利用者調査から見た日本におけるVRChatのコミュニティと経済圏 最終章 まとめと結論
お世話になっております!
遂に最終章となりました。この章では、本研究の結論と図解をしていければと思います!
研究目的と研究方法
第一章で見てきたように、研究目的を
「VRCにできあがっていると見られる独自のコミュニティと、Boothを中心として3Dモデルが売買されている経済圏 がその人気の要因ではないかと仮定し、検証する」
こととし、調査を開始しました。
調査を4段階に分け
Twitterでのアンケートでは平均1405名もの方々
VRCにおける対面インタビューでは合計32名もの方々
45項目について回答を求めた最終アンケートでは576名もの方々
と本当に多くの方々にご協力いただくことができ、統計的にもかなり正確性を確保することができました。
本当にありがとうございました!!!
調査に関するnoteはこちら
VRCにおけるコミュニティと経済圏の図解
ここから、コミュニティと経済圏の関係図を図解したものが次の図になります。
上記の様に、VRCのコミュニティをTwitterと接続しているオープンコミュニティ、Discordと接続しているクローズドコミュニティに分けました。
また外から観測しやすいという点で上下に分けており、経済圏に関しても同様に見えやすいものから上にあげています。
では、研究で明らかになった点を抜粋していきたいと思います。
第二章で明らかになったこと 抜粋
VRCユーザーは高頻度かつ長時間VRCにて様々な活動をしていることが分かりました。なおかつ学生や事務従事者が最も多いことがわかりました。また、Vtuberが始めるきっかけとなる人が多いようです。
第三章で明らかになったこと 抜粋
VRC内での活動はtwitterで共有され、外から観測することが出来る上に、それがきっかけになってVRCを始める人も多いことが分かりました。
また、VRCにはworldそのものに強いネットワーク外部性が存在し、フレンドを形成しながら多種多様な交流やイベントなどの活動を行っています。
第四章で明らかになったこと 抜粋
仲を深め、共通の趣味趣向や特定の目的を元にフォースといったグループを形成したり、恋愛状態に発展するユーザーもいることがわかりました。
こうしたグループはDiscordを用いてコミュニケーションを取り合っているようです。
第五章で明らかになったこと 抜粋
アバターとバーチャルマーケットがきっかけとなって誕生した経済圏は、現在Boothを中心にユーザーの活発な消費活動を促しているようです。
また、PCやVRHMDに対しても高い消費傾向を示していることがわかりました。
以上を踏まえた上での考察
上記のように、長時間活動するユーザーによって
・publiic instanceに行けば常に新しいユーザーに会えること
・フォースのような閉じた団体が存在し、共通の趣味趣向や共通の目的によって活動を共にしていること
・ユーザーが積極的にイベントを開催し、自発的に交流していること
この3点が、VRCに強いネットワーク外部性を付与しているといえます。
そしてこういった
「ネットーワーク外部性の強いコミュニティが文化として成立していること」
が、VRCの強みと言えるでしょう。
そしてもう一つが経済圏です。
Boothで購買し、改造したアバターやアクセサリー、またはworldといった
「コンテンツをVRCにユーザーが常に供給し続けていること」
が他のVritual World系のサービスとの競合優位性であると言えます。
VRCユーザーが一言で表すVRChat
今回のアンケートの最後に、「あなたにとってVRCを一言で表すとなんですか?」という質問をさせて抱きました。それをユーザローカルのテキストマイニングを持ちいてマイニングしてみました。
それが次の結果になります!
これをみると、やはりゲームというよりは生活空間や現実、遊び場やもう一つの~という声が多く聞かれました。
この観点からも、SNSやゲーム双方からも違う名称が必要なのではないかと感じています。
それがVirtual Worldになるか、メタバースになるかは今後のプラットフォーマーと市場が決めることですが、未来の生活圏の一つがここにあると私は確信しています。
今後の課題
今後の研究課題としては、海外との比較があげられます。
VRが作り出すコミュニケーションの仕方と経済圏が国や文化によって差があるのかどうかを検証してみたいと感じます。
また、VRCは匿名性であるために来年βテストが予告されているFacebookのHorizonとの比較も今後の研究課題としてあげられます。
もう一つ、今後やっていきたいこととして「人が集まるワールドの条件」についても模索したいと思っております。
まだ幸いにも卒業まで3ヶ月あり、卒業後もこのVRCという未来のプラットフォームについて探索し行きたく思っています!!
今回の卒論は本当に多くの人に支えられて実現しました。ここまで幸せな卒論を書くことが出来た学生は中々いないのではないかと思っております!
本当に、本当にありがとうございました!!またこれからも調査をしていきたく思っておりますので、どうぞよろしくお願い致します!!!
下記は2020年度調査の記事になります。
https://dat-vr.com/article/article_36.html
新保正悟
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