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[将棋]AI流のカンタン嬉野流対策。重要なポイントは4つ。

 さて、今回はAIで解析した嬉野流対策について書いてみます。

 嬉野流はプロ棋戦では全く見ませんが、将棋ウォーズなどのネット対局では高段帯でもちょこちょこ見かける気がします。対策にお困りの方もいらっしゃるかと思いますので、AIさんに聞いてみました。評価関数は「Hao」を使用させて頂いております。嬉野流側を先手として、テーマ図は以下とします。

 初手から
▲6八銀 △3四歩 ▲5六歩 △8四歩 ▲5七銀 △8五歩 ▲7八金
(テーマ図、評価値も併せて表示)

テーマ図と評価値。先手としては、5六の歩を取られないように進めるならこう組まざるを得ない。評価値は既に少しマイナス。

 初手▲6八銀以降、先手が最善手順を踏もうとすると、どうしても相掛かりっぽい出だしになってしまうので、AI的には既に最善を外れているのですが、嬉野流側は△8六歩から5六の歩を取られないように組むだろうという想定で、このような手順としました。テーマ図時点での評価値は-100程度になります。なお、2手目の△3四歩はAI的には大事な手で、△8四歩だと▲7六歩で先手がプラスに戻ってしまいます。初手▲6八銀と指す人間が3手目▲7六歩と指すとは思えませんが・・・念のためここでは△3四歩を採用します。

 さて、ここからがAI流の対策です。重要なポイントは4点ありまして、順に説明してゆきます。

 テーマ図から
△7四歩 ▲2六歩 △7二銀 ▲2五歩 △3二金 ▲4八銀 △7三桂
▲7九角 △8六歩 ▲同歩 △同飛 ▲8七歩 △8一飛 ▲3六歩 
△6四歩 ▲6九玉 △6三銀 ▲4六銀 △7五歩 ▲5五歩 △4四歩
(分岐図) 

分岐図。次に後手から△7六歩▲同歩△4五歩▲同銀△5五角の厳しい狙いがある。

 細かい手順は多少前後しても問題なさそうですので、気にしなくてOKです。重要なポイントの1点目は、▲2五歩に対して△3三角などと歩交換を防がないことです。3三の地点に駒を動かしてしまうと、▲7九角~▲4六銀~▲3五歩と最短で攻められて、先手の飛車角銀を働かせてしまうからです。2点目は△7三桂と跳ねてから△8六歩と歩交換することです。こうすることで、△8一飛と一番いい位置に飛車をセットすることができます。3点目は、このように駒組すると先手は5七の銀を▲6六銀とは動かしづらいので(すぐに△6五歩と追い返されてしまう)、▲4六銀と活用してくると思うのですが、そこですかさず△7五歩と突くことです。このタイミングで△7五歩と突かれると、次の△7六歩が厳しいので受けるしかないわけですが、角道を止めるには▲5五歩しかありません。4点目は、その▲5五歩に合わせて△4四歩と突くことです。対策はこの4点だけで完成です。こうすることで、次に△7六歩~△4五歩の厳しい狙いが残ってしまい、先手側は
▲3七桂や▲5七銀上などと受けざるを得なくなるので、嬉野流側の作戦は既にやや失敗ぎみなのです。

 ここまででも十分なのですが、せっかくなのでもう少し後まで見てみましょう。まずは▲3七桂から。

 分岐図から
▲3七桂 △7四銀 ▲8八金 △8五銀 ▲7八玉 △6二金 
▲5七銀引 △4二銀 ▲5六銀 △5二玉 ▲2四歩 △同歩 ▲同飛
△4三銀 ▲2九飛 △2三歩 ▲5八金 △1四歩 ▲1六歩 △5四歩
▲同歩 △同銀 ▲5五歩 △4三銀 ▲6六歩 △7四銀 ▲5七銀 
△1三角 ▲9六歩 △6五歩 (結果図①、評価値も併せて表示)

結果図①と評価値。先手はカベ金の上、攻める場所がないので後手が有利。

 ▲3七桂に対していろいろ指し方はありますが、△7四銀~△8五銀と攻める指し方をオススメします。一瞬怖いようですが、先手は▲3七桂と跳ねてしまっているので攻めの形を作れません。実際AIに読ませても、▲8八金~▲7八玉という苦しい受け方に落ち着きました。以下の手順は参考ですが、先手はカベ金の上に攻める場所がないので、後手は自然に指して有利となります。次に、分岐図で▲5七銀上を調べてみます。

 分岐図から
▲5七銀上 △4二銀 ▲3五歩 △4三銀 ▲2四歩 △同歩 ▲3四歩 △同銀 ▲2四飛 △2三金 ▲2八飛 △2四歩 ▲3五歩 △4三銀 ▲6六歩 △5二金 ▲5六銀 △6二玉 (結果図②、評価値も併せて表示)

結果図②と評価値。後手は自然に指していれば作戦勝ち。

 ▲5七銀上には△4二銀以下、自然に指せばOKです。先手は▲5六銀と上がりたいのですが、すぐに上がると△8六歩が飛んできます。結果図②までの流れは、お互いにこんなところでしょう。先手はやはり攻めの形が作れず、7九の角が使いづらいので後手が作戦勝ちです。

 というわけで以上、AI流の嬉野流対策でした。嬉野流側としては分岐図の時点で少しマズそうなのですが、分岐図を避けようとすると嬉野流っぽくなくなってしまうので、中々避けづらいところかと思われます。

 読んで頂きありがとうございました。今後も引き続きよろしくお願いいたします。

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