラムでやってみる」という取り組みについても「なんかエンジニア連中が新しいこと始めたな」ぐらいの温度感で見守ってもらうことができました。新しいことを始める際に「上層部を説得する」といったアクションは不要でした。
シン・アジャイルコミュニティなどで外部の方のお話を伺うと「まず周囲や上層部の説得から」という話題をたくさん耳にします。そういった苦労をせずに済んだことは幸いです。
アジャイルコーチとの出会い
8月にスタートした直後、外部技術顧問の紹介で社外のアジャイルコーチにチームを支援していただくことになりました。最終的に今年の5月までお世話になったのですが、彼に助けられたこと、彼から学んだことは数えきれません。
手探り状態の我々にとって道しるべとなってくれたことはもちろん、第三者視点からチームの成長のために投げかけられた言葉の数々は、チームに多くの学び・気付きを与えてくれました。彼との出会いが最大の幸運であったと言っても過言ではないでしょう。
これまでの学び
ふりかえりを大切に
我々は、ふりかえりをすることでアジャイルチームの第1歩を踏み出すことができました。その後も、1週間ごとのふりかえりで様々な気付きを得ることができ、大小様々な変化がチームに起こっています。
もちろん、ふりかえりが盛り上がらない瞬間もありますが、それは何か問題が起きている、もしくは組織がコンフォートゾーンにいる証拠だと学んだ今では、それすらも気付きとして前に進むことができます。
ふりかえりによって立ち止まり、変化し、前に進み続けることがアジャイルな組織にとって最も大切なことと言っても過言ではないと思っています。
とりあえずやってみる
これは前述のアジャイルコーチに、繰り返し「(うだうだ言ってないで)やってみればいいんじゃないですかね?」と叩き込まれた考え方ですが、今となっては真理だと思っています。
やる前に「あぁなったらどうしよう」「こうなったら困るな」と思慮を巡らすのではなく、まずやってみること。やってみてから、変えるべき所は変え、必要とあらば元の位置に帰る。アジャイルな組織とはかくあるべきではないでしょうか。
スクラムじゃなくてもいい
スクラムは手段であり、目的ではありません。非常によくできたフレームワークですが、それにこだわりすぎて身動きが取れなくなってしまっては元も子もありません。スクラムという形に固執しなくても、アジャイルに前へ進むことはできるはずです。
現在地、そしてこれから
その後、チームは紆余曲折を経て一時的に2名体制となり、自分も開発者としてコードを書く立場となっています。
もちろん、この人数で「スクラム」は成立しません。ですが、2人となった状況を検査し、適応しつづけ、自分達をストレッチゾーンに置きながら、プロダクト開発を前に進めることができていることから、自信を持って「我々はアジャイルチームである」と言うことができます。
来年に入るとまたチームの人数が増える予定で、そうなると自らのロールも変わっているかもしれません。ですが、きっと新たな状況に適応し、おもしろいことになっているに違いないでしょう。
1年後、この記事を読み返した自分は「何を言ってるんだコイツは……」と恥ずかしさに顔を埋めたくなってるかもしれません。ですが、アジャイルに変わり続けることの楽しさ、興奮を知った自分にとっては、それすらも楽しみに思えてならないのです。
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