
利用者調査から見た日本におけるVRChatのコミュニティと経済圏 第四章 VRChatのクローズドコミュニティについて
お世話になっております!
今回は、前回のオープンコミュニティに引き続き、VRChatのクローズドコミュニティについてご報告させていただきます。
以下のリンクに本研究の調査目的と、調査方法、そして今までの研究のリンクについて記載したnoteがありますので、ご一読いただければ幸いです!
VRChatにおけるクローズドコミュニティについて
前回のオープンコミュニティに関する調査に引き続き、今回はDiscordで連携し、入場制限がfriend以下で、外から観測しにくいクローズドコミュニティに関する調査になります。
前回の調査はこちらのリンクをご覧ください!
では早速調査結果を見ていこうと思います!
フォースまたはそれに類する団体に属しているかどうか 回答数=574
VRChatには一般的に「フォース」と呼ばれるオンラインゲームやMMORPGでいうギルドのような存在があり、共通の趣味趣向または目的のもとにユーザーが集まって様々な活動を行っています。
(現実世界でいうサークルや同好会のようなものです)
では実際にVRCユーザーのどれくらいのユーザーがフォースに所属しているのでしょうか?
選択形式で回答を募集しました。
これを見ると55.1%の人は一つ以上のフォースに所属し、複数のフォースに所属する人も珍しくないようです。
所属しているフォースの特性 回答数=348
ではどう言った理由で集まっているのでしょうか?
なぜ集まったのかをドイツの社会学者テンニエスが提唱したゲマインシャフト、ゲゼルシャフトの概念を参考に
目的があって集まったのか、それとも共通の趣味趣向によって集まったのかの2択で聞いてみました。
こうしてみると、共通の趣味趣向によって集まったフォースが69.2%と多いことがわかります。
フォースに関しては本当に多種多様な種類がありましてここでは紹介しきれないため、また別にnoteをかければと思います。
Discordの利用実態 回答数=493
さて、こういったフォース内の連絡手段や知見の共有として使われているのがDiscordになります。
Discordはフォースだけでなく、単に友人同士のつながりでも使われることが多く、VRCにないチャット機能の代替となっています。
ではどう言った目的で利用されているのでしょうか?LINEでいうグループはDiscordだとサーバーと言うため、それについて聞いてみました。
こちらも2択で聞いたところ、フォースの質問よりも回答数が増えているため、回答数から見るとDiscordはフォース以外にも使われていることが分かります。
その一方で、フォースよりも何かしら目的をもって集まっている団体のほうが多くいことも判明しました。
クローズドコミュニティに入るきっかけ 回答数=452
ではこういったフォースやDiscordに新しい人が入るきっかけはどのようなものでしょうか?
複数回答可能な選択肢+その他で回答を募集し、整理しました。
こうしてみると現実と変わらず、やはり人づての紹介が最も多く63.9%。次いでイベントでの交流が45.7%、Twitterでの交流が45.6%という結果になりました。
クローズドコミュニティで行われるイベントの種類 回答数=209
ではどういったイベントが行われているのでしょうか?
実際に自由回答欄にご回答いただいたものをユーザーローカルのテキストマイニングツールを用いて解析したのが次の図です。
前回のオープンコミュニティでのイベントは下のようになっており、イベントの種類はほぼ変わらないことが分かります。オープン、クローズド問わず開催されるイベントにはそれほど差がないことがわかります。
2019年12月30日修正 図がクローズドコミュニティと同じものになっておりました。訂正してお詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした。
交友関係を保っているフレンドの数 回答数=533
ではオープン、クローズドを問わずVRCにおいて交友関係を保てている人数はどれくらいなのでしょうか?
当初の予定では、現実と違って会いに行くコストが圧倒的に少ないため当初は多いと予想していました。自由回答で回答していただいたものを整理したものが次のグラフになります。
しかし実際には上記グラフのように平均値は22.03人となりました。
まだユーザー数が少ないことも影響している可能性はありますが、必ずしも現実以上のつながりを持てるというわけではないようです。
パートナーの存在 回答数=557
最後に、非常にセンシティブな内容になる可能性はあるもののクローズドの極致でもあるVR空間における恋愛に関するアンケートも実施しました。
こちらは選択肢+その他で回答していただきました。
これを見ると、現在もいる人やいたことのある人は34.9%に上ることがわかりました。
一方で欲していない人が47.7%と最多を占める結果となり、必ずしも全員がVR空間における恋愛を志向するわけではないことがわかりました。
まとめ
以上が、VRCのクローズドコミュニティに関する調査になります。
運営が提供している機能ではないフォースが、全員ではないものの半数以上に浸透していることは、イベントに続きVRCにおける重要な文化と言えるのではないかと思います。
上記調査を簡単にまとめます。
クローズドコミュニティにはinvite以下の活動やフォースという団体が存在し、55.2%と過半数の人が在籍していることが判明しました。
69.2%は共通の趣味趣向を元に集まったゲマインシャフトであり、Discordにおいてもゲマインシャフトが過半数を占めているようです。
開催されているイベントもやはり多種多様にわたり、テキストマイニングの結果を見るとオープンコミュニティで行われているものと大きくは変わらないようです。
またオープン、クローズドを問わず交友関係を保てている人数を聞いたところ、22.03人が平均であることが分かりました。
また、VRにおける恋愛に関しても34.9%は恋愛の経験があることが分かった一方で、47.7%は必要でないと回答していることが分かり、必ずしも恋愛を志向するわけではないようです。
以上がクローズドコミュニティのまとめになります。ここまで読んでいただき、誠にありがとうございました。
次回はいよいよVRCの経済圏に関するnoteになります!
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