mathematical frameworkならテトラレンマ問題を一発で突破できる.
LLMは物理的に不可能なことでも言語的に可能であれば,その可能性を排除できないらしい.
$${A}$$($${A}$$である)
$${\neg A}$$($${A}$$ではない)
$${A \wedge \neg A}$$($${A}$$である,かつ,$${A}$$ではない)
$${A \vee \neg A}$$($${A}$$である,または,$${A}$$ではない)
という四つの命題をテトラレンマというらしいが,そのうち3は不可能だし,4はnonsenseである.
ということは人間は誰でもわかることだが,言語的には3も4も可能なので,LLMはその可能性を排除できず,必要であれば人間が都度その可能性を否定しなければならないらしい.
ということを,集合論的数理論理学の立場から考えていたのだが.
テトラレンマの真理値を考えよう
真理値とは,命題の真偽を表す値で,真であれば$${1}$$,偽であれば$${0}$$で表すことにする.
また,$${\sigma}$$を真理値割り当てといい,例えば$${\sigma(A)}$$で命題$${A}$$の真理値を表す.
仮に命題$${A}$$が真であれば$${\sigma(A)=1}$$であり,偽であれば$${\sigma(A)=0}$$である.
ここで,$${\sigma}$$の計算には規則があり,まず,$${\sigma(A)=1}$$であれば$${\sigma(\neg A)=0}$$で,逆に$${\sigma(A)=0}$$であれば$${\sigma(A)=1}$$である.
これはたぶん直感的に分かる話.
また,
$$
\sigma(A \wedge B)=\min\{ \sigma(A),\sigma(B) \}
$$
である.
ここで,$${\min\{ \sigma(A),\sigma(B) \}}$$は$${\sigma(A)}$$と$${\sigma(B)}$$のうち小さい方の数を表す.
これは意味を考えれば解りやすい話で,$${A}$$と$${B}$$のどちらも真であれば$${A \wedge B}$$も真であり,どちらか一方でも偽であれば$${A \wedge B}$$は偽であるということを示している.
また,
$$
\sigma(A \vee B)=\max\{ \sigma(A),\sigma(B) \}
$$
で,$${\max\{ \sigma(A),\sigma(B) \}}$$は$${\sigma(A)}$$と$${\sigma(B)}$$のうち大きい方の数を表す.
これは,$${A}$$と$${B}$$のどちらか一方でも真であれば$${A \vee B}$$は真であるということを示している.
以上のことを踏まえると,テトラレンマの3と4の真偽は,$${A}$$の真偽に限らず
$$
\sigma(A \wedge \neg A)=0
$$
$$
\sigma(A \vee \neg A)=1
$$
であることが解る.
恒に真である論理式はnonsense
ここまでは普通の数理論理学の話.
ここから集合論的数理論理学の立場の話.
集合論的数理論理学において,万物は集合である.
逆に,集合としてみなしたときに矛盾するオブジェクトは,存在しないものとする.
ここで,以下のような定義を考える.
$$
\{ x : A \vee \neg A \}
$$
これは,論理式$${A \vee \neg A}$$を満たす$${x}$$が属する集まりのことである.
この集まりは,論理式$${A \vee \neg A}$$が恒に真であるため,あらゆるオブジェクトが属することになる.
このように,あらゆるオブジェクトが属する集まりのことをthe universal classというが,これは集合たり得ないことが知られている.(class:クラスというのは,集合とは限らない“モノの集まり”一般のこと
すなわち,恒に真である論理式というのは,意味を持たないのである.
math languageでLLMを使いこなす
さて,ここまで見てきたのは,mathematical frameworkに基づくことで,テトラレンマ問題を簡単に突破できるということだ.
LLMがmathematical frameworkに基づくことが可能であることは,以下の記事から分かる.
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